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『碧の章』第18話:平和なティータイム

「さて、カンナ君コレを渡そう。」


 1人思考の落とし穴に自ら突っ込んでいた利緒に、セラヴィから声がかかる。

 セラヴィの手には、銀色の薄い6cm×9cmくらいのプレートがあった。利緒は、装着していた検査用のアクセサリーを外すように言われ、それらと交換で、プレートを受け取る。


「これは?」

「これが一般に言われる霊晶地図、マギアだ。」


 検査が一通り終わり、マギニアへの入領審査はひとまず終了した。滞在許可も降りた為正式に貸与されることとなった、とのことである。


 受け取ったプレートを、手の上で弄り、両面を確認した。利緒は「ファンタズム・ゼノクロス」のカードサイズがこれくらいだった、と思い出す。残念ながら、背面にイラストがあったりはしなかった。


「身分証明書、滞在許可証、その他にも色々と機能を持っている。無くさないよう気をつけるように。」


 支払いも出来る、と聞いた時にはスマホか、と利緒は思った。

 霊晶地図と呼ばれるのは、地図を便利にしようとしたことがマギアの始まりだかららしい。幻影魔法でプレートの表面に様々な情報が映し出される様が、地図のようであったことも理由の一つと教えてもらった。


 これで誰か他人と連絡を取り合ったり出来ないか、と聞いてみたところ、精神感応魔法を応用した機能が研究中とのことだ。

 そこまで出来たらもはや「地図」なのかと思うのだが、一度根付いた名称というのはなかなか消えないものらしい。


「はい、ありがとうございます。」

「これで君もマギニアの正式な客人だ。」


 長く疲れる検査を乗り越えた甲斐があった。利緒は手の中で冷たく光る「マギア」をみて、なにやら感慨深かった。



 セラヴィと別れ、研究室を後にした。一緒にいるのは、ヴィズィー、アーシャ、ニナの3人娘だ。


 利緒は当面、学園で労働に従事することにしたが、アリアから仕事については明日改めて説明をする言われたため、今は時間に余裕がある。

 クーネアは、アグロギアを使ってすることがあるというので、学園で別れることとなり、代わりに、3人が案内を買って出た。


 マギアの使い方のレクチャーを受けながら、3人のお勧めする喫茶店へと向かう。

 特に目的も、やりたいこともない利緒は、落ち着いて会話も出来ると聞いて二つ返事でお店に向かうことにした。なんでもケーキセットが美味しいと評判で、特に若い女性に人気があるらしい。


 マギニアは全体的に灰色の目立つ街ではあるが、学園の老若男女の需要を満たすべく、様々な店が立ち並ぶという。


「リオさんとクーちゃんの馴れ初め、私気になります。」

「それね、私も気になっていたんだ。」

「確かに、軽くクーから話は聞いているけど、カンナさんからも話を聞いてみたい。」


 どうやら3人は、クーネアと利緒の出会いに興味があるようだ。


(馴れ初めって、そんな関係じゃないんだけどね。)


 なんでも、クーネアが生体遺物とはいえ、同年代と思わしき異性について嬉々と語っていたことが、彼女らの琴線に触れたらしい。

 少し顔を赤くしながら関係を否定していたことも、疑念を抱かせるきっかけとなったらしい。その姿を自分も見てみたかった、と利緒は思う。


「そうだね、じゃあクーネアに助けられたところから……。」


 目が覚めたら石室に閉じ込められて降り途方にくれたこと。

 足音が聞こえて、助けを呼び求めたらクーネアだったこと。

 クーネアの目的を聞いて、手助けをしたいと思ったこと。

 目的地へと向かう途中に色々と話したこと。

 《巨壁》とのエンカウントと死闘、少なくとも利緒は生き残れたのは奇跡だと思っている。


「クーちゃん、あのゴーレムを倒せたんだぁ……」

「クーネア、凄いよね。まぁ僕は倒した場面は見れなかったんだけどね。」

「リオの魔法がよっぽど凄いんだけどなぁ。確かあの遺跡のゴーレムって魔導隊壊滅させてたよね。」

「ええ、確か魔法が効かなくって2部隊がやられてます。ジルモーティンが強化魔法を重ねがけしてようやっと倒したと記録にあります。」


 魔法が効かない巨人は、かなりの被害を引き起こしたらしい。メイン武器が封じられた状態で質量兵器が襲ってくるのは、脅威である。


「ジルモーティン?」

「……強化魔法の研究者で「魔法は筋肉のためにある」という理念を持っている変人です。」

「へぇ」


 強化魔法も研究対象ではあるが、そこで「筋肉のためにある」などという男は学園でも流石に異常らしい。


知らないなぁ(・・・・・・)。ある程度有名なキャラクターであるなら、カードになっていそうなものだけど。)


 利緒は、知らない有名人がいることに少しだけ驚いた。


(……まだ、どこか夢の世界だと思っているんだろうか。)


 利緒の知る碧のユニットは100もいない。

 そう考えれば、知らない人がいることくらい当たり前ではある。


「リオさん。続き、続きだよ。」


 大人しめな印象を受けていた、ヴィズィーの食いつきに面食らいながら、利緒は話を続ける。学園生は、優秀な人材であるが、お茶とケーキと話を楽しむ少女たちは年相応に見えた。


「そういえば遺跡の中でクーネアに聞いたんだけど……。」


 お茶を飲みながら、平和な時間はゆっくると過ぎていく。

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また、誤字脱字などありましたら宜しくお願いします。


2017/09/04 レイアウトの調整

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