表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/175

あれー?

「やっときたわね?」


開けっ放しだった宿屋の入口をくぐり抜けるとハニーブラウンの髪を肩口できりそろえた妙齢のお姉様マリアンさんがカウンターでお待ちなさっておられていた。


なんだろう、なんかあったっけ?とりあえず言える事は一つだけ。


「クマの肉ありがとうございます」


煮込み時間があるから夕飯になるらしいけど、ぺこりと頭を下げてお礼を言う。


「いや、エースケそれなんだがよ…」


大将がクマの内臓は呼び出しついでにあげるつもりだったのだと苦笑いしている。


そうですか…なんとまぁ、それじゃオレは約束をすっぽかしたと言うことなのか?

呼び出したマリアンさんがなぜか買い物行っちゃってるし、皮を剥がれ内臓なくなって空になったクマが見えてて気持ち悪くて解体終わるまで絶対宿はいりたくなかったから許してください。


「とりあえずごめんなさい」


キュルリとマリアンさんに向き直り再びぺこりと頭を下げる。うん、悪いことしたと思ったら頭を下げる。


これ基本。


「くぅ、頭を下げられば許されるだなんて大間違いよ。」


怒ってます?いや、確かにプンスカとしてはいるみたいですがさほど怒ってはいないみたいです。


「帰ってきたみたいだから、新しいお菓子の作り方教えてあげようと思ったのに。」


わぁお、それじゃあご飯食べた後で教えて貰いたいです。ぜひお願いします。


あれ?でも健から聞いた後すぐいったんだけどあの時にはすでに買い物に…。


「クマを見ていたらなんだかハチミツを使いたくなってしまったのよ。」


手提げ袋から蜂蜜入りの瓶を取り出してみせてくれる。

何の蜜かはわからないけど深い金色のハチミツだった。


「ハチミツ入りのクッキーとか一緒に作ろうとおもってたのに。」


うわ、それはほんとにごめんなさい。

深々~と頭を下げゆく。


「どうかご教授お願いします」

売り物は高くてたまらんので、おいしいお菓子作りを教えていただきたいのです。


「もう仕方ないわね。教えてあげるから、食べ終わったら二階で着替えましょうねー?」


マリアンさんが若干ウキウキした口調でいうのだけれど、着替えさせてもらわなくてもいいと思います。


「若干このままで…」


「料理やお菓子を作るのに半袖じゃダメ。女の子が可愛いらしい姿で作らないと美味しいお菓子は作れないものよ?」


いや、ワンピースでなく着流しとかみたいな和服を羽織って作業衣にしてるんだけど確かに汚れていない訳でも無きにしも非ずだけど、可愛くしても味に影響は出ないと思いませんか?


「…わかりました、食べたら着替えてきます。」


ワイン染めにしてみたらピンク色で使うのに勇気がいる割烹着があるから恥を忍んでそれ着てくればいいよね?


「どうせなら着せてみたい服がいくつ“も”あるのよ」


―“も”っ!?


マリアンさんがウキウキしてるんですが、やっぱり着替える必要ないんじゃないかと思いません?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