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ユメモノガタリ~2~  作者: 久川 りつき
39/51

ー眠り姫ー




クロノはシオンを優しくソファに下ろすと、


その閉じた瞳に手を当て


何やらブツブツと唱え始めた。




「さあ眠り姫・・・・・


お目覚め下さい・・・・」



その言葉と共に、クロノの手のひらから淡い光が漏れ


シオンの瞳を照らすと、その瞳は


ゆっくりと開かれた





ーーー・・・・・・・んぅ・・・・・・ーー





アカズサとイオリは、目覚めたシオンを見て胸を撫で下ろす




まるで死んだように眠るシオンを、



2人はずっと気にかけていたのだ。



アカズサ達が見守っていると、シオンは



まるで眠の奥底から、たった今浮上したかのように


ボンヤリとしている。




「・・・・シオン?大丈夫か?」


「僕達の事ちゃんと覚えてる・・・?」




ーー・・・・え・・・・・







・・・・・・えっと・・・・・・





・・・・・・アカズサさん、イオリくん・・・・





・・・・・・これは一体、




どういう状況なのでしょうか・・・・??ーーーー







シオンは、しばらく部屋の中を見渡したが


この部屋は戻いた部屋ではない、


先程まで血だらけで倒れていたアカズサが


ピンピンとしている事も気になるが、


敵側であったクロサギが同室内に当たり前のようにいて



何やら物を漁っているその様子にも合点がいかず



シオンは困惑していた。



アカズサ達は、できる限り手短に



事情をシオンに説明する。



シオンは、室内の者達の雰囲気を察し、


緊張しながらも3人の説明を聞いていたが、


クロノから、



オワリを封印する為の作戦を聞かされて



顔が



少しづつ強ばって行くのが、



アカズサとイオリにはハッキリと分かった。






「・・・・っと言う計画なのでございます。


つまり、


シオン様にはこの後に森の崖に立ち、


オワリ様を誘きだして頂きたいと・・


・・・大丈夫ですか?」





クロノが、青白くなった表情をするシオンに気がつき、


声をかける。







ーー・・・・・は、・・・・・はい。ーーー






シオンはこう言うが、明らかに動揺し、


オワリと対峙しなくてはならないと言われ



恐怖しているようだった。



前で合わせている小さな両手が、



小さく震えている。




無理もない事






クロノの言う策は、



シオンに



犠牲になれと言っているような物なのだから。




アカズサは、



シオンの震える手を取る。





ーー・・・・・アカズサさん




・・・・・・イオリくん・・・・・・私・・・・・・ーーー





「いいかいシオン、



嫌なら嫌と言っていいんだ。」




アカズサの思いもよらない言葉にシオンは目を見開く。




「・・・お言葉ではございますがアカズサ様、


他に良い策など・・・」


「シオンが怖がっているんだ、


俺は無理矢理させるつもりはない。」



アカズサは、凛とした声で言い放つ。



「・・・・アカズサ。」



その様子を、イオリは黙って見ていた



ーー・・・・ッーーーー




シオンは、何と言えばいいのか分からず


下唇を噛みうつ向いている



アカズサは、


シオンの肩を優しく包むと


「シオンがこのまま逃げたいと言うなら、


俺はどんな事をしてでもシオンを逃がす、


オワリがどんなに追いかけてきても逃げ続ける。


〈約束〉するよ。」




アカズサは、そう言うなり


シオンを抱きすくめる。



ーー・・・・・!!!ーーー




「君は俺の大切な人だ。


傷付いて欲しくない、それが俺の本心だよ。





・・・・でも、




もしシオンが




オワリと対峙すると言うのならその時は









俺の命に代えてもシオンを守る盾になろう。」







その言葉に、シオンは身震いした。


アカズサは本心で言っている。



それは


抱きしめられ、密着しているアカズサの鼓動からも分かる。



「・・・・・バーカ、



僕達だろう。」



その声にシオンが顔を向けると、


イオリが眉を寄せながらアカズサを見ていた。






ーー・・・・アカズサさん・・・・・イオリくん・・




私は・・・・・・






私は・・・・・・・・・ーー





シオンは言いかけて一度、






深呼吸をした。





まるで







決断を迷う自分を追い払うように











まるで











恐怖に負けそうな自分を隠すように













ーー・・・・・・やります。ーーー







シオンはクロノに向かい、


真っ直ぐに見つめたまま答えた。


その瞳には確かに恐怖の色がチラついているのに、


それでも少女は、


自らを囮にする作戦に同意したのだ。



「・・・・シオン。




確認するぞ、



それが、お前の意志なのか?」



アカズサはシオンの頭を撫でる。



初めて会った頃と変わらない、


腫れ物を触るような、優しい手つきで。




シオンはその手の温もりに少し目を細め、


頭を撫でていたアカズサの手を取り


自身の頬に当て、目を閉じた。



ーーアカズサさん・・・・・



私、本当言うと



とても恐ろしいんです。


・・・死んでしまうかもしれないと思えば思う程





手が





足が





震えて、すくんでしまいます。






・・・・・でもーーー





そこまで言って、シオンは少し目を震わせながら






ーー・・・・・でも










ここで逃げ出したら・・・








・・・・私は全てを失います。






私を守ってくれたアカズサさんやイオリくん







コチラで出会ったケケちゃんや、沢山の人達。







・・・・・それから








・・・・・私を












産んでくれたお母さんの記憶や、












想いを紡いで付けられた、大切な名前も・・・・












・・・・だから











どうか










私を














支えて下さい












ちゃんと立ち向かえるように。













側で私を守って下さい。ーーー


















「「当たり前だろ。」」





涙しながら語るシオンの手を、



アカズサとイオリは互いに握りしめると、




確かにそこに














異界を越えた












絆が結ばれた。




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