魚が…
「釣れた。」
手製の竿の先には20センチくらいの鱒?がくっついていた。
…稚魚みたいなもんだけど旨いから持って帰る。
「ゲキャ」
はい、ゴブリンは絶賛見守り中です。
さっきの戦闘で得た骨付き肉をムシャムシャバリバリ貪りながらとか…みなさん大変ですね。
ちなみにこの池は透明度も高く湖と呼んで差し支えないくらい広いみたいで、大きな魚がたくさん泳いでいるのが見える。
見える魚は釣れんのだよ。
バケツの中には三匹…太陽はまだ真上にある。
日差しは結構暑いけど灰色のローブを頭までしっかり着込んで虫除け効果のある草を周りで燃やしながら釣りをしてる。
かなりクッサイけどな、汗もくっさいぞ。
◇
釣り糸を垂らしてボケーとしていたら、ガチャガチャと鎧の音を鳴らしながら冒険者らしからぬ一団が歩いてきた。
どっかで見たことがあるようなキラキラした人が先頭を歩いていて、その後ろにはいかにもな感じの壮年の騎士が歩いている。
あの人見た目はあれだけど騎士団の中では下っ端だったんだ?
なんだっけ、色男金と力はなかるけり?いや騎士団に居るくらいだから違うか。
まぁ、そりゃいいんだけど対岸を通り過ぎるだけの感じだったのに何でわざわざコッチに歩いてきたんですかね。
あ、バッチリ目が合ったよ。
「こんにちはお嬢さん。」
お嬢さんときたか、しっかり顔も見られてたみたいだよ。
なんだか爽やかに近寄ってきたけどね、騎士団に居たの知らなかったらかなり怪しい部類にはいるぞ。
「コンニチハ。」
「失礼、あちらから釣りをしているのが見えて気になったので、釣れてますか?」
「まぁ、それなりに。」
体から離れた場所に置いてあるバケツを示す。
「へぇ、トラウトですか結構釣りに来られるんですか?」
「暇な時たまにきますが、あなた方は?」
チラチラと後ろの騎士を気にするそぶりをしながらキラキラさんと話す。
いや、いくらそれらしい格好してても自己紹介もなにもなしでは普通警戒するよ?
「見てのおわかりの通り私は王国騎士団所属のデルックス=コンバートと申します。」
「同じく、ライドンと言う。」
ここで納得してはいけない、何しろ王国騎士団は王都にいるのが当たり前であり、普段はいないのだから地方都市の娘が鎧を見ただけでわかるわけがないぞーいや、意外とわかったりするのだろうか。
でも、初対面なら語りかなんかだと思って対応するのがただすぃーのだよ。
「王国騎士様ですか。」
ほへーほふーんと返事をしてみたのだけどデルックスさんがどうにも微妙な顔してるね。
「前に会ったときもそうでしたが騎士団と過去になにかよくない出来事でもおありですか?」
「いえ、特にありませんが。」
ふむ、あれだね、知り合いとか装って親しくなろうとか…いきなりナンパはないか?
真っ黒黒助の顔じっくり見てたから…。
「よくわかりましたね…。」
おいちゃん感心しちゃう。
「夏場にフードまで被る人もなかなかいませんから…。」
デルックスさん曰わく、普段から人を見て歩く人ならそのくらいは解らない事はないそうだ。ライドンさんは初見ですよ。…いや、おそらく初対面だよ?
騎士団なんてろくに顔みてないからね、顔を覚えてる騎士さん(ポカリの人)はそもそも名前はしりませんからな。
普段から髪の毛全部隠れるようにピッチリ縛ってるからか。
下は、涼しいように手製の甚平なんだけどね。
やっぱり変装したくらいじゃあまりいみないのかな~。
常日頃から変装して慣れてないとダメだなこれは。
知らない冒険者が話しかけてこなけりゃ別にすっぴんでかまわないんだけど、冒険者の中にゃ女とみたらしつこく自分自慢するのとかがいてうるさいからね、納豆ネバネバ粘着されんね。
まぁ、世間話みたいなのして「それでは、またどこかでおかいしましょう。」とデルックスさん達は歩いていったよ。
…こんな辺鄙な場所になにしにきてたんだろうね。
◇
この後、結局釣れなかったので暗くなる前に家路についた。
鱒のホイル焼きとかやりたいなぁ。
2014年最後の投稿です。
よいお年をW




