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プロローグ



曇った昼だった。


空はずっと灰色のまま。

太陽もない。

夜にもならない。


それがこの世界の普通だ。


サンデーはゆっくりと歩いていた。


崩れたビル。

歪んだ道路。

遠くでは、意味の分からない言葉を話す人影が歩いている。


幻影人間――ファントムヒューマン。


この世界が勝手に生成する住人だ。



「……まあ」


サンデーは足を止める。


前方の路地から、男が現れた。


痩せた男だった。

目は血走り、口元には笑み。


「見つけたぞ……」


男の体が歪み始める。


骨が膨張する。

筋肉が膨れ上がる。


腕が裂け、黒い毛が生えた。


「侵入者ぁ……!」


狼のような怪物が吠えた。


サンデーは少しだけ首を回す。


ゴキ、と骨が鳴る。


「……ここではまだ健全だな」


右腕を軽く振る。


その瞬間。


腕の骨が伸び、肉が裂け、

前腕がそのまま刃へと変形した。


怪物が突進する。


速い。


普通の人間なら反応もできない。


だがサンデーは一歩も動かなかった。


怪物の爪が振り下ろされる。


その直前。


サンデーの体がわずかに傾く。


爪が空を切る。


「遅い」


次の瞬間。


銀色の刃が閃いた。


ザン――


怪物の胴体が斜めに裂けた。


数歩よろめき、

怪物は地面に崩れ落ちる。


体は黒い液体へと崩れていった。


サンデーは刃になった腕を元に戻す。


骨が戻り、肉が再生する。


「現実よりはマシだ」


空を見上げる。


ずっと曇った昼。


「少なくとも、ここには仕事がある」


遠くの街で、悲鳴が聞こえた。


誰かが夢に侵入したのだろう。


サンデーは歩き出す。


この世界の名前は――


夢世界。


ここで殺された人間は、


現実で死ぬ。

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