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File4―1 怪力強盗と血色の悪魔 〜グダグダと張り詰めて〜

本日投稿2話目。よろしくお願いします。

 〜レフト・ジョーカー〜


 再び重たい空気が事務所内に流れる。

 俺は意を決して、王女に聞いてみた。


「……で、えっと。王女様は……俺達に依頼しに来たんですよね?」


「あ、そうだった。危うく忘れる所だった。このソファーの座り心地が良いのが悪い」


 ……忘れないでお嬢様。俺達の心労が無駄になる。

 まぁとはいえ、我が事務所のソファーが王女に褒められた。これはちょっと嬉しい。


「……そ、それはどうもありがとうございます」


「なんで感謝するの。私は怒ってるの! こんなに座りやすいソファーが悪いって、私言ったもん!」


 怒ってたの!?

 ソファーの座り心地が良いから怒る奴俺初めて見たよ……。

 つまりこれはアレだ、謝るべきなんだな。


「そっ、そーでしたかそれは本当に申し訳ございませんでしたそのソファーは直ちに撤去させて頂きます!」


「何でそんな資源の無駄遣いをするの! こんなに座りやすいソファー……捨てる方が罪」


「……え、えぇ?」


 ……つまり、俺にどうしろと?

 ソファーを置くのも罪、撤去するのも罪。俺そんなにとんち上手くないからどうすりゃいいのかわかんねぇよ。


「……もう俺どーすりゃいいんですか」


「知らない。自分で考えて」


 藁にもすがる思いで王女に聞いてみたが、答えは突き放したようなこれだけ。

 傍若無人もいい所だ。俺、目の前の王女がイラだったら四回はゲンコツ落としてると思う……って、何でわざわざ例に挙げたのがイラなんだ。ライトとかでも別にいいだろ。

 俺はそんな思考を頭を振って振り払った。

 とりあえず話を戻そう。


「えっと……依頼の内容は?」


 王女は今までの悶着は何だったのか、すぐにあっさりと答えてくれた。

 初めからとっとと言ってくれよ、とかそんな恐れ多い事なんて全く思っておりません。おりませんとも。


「うん。今、お父様は世間に秘密にしてるけど、お城の大事なものが盗まれそうなの」


「それって……国宝、ってヤツですか」


「うん。詳しくは知らないけど、怪盗から予告状が来てる」


「……その怪盗って、もしや」


 最近世間を騒がすあの……


「……うん」


 王女は神妙に頷いた。

 俺も何だか緊張して唾を飲み込む。

 そうか……次に俺が相手するのは、あの怪盗――


「怪盗……怪盗……えーっと……マ、マッシュルームみたいな名前の……」


「……マッシュルームはキノコですね」


「えーっと……うーんと……怪盗……怪盗……」


 ……王女様、怪盗の名前忘れちってるよ。

 俺がめっちゃ気ィ張って生唾まで飲み込んだのに、何かこう台無しだよな。

 この王女めっちゃその場を独特の空気にしてくる。


「……か、怪盗ダッシュ、ですよね?」


 ライトが見ていられないと言った様子でそう助言する。

 それに王女様は指を鳴らして『それ!』と叫んだ。……指は鳴ってなかったけど。ぺすん、くらいの音。

 やべぇ。緊張感がねぇ。これから世間を騒がす怪盗と対決する可能性が出てきたのに、緊張感ゼロだ。


「……しかし、どうして俺の所に。憲兵がいるんじゃないですか?」


「ふっ……女には、急に謎の使命感に駆られる事がある」


「……つまりは、思いつき?」


「違うもん! 使命感! 本当に急にぶわって出てきたの!」


「……とりあえず、話を続けてくださいな」


 もう何もかも面倒くさくなった俺は、もう色々考えるのを後回しにして、今はとりあえず詳しく王女の話を聞き進めるのだった……。



 ****



 〜怪盗ダッシュ〜


「ふっ、ふっ……」


 暗い部屋の中、吐息だけが漏れ出るように聞こえてくる。

 俺は怪盗ダッシュ。世間を騒がす怪盗だ。

 今俺は、すぐそこに控えた盗みの日に備えて準備をしていた――即ち、きたる……“鍛錬”だ。

 ちょうど一〇〇〇〇回目のスクワットが終わった。次は何をしようか。腹筋でも鍛えようか?

