不器用な共鳴(2)
連休は本当にバイトが忙しかった。
終日お客様が途切れることがなく、仕込みと営業中の調理、片付けが目まぐるしかった。
ヒナコもホールでのお客様対応や飲み物準備で足がパンパンだと言って、休憩中にストレッチを軽くしていた。
「今までもお客様が女の子多かったけど、最近、増えたのユウのせいだわ。」
ヒナコがストレッチを終えて、急いでホールに戻る準備をしていた。
「ヒナコもお客様からモテモテだよ。私の永遠の推しだから。」
私がそう言うと、
「私こそ、強火リナ担だし…」
と、ヒナコがいつものように私にハグをする。
急にドアが開き、
「びっくりした…イチャつくの控えてくださいね。」
と、さほど驚くわけではなくユウくんが入って来た。
「ホール落ち着いてる?まだ、忙しそう?」
ヒナコは私に抱きついたまま、彼に確認した。
「…わりとヒナコさんが休憩に入る前よりは落ち着いてますが、待ちがないだけでぼちぼちテラス席も入ってますよ。」
と、伝えながら彼は賄いを食べるためにテーブルにつく。
軽く手を合わせて小さく“いただきます。”と言って食べ始めた。
ヒナコは“了解。“と言って、ホールに戻る。
先ほどまでと違って、少しだけ静かで空気が張る。
「今日も賄い美味しいです、リナさん。」
彼は気まずいのか、笑いながら話しかけた。
ヒナコを挟んで話すことはあっても、2人で話すこともなく、言葉を絞り出した感じだった。
「良かった。ユウくんはバイトにはもう慣れた?すごく手際が良いよね。」
私も当たり障りのない話をする。
“ありがとうございます。”と言って、彼は黙々と食べている。
居心地が少し悪くて、早めにキッチンに戻るため準備をし始めた。
「じゃあ、ゆっくりしてね。」
と、ドアの前に立った。
「リナさん、頑張って。」
と、彼はいつもお客様に見せるような笑顔で私に言った。
私は少し引っ掛かったけれどキッチンに戻っていった。
少しキッチンが落ち着いた頃、鈴木さんが納品で来ていた。
「リナちゃん、チェックお願いしてもいいかな?」
変わらず優しい声で対応してくれる。
商品の確認をして、サインと控えを渡した。
「暑くなって来ているので、鈴木さん気をつけて頑張って下さいね。」
私は上手く笑っているのだろうか。
鈴木さんが納品を終えて店から出た頃、
「…顔がかなり不細工になってますよ。」
と、バイト上がりでキッチンの横を通りすぎるユウくんに指摘された。
ちょうど夕方からのシフトの子と入れ違う時間帯で、ホールは少し落ち着いていたが、バックヤードは少しバタついていた。
指摘に少しびっくりしたけど、私は通しだった為、黙々と仕込み作業を続けた。
ちゃんと笑えるようになれば良いと思った。




