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ワッツハプン?

大皿の中にドクダミの炒めがのこってしまった。いつも通りの分量で作ったら少し多すぎたようだが、夜食にでも回せば問題ないでしょう。


「雅美ちゃんももういい?」


「少し食べ過ぎたみたいです」


好評だったようでなによりだ。ヘルスィーなシーフードシチューだから少しくらい食べすぎたって大丈夫だよ。

それからご飯の最中に社会見学の話になったのでなんとなく…。


「では、手を併せてください」


二人に合掌を促すと、二人もこれからなにをするかなんとなくで分かってくれたようだ。


「い「「いただきました」」」


おそまつさまです。


「それで大事な話ってなんだ?」


「いや、もう終わったから」


「はい?」


なにゆえ?



「…そんなバカな」朝、昨日仕込んだばかりの樽の中の様子をみようと蓋をあけたオレ。

まだ原型があるはずの豆の姿どこにもなく、かわりに視界に飛び込んできた黒い液体に気が遠くなる思いがした。

いくらなんでもこれだけはありえないはずだ。発酵も醸造も飛び越えて一晩で醤油が完成するという超異世界マジックにオレはまさに朝靄を切り裂くが如く絶叫をした。


「もう、この世界やだーーっ!?」


割と本気だよっ!


「何事ですか!?」


「影ちゃん?!」


二人が貯蔵庫替わりにしようとしていた男子更衣室に飛び込んできた。


「真一助けてー?!」


樽の蓋を放り出し真一の腰にすがりつく。


「うおぅ、何かあったのか?」


「無理無理無理もうこんなの絶対むり。」


異世界コエーよ、こんなの絶対おかしすぎる、麹菌はともかく普通の樽と塩しかつかってないんだよっ。


「影丞さん、もしかしてあの樽の中身って…」


「雅美ちゃんあんなもの見ちゃだめっ!」


扇げよ扇げよくらいしなけりゃ精神をやられるぞっ!?

雅美ちゃんが奥を指差しながら驚いている、できるならモザイクくらいかけておけたらよかったのに。

異世界補正チクショウッ!


雅美ちゃんは樽の前まで歩きしばらく眺めていたが、おもむろに指を入れて《醤油(推定)》をチロリと口に含む。


「本当にお醤油が出来てるみたいですね…」


なんとも複雑そうな顔で樽を眺めている。

真一も俺を抱えながら樽まで歩き味見をして一言。


「あははは、まさかと思ってたけど金山寺もミソもすっ飛ばしていきなり醤油ができちゃったね」


オレを見ながら苦笑いしするのやめてよ。

米入ってないから金山寺はできないけど、この瞬間確かに《醤油(推定)》は《醤油(確)》へとランクアップした。


「流石は影ちゃん現象だなぁ」


怪奇現象じゃっ!まるでオレがやったみたいな言い方すんじゃなーい。


「…でさ、影ちゃんはなんでこんな事になったと思う?」


真一が醤油樽を指差して笑ってるけどわかる訳ないよ。


「俺たちは影丞酵素なるモノがあるんじゃないかと思っている」


真面目な顔して、ベンベとかエンガチョとかバリアーされそうな物を作ってくれるな!


「あるいは人間万〇酵素」


まんま肥料じゃねえか。


「最近ローブ着てないからいろいろ寄って来てるんだろうから仕方がないよ?」


「何がっ!?」


朝から怪談話をするんか?!


真一は靴屋の妖精みたいに妖精の悪戯とかみたいな現象だといいたいらしいが見えないモノが近くにいるとか話されるとまんま怪談話じゃないか。


「…とりあえず、今からお刺身を食べたいですね」


雅美ちゃんは雅美ちゃんで気合いが入って魚を取りに行くつもりらしく、近くにおいてあったモリを手にしている。


おおいっ!

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