 そんな事を考えていると、背後に誰かの気配を感じた。それはいきなり現れた――まるで影から溶け出してきたかのようだ。

 その気配の主は、俺に話しかけてくる。


「よう、怪盗。準備はどうだい?」


「……その前に、誰だよお前。まずは自己紹介。それがつねってなけりゃならねぇ“常識”だろうが……って、怪盗が常識語るのはおかしいか?」


 気配は二つ。一つは男。もう一人は女のものだ。

 俺はふつふつと筋肉を湧かせた……自分の身に、いましめを……いましめを。“警戒”だ。


「俺か。俺は……お前と同じ()()()()()()()


「ほう……で、その指名手配犯が俺に何の用だ」


「……少し協力を頼みに来たんだよ。俺、どうしてもぶっ殺したい奴がいてさ。そいつを殺すのに協力してほしいんだ」


「言っておくが、俺は不殺主義だ。誰も殺さず、己の力のみで欲しいモンをうばる……“奪取”する。それが俺のやり方だ」


「ああ。知ってるよ。協力っつっても殺しの片棒担いでくれとは言わねぇよ。俺が頼みたいのはただ一つ――()()()()()()()()


「……いいだろう。その代わり、お前の方こそ()()()()()()()()()


 激しく闘志がぶつかり合う。

 向こうは闘志、ってより殺気って感じだったが。


「……契約成立、って事でいいんだな?」


 殺気を孕んだ声で、相手が俺に聞いてきた。

 俺は黙って頷く。

 今ここに……静かに、奇妙な協力関係が生まれたのだ。

 俺はもっとあとに……“最後”に、背後にいる男に振り返り、質問をする事にした。


「……なぁ。お前がぶっ殺したい奴ってさ。この国の王様?」


 男はすぐに答えた。


「……違ぇよ。俺が殺したいのは――()()()()


 俺は、笑った。

 闇の中に光る男の碧眼が、一瞬紅く灯るのを見て。



 ****



【キャラクター設定】 〜ウィンダリア家家族構成〜


 ・父……フーティ・ウィンダリア。優秀な国王。ちょっと優しすぎるため、そこを付け込まれる事がたまにある。スカルとはまだ若い時に『ロー〇の休日』みたいな出来事があってからの仲。実はかなりの巨乳好きである。長女リナリアに城内に隠してるエロ本の在処を全部把握されており、頭が上がらない。


 ・母……アフロディーテ・アンクリネス。元は愛や性などを司る天人族であったが、掟を破ったために不浄アンクリネスの烙印を押されている。ちなみに破った掟は『天人族は他種族と結ばれてはならない』というもの。人間族の国王と結婚して王妃になる、とここまで堂々と掟を破られると、いっそ清々しい。性格はまぁ、国王と駆け落ちして王妃になったり、その王妃権限で同人誌買い漁ったりしてるし褒められたものでは無い。だが、一応過激な描写のあるものは隠し本棚などに隠すなどの配慮はしている。愛を司る多感な彼女が一番愛しているものは家族。


 ・長女……リナリア・ウィンダリア。一八歳。わがままな引きこもり。容姿は美しくボディーラインも魅惑的で男なら誰しも振り向くが、性格がわがままで鬼畜ドSと非常に残念である。城内には、引きこもりを続ける彼女に辟易する者も多い……が、彼女に逆らうと後がかなり怖いので誰も何も言わない。


 ・長男……セルベール・ウィンダリア。一四歳にして、英才教育が花開かせた才能を駆使して国王の仕事をサポートしている。ファンクラブが世界中にあったりする。性格良し、ルックス良し、収入良しの高嶺すぎる花である。通称完璧人間。


 ・次女……アリア・ウィンダリア。九歳。一言で説明するなら、不思議ちゃんである。常にどこかぽーっとしていて、かと思えば突如としてどこかへ走り去っていくなどの奇行に護衛などはとても迷惑している。多分この子も、アフロディーテやリナリアみたいなナイスバディになるだろう。片鱗出始めてるし。既にイラよりも胸は大きい。イラが小さすぎるとも言える。もしくは無成長。

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