滋賀 伊吹(1)
47の少女たち
第4話「ねことねる」
「まったく…ケヤキと千葉ちゃんのせいでまた宮城先輩に怒られた」
結局、見事に遅刻した俺、日野本太郎。……と、
「まったく、千葉がいつまでものたくさのたくさしてるから」
「はぁ? 埼玉、アンタがのろいんでしょ!!」
埼玉欅と、千葉三葉。
こいつらは混ぜるな危険、だ。
食器洗剤とトイレの詰まり解消スプレー的な。
「だいたい千葉はなんで私の服装にいちいち文句を言うの?」
「なっ…そ、そんなの見ていてダサいし、そんな恰好だと他の人からもなんか言われるでしょ…」
「……」
「そ、それにアンタ、なんだかんだで顔可愛いし、スタイルだっていいんだから、もっと可愛らしい服とかにしたほうが絶対……ッ」
「…絶対?」
「うっ……な、なんでもないわよ!!」
「…千葉のほうがスタイルいいよ(ボソっ)」
「え?」
「ううん。なんでもない」
何だこのやりとり。
こいつらはよく分からない。
「うあぁ…疲れた」
無事始業式も終わり、体育館から教室へと戻る途中。
「先生! また滋賀さんがいません!!」
「またか!! あいつ目を離すといつもいなくなるな!」
…隣のクラスの生徒と教師の会話が聞こえた。
「先生、体育館にも教室にも滋賀さんはいません!!」
また別の生徒がやってきて、教師に報告。
「まったく…なにやってんだってか、どこにいんだよアイツは!!」
教師は少しお怒り気味だ。
「……はぁ」
俺はそっとため息を一つつき、
「はやく呼び戻さないと」
俺はそっと自分のクラスを素通りし、そのまま昇降口、外へと向かった。
校舎裏に今は使っていない用具倉庫がある。
プレハブ&トタンで出来たおんぼろ倉庫だ。
その倉庫には鍵がついてなく、また外壁のあっちこっちに穴が空いてあったりと結構古い。
「…おーい、伊吹? いるのか?」
俺は半分外れている扉を開け、中へと入る。
「伊吹?」
倉庫の中はそんなに広くない。
故に、一発で目当ての人間を見つける事が出来た……のだが。
「……んっ」
倉庫の床にじかに寝そべり、そのまま寝息を立てている少女が1人。
そして、その周りには…
「なー!!」
「にゃおーん!!」
「にゃんごろん!!」
「…うぉ。今日もいっぱいいるな、おい」
三毛柄、トラ柄、まっしろ、ぶち模様、黒色…
寝ている少女の周りには、これでもかってほどのネコがいた。
ちなみに全部野良猫である。
そして…
「ぅ…ん…ん? 本太郎?」
少女が目を覚ました。
「……なに寝てるんだよ、伊吹」
少女…都道府県学園2年、滋賀伊吹は寝ぼけ眼をこすりながら、ふわぁ〜っと小さなあくびをした。
滋賀ちゃんプロフィール&げどーさん執筆激カワ滋賀ちゃんイラストは次回!!