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ユメモノガタリ~2~  作者: 久川 りつき
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33/51

ーその番人達はー





その声に驚いて振り返ると、




そこには見たことのない1人の青年が立っている。



青年はまるで、


森のように深緑な緑色の髪をたゆたせ、



体には何種類もの植物が巻き付き、花咲いていて


衣服のように形作っている。



瞳は、アクアマリンの宝石のようで


見るからに、この世ならざる者の出で立ちだった。







ーー・・・・あ・・・・貴方は・・・・????ーーーー







「!?・・・・お前は(ファスト)!?



・・・・・・なんでここに・・・」





カンヌイさんが、驚いている。




・・・知り合いなのだろうか・・・??






「カンヌイ、お久しぶりです。


貴方は相変わらずのようで安心しましたよ。



・・・そして




------、まさか-コチラ-で会えるとは思いませんでした。」







ーー・・・・・・・・・・ーーー





・・・・・え?











・・・・・・何て言ったの・・・・・??







「・・・・・・???おい(ファスト)、


(------)って誰だよぉ?」






「おや?


もちろん彼女の名前ですが・・・


まさか眷属のくせに主人の真名も知らないのですか?」




「・・・・!?」



ーーえ!?わ、私の真名って!?ーーー




「ああ、すいませんコチラでは(シオン)と呼ばなければ


真名は聞こえないですよね、貴女の(声)は



-----が持っているのですし。」





・・・・・このファストさんって人は




何故こんなに事情を知っているのだろう?






「・・・・・------ってのが、シオンちゃんの真名かぁ、




ククククッ!




-あの-2人には絶対教えられねぇなぁ♪」





カンヌイさんは楽しそうにしているけど、



私はそんな事よりも



ーー・・・・・あ、・・・貴方は誰なんですか・・・?・・ーー






「おやこれは失礼、


私の名前はファスト。


〈生の番人〉をしています。」




ーー!?〈生の番人〉!?ーー




「はい。


私は〈死の番人〉と対になる存在でしてね。


----が監獄から飛び出して行くのが見え後を追って来たのですが


アレの波動を受けて、


こんな所に飛ばされてしまいました。




ですが、おかげでこうしてシオンに会えました。


貴女は覚えてはいないでしょうが、



私には少しばかり





・・・貴女に(恩義)があるので。」



ファストさんはそう言うなり


私に近づいて来て手を取ると、ファストさんの体から出ている草木が


私の手を伝い始める。



ーー!!??ーーーー





「おい!!」





「カンヌイ、そう焦らないで下さい。


取って食べたりしませんよ。」







ファストさんが言う間も私の手の平を草花が茂っていく。




私が驚きのあまり息を詰まらせていると、


ファストさんが私の耳元に顔を近づけてきて




「-------、






・・・私の事を覚えていないと言うのは




分かってはいても、やはり嫌なものですね。




本当なら今すぐに私の所へ連れて行きたい所ですが


生憎と、貴女はまだ(生)を全うしていない。



・・・なので、今は貴女を(想い)これだけとしましょう。」





ファストさんの、頭がクラクラとしそうな程の色気のある声に、



私は内容に全く集中できなかった




ふと違和感に手を見ると



絡み付いていた草の(つる)がスルスルと引いていき、



草花がすっかり手からほどけると、


私の指には、


深緑の色をした指輪がはめられていた。








ーー・・・・・こ、これは・・・・・??ーーー






「・・・!!!!おいファストお前何のつもりだよ?」






「シオン、それは貴女を守ります。


ですが、今は追放となっても〈死の番人〉であった程の力を持つ


------の魔力を防げるのは、精々一度きりでしょう。


先程も言いましたが、私と----は元は対なんでね



魔力も互角と言った所なんですよ。」





カンヌイさんの言葉を無視してファストさんは話を続ける。



私は、その綺麗な指輪に見とれていると、


頭上からファストさんが声をかける。




「・・・さあ、


そろそろこの空間から出ないと


シオンは


あまり長居をすると出られなくなってしまいますよ?」






ファストさんの言葉に私の心臓はドキリと音を立てる





ーー・・・・・!!??で、でも出口がないんです!!ーー




私の困惑した声に、ファストさんは不思議そうな顔をしてから、



次には苦笑いを溢した。





「・・・フッ



おやおや、珍しい事もあるものだ。



クロノ、居るのだろう?



あまり彼女を困らせるものじゃないよ。」






ファストさんが天を仰いでそう声をかけると、




どこからともなく声が聞こえてくる






「・・・・・これはこれは、



〈生の番人〉ファスト様。



まさか貴方様がこんな所にいらっしゃるとは思いもよりませんでした。



今出て参ります。」






その声がした方を見ると、



白い煙がモクモクと沸きだして、


煙の中から、


ずっと探していたクロノさんが現れた。



ーー!!!!!ク、クロノさん!!!!!


一体今まで何処にいたんですか!?



わ、私、危うく殺されかけたんですよ!?ーーー





私は、思わず彼に大声を上げてしまった。






「・・・・・シオンさん、失礼致しました。


ここは(時の回廊)と申しまして、


私が管理している空間なのです。


この空間に迷いこんだ死者の魂を管理する事も、


この私、



〈時の番人〉の務めなのです。


700年程前に、


この空間を彷徨(さまよ)っていた(とある方)の魂と、




今回の騒動の発端でもある〈死の番人〉との間に繋がりが見えた事を不思議に思い、




私は兼ねてからその魂に接触を計っていましたが一度も成功しませんでした。




先の騒動からシオンさんを匿う為に空間移送をしました際、




あの方の魂がシオンさんに強く共鳴しているのに気がつきまして、


危険と知りつつ、



もしや(あの方)の魂の言霊を聞く事が出来るのではと思い、



様子を見させて頂いたのです。」




クロノさんのあまりの身勝手さに、


私は思わずワナワナと手を震わせてしまったけど、



・・・・(あの方)の魂って言うのは、多分ヨミさんの事なのだろう。





「正直、あの怨霊が、今まで見たことがないほど、


執拗にシオンさんを探しておりましたので、


どうなるのか見届けたい興味が勝っていました。


・・・でもまさか



(浄化)してしまうとは思っておりませんでしたが。」



事も無げに言い放つその姿に、



私は、



やっぱり人間の常識が通じない生き物なんだと



痛感した。





ーー・・・・・・はあっーーー





私がため息をつくと、その様子を見ていたファストさんが




クツクツと笑う。




「シオン、まあそう怒らないでやって下さい、


クロノは〈時の番人〉です。


その使者としての務めは彷徨(さまよ)う魂の導き。


昔から少々職務を放棄しがちな所はありますが、




いったん興味が湧くと、


今回のように見境が無くなるんです。


それはこの男の本能のような物。


コチラではそれが、



(常識)となります。覚えておきなさいシオン。」




ファストさんにそう言われて、


私は2度目の深いため息をはいた。





・・・・ーコチラ側ーの常識・・・・・か・・・・




そうだ、アカズサさんやイオリくんが合わせてくれていたから、



そもそも私は生きて来られたのだろう。





「・・・・ふぅん?



それでぇ?


シオンちゃんはその死んだ魂に接触してぇ何か収穫はあったのぉ?」



カンヌイさんの言葉に、私は、



先程ヨミさんと会った事を、話しても良いのか悩んだ。







大体、あれは現実だったのかすら怪しいし。





恐怖のあまり私が生み出した幻影の可能性だってある。




私が言い淀んでいると、クロノさんがズイッと近づいてきて




「・・・まだあの方の魂に興味があるのは間違いありません、




ですが





今は(貴女の)魂に興味があります。


何故、魔力も無しに眷属を召喚でき、


何故、神気も無しに浄化が行えたのか。






とても気になります








・・・・貴女は何者なのですか?」



クロノさんの時計の瞳はランランと光り、


私を見つめている。






・・・その目には見覚えがある









カンヌイさんが










初めて私と会った時の目と同じなんだ。








まるで
















新しいオモチャを見つけた子供みたいな目











ゾクリとするほど、不気味な目






ーー・・・・・・・・クロノさん、




私はそんな事よりアカズサさんとイオリくんが心配です、


・・・もし


2人に力を貸して下さると言うなら、


いくらでも私を調べて貰って構いません。




どうかお願いします!ーー





私が決意を込めた目で話すと、


クロノさんはキョトンとした目をした。




「・・・・・





・・・・・フフッ



本当に貴女は面白い方です。





よもや、


人間の貴女から提案を受けるとは思いませんでした




・・・・分かりました。


元より、〈死の番人〉たる地位であった------様が


ああなってしまった以上、


〈番人〉の者達5名の力を以て封印しなければなりません。


その為にはシオンさんには生きていてもらわなければ


私の計画が狂ってしまいます、




私の力をお貸ししましょう。」




クロノさんはそう言うと、


片手を腹に添えてお辞儀をした。



その様子を見てから、ファストさんは話し出す



「・・・・さて、名残惜しいですが



私はあの------の足止めをしてくるとします。


すでに他の〈番人〉が接触しているのでね。


シオン、



・・・また会いましょう。」




ファストさんは、言うないなや、


生い茂った植物に包まれ、


跡形もなく消えてしまった。



「・・・ファストとシオンちゃんってさぁ、


知り合いなのぉ?



さっきムカつく位イチャついてたじゃん?」



カンヌイさんの、突然の言葉に私は動揺する




ーーイチャ!??・・ち、違います!!!!


・・・私の方が聞きたいですよ、



何も覚えていませんし・・・ーーー






「・・・・フゥーーンッ




まあどうでもいいけどさぁ、



この騒動済んだら速攻その指輪取りなよぉ?



取れなかったらさぁ俺が指ごと綺麗に切ってあげるからぁ♪」



ーー!!!!??ーーー




それは困る





切った指をビンに積めてニヤニヤと眺めるカンヌイさんが頭をよぎって、



私はブルブルと身震いした。






「・・・・・仲がよろしいようで、



見ていて微笑ましいですが、




そろそろ行くとしましょう




・・・お2人の気配に異変がありました。




手遅れになっていなければ良いのですが。」




クロノさんの言葉に、今度は顔が青ざめる






ーー!!???は、早く戻りましょう!!!ーーーー




「ではシオンさん、私の目を見ていて下さいね


カンヌイ様はシオンさんのお側においでください。











行きます」





クロノさんがそう言うと、


時計のような瞳がゆらめき



その針が





チクタクと





動き始めた





その次の瞬間には






私達は






回廊から意識が離れ



















何故か目の前には















腹から血を流し










息も絶え絶えのアカズサさんが視界にはいった。






ーー







・・・え








あ・・・・・・・・ア・・・・・









・・・・・・・・・アカズサさん!!!!!!!!ーーーー

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