美味しい塩酢豚
深夜、真ちゃんと健がテーブルを占拠したままです。
そのまま居座られてもお店に迷惑がかかるから、料理を作って二人を部屋におびき寄せるようと思います。
まず、厨房を借りる為に大将にお願いしにいきました。
「珍しいもん作るなら許可してやる」と言われたので、大将同伴て“とりあえず塩酢豚”を作ります。
醤油は不使用なのでとりあえず塩酢豚です。
この世界に来たばかりの時は、まずケチャップ作りからでしたがね(遠い目。
用意するのは、ケチャップ、片栗粉、酒、塩、酢。
適当に混ぜて器の中に放置します。
肉に衣をつけ、揚げ焼きをしてピーマンやタマネギを入れ火が通ったら餡を混ぜながらトロミがでるまで炒めます。
なんか足りない気がしないでもないですが、…パインだ。
りんごとミカンで試してみよう。
てなワケで緊急でりんごとミカン投入更に砂糖も追加っ!甘酢餡なのに砂糖ないとか話にならんわ。
そしてひと煮立ち、するとやっと嗅ぎなれた甘酸っぱい匂いがっ!
「かんせー!」
「お前思いつきで料理作るの止めろとアレだけ言ったのに…」
途中まで感心していた大将が恐ろしい物を見るような目を皿に向けていますな。
「旨いよ?」
つまみ食いどうゾと小皿に取り分けて大将に差し出すがなぜか遠慮された。こっちには、果物を炒める文化はないみたいだね。
酢豚の中のパインとか旨いと思うんだけど。
「すごい…。」
いつからいたのか、カウンターから中を見ている女の子がいた。
日本人に近い顔立ちをしているが青い髪に日に焼けた浅黒い肌から勇者(雅美ちゃん)の関係者ではないだろう。
見た事のない顔なので彼女が長家を借りているグループの人なのだろうと判断する。
それ以上話しかけられる訳でもないようなので“どうも”の意を込めた会釈だけをして後は無視する。
手早く使った器具を洗い、乾いた布で拭いて水気を切ってから元の場所に戻す。
「…いねぇ。」
出来立ての酢豚を手に奥のテーブルへ向かうと健と真ちゃんが居たはずの席はもぬけの殻、いつの間にかウチの二人が居なくなってる。
女子はよく夜中に食べると太るって言うけど、オレみたいのが気にして何になると言うのか。仕方がないので酢豚は部屋に持ち帰り独りで食べる事にする。
あれほど居座ろうとしてたクセに、二人して居なくなったのはなんでかな?
…料理のせいではないと思いたい。
部屋に持ち帰ると「酢豚だー」と雅美ちゃんが喜んでくれたからそれでヨシとしよう。
―太るよ?




