装飾
俺たちは洋服屋に着いて、中に入った。
財布の中身は、そろそろなくなりそうだ。
まぁ、仕事も行かず借りた金で生きてきた俺だ。なくなるのも無理はない。
「楽しくお買い物したいなぁ」
目をキラキラさせて洋服を見回す少女を見て、俺は近くにあったいかにも女子っぽい服を渡す。
「いくつか持ってって試着するか。」
そういって俺たちは店内を歩き始めた。
・・・・・・・・・・・
「こんなもんか?とりあえずひとつずつ見てみるか。」
俺が少女に似合うと思う洋服は四着あった。
「わかった!」
少女は試着室に入り、着替えを始める。
俺はその間に自分用の持ってきた適当な服に着替え、血が付いた洋服はその場に置いた
携帯灰皿をカウンターに置き、煙草を取り出して火をつける。
「禁煙だろうけどな...」
少女に気づかれないように試着室から出てくる前に火を消し、携帯灰皿をポケットにしまう。
「どうかな~...」
一着目は微妙な感じだった。
「お前に黒は似合わないな。次はピンクだけど...」
黒を基調にしたズボンとインナー、そして白のジャケットという組み合わせは少女に絶望的に似合わなかった。
___まぁ、純粋だしな...___
「じゃあ着替えるね!」
そういって少女はまた試着室に入っていった。
今度は携帯で通信を試してみる。
「お....」
非常に微弱ではあるが電波を受信することができた。
「親父...」
前に縁を切ったはずの親父に、ダメもとで電話をかけてみる。
・・・・・・・・長いコール音。
親父は、出なかった。
「まぁ、仕方ねえな。死んでるなら」
もしかしたら生きているかもしれないが、俺は縁を切ったのでどうでもいいと思った。
「着替えたよ~!」
今度はピンクのスカートにピンクのトップスだが....
「これもだめだな...じゃあこのピンクのセットもだめだな。」
惜しいところまでは来たが、まだ少女のイメージ通りではなかった。
「んじゃ、最後。これな。」
そういって俺は自信のある最後の洋服を少女に渡した。
「これならすぐ着替えられそう!」
嬉しそうに試着室に入っていく少女の背中を見て、俺は微笑んだ。
__親か、俺は____
俺と少女の年齢差を考えても、親子ほどの差がある。
「ま、こんな状況じゃ関係ねえけどな。」
独り言のように、つぶやいた。
「着替えたよ!どうかな?」
試着室から出てきた少女は、まるで天使のようだった。
「ああ。お前にはそれが一番似合うよ。」
白のワンピース。シンプルだがそれが一番少女に似合っていた。
「んで、これをつければ。」
おれは少女の頭に麦わら帽子をかぶせる。
「まぁいいだろ。」
俺と少女の間には、夏の雰囲気が漂っていた。
「お兄さん、トイレ行ってくるね!」
少女がトイレに行くと、遠くからゾンビどもの叫び声が聞こえてきた。
「ここに来るのも時間の問題ってか。
俺は車に向かい、ハンドガンにいつもの刀、そして...
__ありがとうな、爺___
爺がくれたデザートイーグルをズボンのホルダーに仕舞い、感染者がここに来るのを待った。
少女が手洗いから帰ってくる、その前に........
是非感想待ってます




