正面突破
さて、被りました。
「…今の影丞さんが日本を歩いたら即逮捕ですよね」
「お互い様だけどね」
同じ姿のmarkⅡのクセに生意気な。
「…それで、アテはあるんですか?」
雅美ちゃんもしぶしぶとは言えよく了承したもんだよ。
行くあてなら幾つか候補があるんだけど、多分一番安全なのは…一番ヤバい場所にあるんだよね。
すなわち、ピンク街。
現時点では健と真一が行きそうな場所は彼処しかない。
二人だけで街を出ている可能性は低いし、緊急時にお互い分かり易い場所に行くことにしている。
つまりマリーさんのいるお店。
避難場所って言っても地震の時の避難に選ぶ場所じゃないからね、人の出入りが激しく余所者がたくさん居て他人には分かり難い場所がいいんだよね。
どこに行くより分かり易くて分かり難い。
そんな場所だから犯罪者だっているし、若い娘が一人で入り込んだら裏路地に連れ込まれたりで結構危険なんだよ。
ここにいる余所者の冒険者は全員が若い女で、明らかに質の違う者が入り込むとガラの悪いお兄さんがワラワラ出てくる街を歩くには都合が悪いだろう。
「…そんな場所までわざわざ行く必要があるんですか?」
「必要っていうより隠れた旨いもんはそっちに多い」
また、女の人が沢山居る街でもあるから手土産にすりような甘いものやツマミだとかも色々あるんだよね。
「…結局、食い気ですか」
「こんなとこじゃ、オレみたいのは食う意外に楽しみないからね」
悲しいかなピンクの店からは追い出されるんだ。
「それでよくその体型を維持できますね」
「…体型も何も、普段から粗末な食事してりゃ肉なんかつかないよ」
「ソウデスカ」
若干凹んでるが、これまで豪華な旅してきたお陰で肉がついてるんだとさ。
見ただけじゃわからんよ?
「甘いもの食べた翌日なんか二の腕の下とか気になるんですよぅ」
「そんな直ぐに脂肪が生産されるなら世の中誰も飢えてしんだるせんわ」
自堕落な生活してたって一日じゃ見た目でわかるほどの変化は無理だろうに。
「その考え方が出来る辺り、やっぱり影丞さんも男の人なんですよね」
「よく、精神は外見に引きずられるとか言うけどな、不細工よか美形の方がよっぽどクズが多いんだぞ?」
器に精神が左右されるなら、不細工は醜悪な人間ばかりでないとならないし、美形は聖人君子でなければならない。
しかし、見た目そのものもいない訳ではないが、美形は異性交遊の激しく泣かされる女性が多いし、不細工のほうがよほど異性を大事にし立派な人がたくさん居る。
結局は中身は中身で別物である、確かにとりまく環境は強く影響するだろうが、その者の中心に信念があれば肉体の違いなど誤差の範囲内であると影丞は考えている。
「…またエラい骨太な日本男児がここにいるんですねぇ」
雅美ちゃんよ極端というほどでもないぞ?
「ちっちゃいのに(爆)」
―頭部に被弾・即死。
「ちくしょ…」
「だから、駆け抜けようとしないでください」
走ろうとしたらまたしても羽交い締め…。
雅美ちゃんの中でオレはどんな位置に居るのだろうな。
聞きたいような聞きたくないような…。




