【閑話⑮】激闘! 開拓特化型ポータブルサウナ
閑話⑮をお読みいただきありがとうございます!
湿地の泥沼を抜け出し、一息つくタクミ一行。
長旅と開拓作業で蓄積した全身のコリと泥の不快感を吹き飛ばすため、タクミのチート技術が暴走!「開拓特化型ポータブルサウナ&極冷水風呂セット」が爆誕します!
厳つい男たちが「整う〜〜っ!?」と天に召されるギャップをお楽しみください!
「あ――――――っ!! 背中と腰がバキバキだぁぁぁッ!!」
野営地の草むらで、ガルドが豪快に仰向けにひっくり返り、叫び声を上げた。
「泥沼での重労働に、泥流を受け止めるブロック積み……。我が強靭な魔王の肉体をもってしても、関節の奥に重い疲労が溜まっておるわ……。ぬくぬくとした温もりで全身を癒やしたいものだな」
バアルもまた、兜を脱いだ頭を抱えて、重々しくため息をつく。
そんな二人を見かねたタクミは、ニヤリと頼もしい(?)笑みを浮かべた。
「ふふふ……そんな二人とアルヴィスさんに、最高の『リフレッシュDIY』を用意しましょう!」
タクミは【万能資材目録】と【極限加工】を即座に同時起動!
耐熱加工を施した密閉断熱キャンバス生地で四角いテントを組み上げ、中央には熱効率を極限まで高めた『竹製耐熱ストーブ』と『高密度の加熱サウナストーン』をセッティング!
さらに、湿地で摘んだ芳香ハーブ(野生のレモングラスとミント)を煮出したアロマ水を竹筒に準備した。
「これぞ、どこでも持ち運べる『開拓特化型ポータブルサウナ』です!」
「さ、サウナ……? 蒸し風呂のようなものか?」
「ただの蒸し風呂じゃありませんよ。さあ、腰布一枚になって中へどうぞ!」
半信半疑のまま、ガルド、バアル、アルヴィスの三人がサウナテントへ足を踏み入れる。
タクミが冷えたアロマ水を、カンカンに熱せられたサウナストーンへと一気に回しかけた!
――シュアアアアアアッ!!
「ぐおおおっ!? 熱いっ! 熱風が一気に襲いかかってくるぞ!?」
「な、なんという芳醇なハーブの香り……! だが熱い! 皮膚の毛穴という毛穴が一斉に開きそうだ……!」
「汗が……汗が滝のように吹き出していきますぞぉぉっ!?」
熱気と爽やかなハーブの蒸気に包まれ、絶叫しながらも凄まじい発汗に身を包まれる三人。
十分後――。汗だくで蒸し上がった三人がテントから転がり出してきた。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……だが、身体が軽い……! これで終わりか!?」
「いいえ、ここからが本番です! そこの『極冷竹パイプ水風呂』に飛び込んでください!」
タクミが指差したのは、冷たい山湧き水を【極限加工】の冷却システムでキンキン(約14度)に保った竹製の巨大水風呂だ。
「なっ……!? この灼熱の後に、そんな冷水へ入れだと!? 狂気の沙汰だぞたくみ!!」
「いいから! 息を吐きながらサッと入るんです!」
ガルドとバアルは意を決し、ドボンッと冷水風呂へ飛び込んだ!
「ひょええええええええっ!?!? つ、冷たっ――……あ、あれ……?」
激しい冷たさの直後、血管がキュッと収縮し、皮膚の表面に温かい『膜(天使の羽衣)』が生成される。
「つ、冷たくない……!? なんだこの……身体の内側からポカポカと湧き上がる脈動は……!?」
水風呂から上がり、外気浴用にDIYされた『無段階リクライニング竹チェアー』に深々と腰掛け、夜風を浴びる三人。
――スーッ……ハーッ……。
深呼吸をした瞬間、ガルドとバアル、そしてアルヴィスの視界がグルリと心地よく揺らぎ、全身の力が完全に抜け落ちた。
「……あ、あかん……。空に浮かんでるみたいだ……」
「……頭の中が透明になっていく……。これが……『整う』ということか……」
「……歴史録を……書く手が……動かないほど……快楽が……」
かつて魔王と呼ばれた男も、凄腕の剣士も、知性派の記録官も、全員が白目をむいて天を仰ぎ、ぐにゃぐにゃの笑顔で天国へと旅立っていた(※精神的に)。
「よし、サウナ飯(サ飯)には、香辛料を効かせた特製スパイシーサウナカレーを作りますね!」
「「「と、整ったあとにカレーだとぉぉぉっ!?」」」
ととのいすぎた男たちの歓喜の叫びが、夜の森に響き渡るのだった。
閑話⑮をお読みいただきありがとうございました!
タクミの技術が無駄に注ぎ込まれた「ポータブルサウナDIY」により、一行の疲れは完璧に吹き飛びました!
次回第43話からは、いよいよ新章「赤土の乾燥渓谷編」が幕を開けます!
風読みの少女セナや、頑固な老技術者バランドとの出会い、そして水と風を制する新たなDIY開拓にどうぞご期待ください!




