1/41
結果がすべての会社
午前9時、決まりきった朝礼が始まる。
「声が小さい!」「やる気あんのか!」
そんな怒号にも似た指導が飛び交うこの空間は、やる気を出すための儀式ではなく、やる気があるように見せるためのショーだった。
株式会社C-GATE。
一応、広告代理店という肩書だが、実態は「営業会社」の名を借りた体力勝負の電話部隊。
毎日400件近いテレアポ。数で押して、たまたまつながった1件をものにする。
中身より先に数字。人柄より先に結果。
そんな会社で、高峰カケルは4年目の社員だった。
「高峰、お前さ、今月いくつアポ取った?」
朝礼の締めくくり。
まるで公開処刑のように、田嶋課長が声を張る。
「……2件です」
「は? 1日何件かけてんだ? それで2件って、逆に才能だな。笑」
周囲の笑い声。
けれど誰も目は笑っていない。
「お前のポジションにはなりたくない」と言いたげな、遠巻きのまなざし。
カケルは、笑わない。笑えない。
ただうつむいて、「すみません」とだけつぶやく。




