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変身

「てへぺろってなんですか、影丞さんになにかあったら私の責任になるんですから自重してください」


「…どうせ、オレなんか」


「自嘲じゃありません自重です」


自重とは自ら(もしくは立場)に重きを置いて軽々しい行動を取らない“自愛”するとかの意味だね。


地球の政治家さんがなかなか出来ない難しい事(待て)だよね。


「了解、ちょっと引っ掻き回し回したい気持ちがあるけど自重する」


「…真一さん帰ってきて下さい。」


ビシッと敬礼までしたのに雅美ちゃんがハラハラと涙を流しているが、リーダーの健じゃないのがポイントだね。

どの道、何かあったとしても雅美ちゃんの責任にはならないと思うけどね。



「でも、後の事を考えるとトイレは絶対にいっておきたいと思う」


長期戦じゃなくても普通に行きたくなるからね、男らしく窓から立ちションなんて以ての外だし。


「…小窓から出てどこかで借りてくるとか出来ませんか」


雅美ちゃんが指差したのは明かり取りの為に作られた小さな窓。襖の上にある天袋という小さな襖を更に半分にしたくらいの木製の窓で、体の小さな子供や細身の人ならギリギリ通れそうな感じではあるのだけれど、雅美ちゃんはオレなら通れそうだと判断したかー。どうして健達がこの部屋指定で借りたりしているのか考えて見てほしい所でもある。


「…昔から度々試してるんだけどどうやっても引っかかるし突っかかるんだよ。」


現在では上が引っかかり肩まで出すのが精一杯。成人男性ならまず肩の骨を外さないと入れない故に夜這いの心配が要らない、出られる者のない部屋まさにザ・ロック。


本当は長家に健と真一、部屋にオレがデフォルトだけど寂しいじゃん?


「何より安全な宿の部屋を“無駄肉”のせいでアルカトラズ呼ばわりするとか…、健さん達の苦労が目に浮かびます。」


なにか無駄肉を強調したような?男として見てる時はわからなかったけど確かに無駄肉なんだよね、生活が貧しいから体脂肪率は高くないよ。

…ちくしょう自分のでなけりゃよう。「失礼な、奥ゆかしくも可憐なオレがこの部屋に泊まるようになったのは奴らがピンクな戦場に向かう時やっかい払いの時だけだし。」


片方がハマった時なんか、わりと頻繁に泊まってた時もあるんだけど文句は言わないんだぞ?もう片方は毎回違う人を頼むらしいけど、どちらの方が経験豊富なんだろうね?


「そんな秘密をさらりと私に述べてしまう人のどこに奥ゆかしさを感じたら…」

「ごめん雅美ちゃん、そんなにマジマジ観ないで。」


年下の女の子にそ珍獣を見るみたいな目をされたら泣きたくなる。


「…なんと言うか見た目アレなのに“私”とか使わない影丞さんがまずおかしいんです」


「はい?」「女としての警戒心がまるでないから二人が余計な気を使うんじゃないですか?」


いや、一応元男としての警戒心はあるつもりだよ?下心とかならわかってるつもりなんだけどな。


「仕草や言葉遣い一つだって女にとって十分身を守る武器になるんです」


「女としての武器はイランのだけどね…」


そもそも、そんなもの身につけてどうしろといふのか。


「中身が男の人なのは仕方がないとして、考え方が男の子のまんまだと男性に気安く近寄りすぎてて危なっかしいんじゃないかと思いますよ?

冒険者なんか同じグループの女子なんか放置ですし、しっかりした女性なら心配なんかされないで自由に出歩けるんじゃないですか」


「いや、それ多分勇者とかの視点で間違ってるから」



冒険者の女性ったらあーた下手な男の冒険者よかよっぽど迫力があるんです。力の弱い新人グループじゃ基本的に男が女性メンバーから離れたりなんかしないし、女を全面に押し出せるのは実力と自信がないと無理だべ?


「…だとしても、女であるなら“らしさ”がないといざという時大変ですよ?」


「いざ?」


「いざです」


雅美ちゃんがチュチュしたりハグしたりな仕草をして教えてくれるが、それこそいらん心配と言うものだ。言葉遣いも仕草もまんまでいるのは敢えそうした方が二人の精神に与える影響ダメージが少ないからお互い気が楽なんだよ?


「でも、オレのデフォルトこれで無言なんだからな?」


儀式的な仮面を被り雅美ちゃんにジェスチャーでサッカー選手ばりに“オレオレ”と主張する。


「…怪し過ぎて意味が分からないる」


困惑する雅美ちゃんにトイレトイレと更に主張。

そろそろ限界くさいぞ。


「予備があったら私にもください。ソレのまま出掛けて休める場所でも探しましょう」


「…(OK)…」


諦めてしまったように見えなくも無いが、雅美ちゃんも同じ姿に着替えるて抜け出す気になったようだ。


「…ヒャッハー鎧に穴あけただけとか何なんですか?」


「…(予備がない)…」


サササとジェスチャーしてみたら雅美ちゃん被った。


「これ、健さんの匂いガします」


「…(当)…」


雅美ちゃんグッジョブ。でも、なんで匂いで分かるんだ。雅美ちゃん匂いフェチの疑惑が急浮上?


「( ̄∀ ̄)健さんが一番おっさんくさいです」


おっさーん(泣)一個上なだけなのになんて表現力。


「暮らしぶりはまだしも、クラスメートの男子より健さんは大人してますし悪い意味じゃないですよ?」


「悪い意味じゃないんだけどおっさんか…。」


イヤでも臭いから発展した話なんだからやっぱり健がおやじ臭いって事に?


「影丞さんはあんまり悪口とかいわないですけど、女の子二人だともっと込み入った話を普段からしてますよ?」


さも当然と話して来るが、込み入ったとか濁されてもオレそんなものに混ざりたくねえよ…。

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