雑草屋
魔物が来ない故に危険な草原で心ゆくまで雑草探しができる。
「それは男の子としてのファンタジーは台無しですね…」
「そゆこと」
雅美ちゃんも理解してくれたのか落ち着いて座っている。
まだ、裾は離してけれないけども。
そんなこんなで、一人関係なく世界でファンタジーを探してたら薬草採集くらいしかできないし、そのうち和食が恋しくなってきちゃったんだよね。
「そして雑草屋に至ると」
「…雑草屋じゃなくて素材屋です」
似たようなもんだけど、その違いは結構重要なんだから、出来たら一緒にしないようにしてくれい。
「でも、素材って言ったら、普通は魔物の部品が素材ですよ?」
部品って、また随分オブラートな言い方したねー。
「獣系は二人が狩るから、それでいいんだよ?
普通は依頼を受けてその素材を手に入れるために討伐に行くわけで、ウチは基本的に依頼は受けないで関係ない素材ばっかり集めて売るから素材屋なの」
「依頼なんかは受けないんですか」
「ホントに簡単な依頼でも受けてないみたいだね。穫れる時期が絡むような“渡り鳥”捕獲みたいな依頼とかは狩れないでいると違約金とか払わないとならないから、多少安くても量だけ確保して歩く方が気が楽…って、二人が言ってた。」
実際、自分たちで依頼を出す予定の薬草や魔物を刈り尽くしてから依頼する者もいるとか。
絶滅じゃないにしても近辺に無い状態にしておいてから、その薬草の採集依頼を出す。《違約金待ちの依頼》を出す悪徳な依頼者もいない訳じゃない。
《池のほとりにある草を何十本の採集》や《兎の皮を何枚》みたいな形になるらしく、依頼の品自体は難しく無くて違約金が少しだけ高いだなんて形になるとか。
ただ、そう言った依頼は不自然でギルドが受付け段階でハジくから引っ掛かる事もないとはいっていたけどね。
でも、魔物系以来は難しいよ街道沿いに依頼された魔物が出ることはないし、数日はその依頼に縛られる。
それも、二人にはいやなんだと。
それに、依頼は受けないで手持ちの中から依頼の素材を探すパターンの方が効率がいいから、ある程度慣れた冒険者になると期間付きの狩りなんかは受けないのが普通で、依頼を受けてから探すが初心者特有の行動なんだって。
「向こうじゃ、ほとんどの人が依頼受けてから動かない方針でしたよ」
「それこそ場所によりけりでしょ?」
まぁ、この辺じゃ初心者のうちはそうしないと割のいい依頼になんかありつけないから結果的にとびついてしまうんだけどね。
雅美ちゃんが居た方は、冒険者が沢山いたんじゃないのかな?
この辺りは流れの手練れをしているような冒険者はまずこないし、既存の冒険者の規模も小さく人数も限られてる。街にいる冒険者としては普段から仲良くしていた方が無難なんだよね。
それこそ、ガツガツ稼ぎたい人は迷宮に行く、初心者として登録するにも迷宮のある都市から登録する方がカッコイイ(・・・・)んだって。
そんなだから、迷宮都市では別段珍しくもないんだとさ。
田舎から出てきた流れの冒険者の方がまだ注目浴びるらしいね。
チュートリアルは田舎の方が丁寧らしいし、迷宮で登録した冒険者は《ありがちな奴》で終わるレベルがやたら多いとか…。
でも、ウチは『うちもそろそろ迷宮都市に』なんてならないから、当分の間はこのあたりで徘徊してんだろうね。
二人が魔の森に入ってけば素材はいくらでも手に入れてきてくれる。
オレはその待ち時間に薬草探したり野草を探してるだけ。
他の冒険者からしたらサポーターどころか現代で言う所のヒキコモリやニート(無職)見られる。
実際、養われてる感が否めません。
「ニートまでは行かないとおもいますけど、家政婦さんとか…」
―奥さん?
雅美ちゃんが、苦笑しながら言うけど、それシャレにならないから、それ言ったらオレたちの設定からしてお姉妹になるんだよ?
となると、オレはこの先、妹(雅美ちゃん)にも養われるダメ兄貴になるのか?
「奥さんじゃないにしても専業主婦でいいじゃないですか」
そもそも、オレに奥さん役は無理だ、いくらなんでも、オレに裸エプロンでお出迎えなんて真似は流石にできない。
「普通の女の子なら、裸エプロンって言葉でドン引きしますよ」
なるほど、Ai故に成せる業か。
―二人にやるにはちょーーーっとハードル高いな。




