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魔境に自分好みの家をDIYで建てたら、居心地が良すぎて「絶対不可侵の神殿」と拝まれていた件  作者: dapon


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第42話:水上に浮かぶ灯火と、新たな地図の第一歩

第42話をお読みいただきありがとうございます!


大雨と泥流の脅威を見事に退けたタクミたち。


今回は南の湿地編の完結回です! かつて『死の泥沼』と呼ばれた場所が、DIYによって命あふれる『水上都市』へと生まれ変わりました。開拓民たちとの感動の大宴会と、ツンデレ調査官リゼットからの胸熱な言葉、そしてタクミたちの次なる開拓への旅立ちをお届けします!

泥流の猛威が去り、雲の切れ間から差し込む黄金色の夕陽が、水面に浮かぶ集落を優しく照らし出していた。


竹で組み上げられた頑丈な『スカイ・デッキ(空中回廊)』の上には、泥落としスノコを通った開拓民たちが集い、笑い声が弾けている。


『水上浮き畝』で収穫されたばかりのみずみずしいクレソンやトマト、水稲の香ばしい炒め物が大皿に盛られ、集落全体が香ばしい煙と幸福感に包まれていた。


「たくみ殿、そしてリゼット殿! この不毛の泥沼を、これほど豊かで安全な『水上都市』へ生まれ変わらせてくださるとは……! なんとお礼を言えばよいか……!」


老人が涙を拭いながら、木彫りの杯を掲げて深く頭を下げる。


「俺たちの力だけじゃありませんよ。みんなで泥まみれになって竹を運び、ブロックを積んだからこそ出来上がった場所です!」


タクミが笑顔で杯を合わせると、ガルドが豪快に肉を噛みちぎり、バアルが楽しそうに大酒をあおぐ。


「ガハハ! たしかに最高の宴だな! これならどんな大雨が来ようが、泥沼の上で高枕で寝られるぜ!」


賑やかな宴の輪から少し離れたデッキの端で、リゼットが一人、夜風に吹かれながら手帳にペンを走らせていた。


タクミが温かいハーブティーの入った竹コップを手に、そっと歩み寄る。


「リゼットさん。お疲れ様でした。本当に……リゼットさんの流体計算とデータ分析がなかったら、あの泥流は防ぎきれませんでした」


「……たくみさん」


リゼットはペンを止め、眼鏡のブリッジを指で押し上げながら振り返った。その表情には、いつもあった突飛な固さはなく、どこか柔らかい笑みが浮かんでいる。


「私は……これまで『数値』と『帳簿』こそが世界のすべてであり、現場の泥臭い作業など効率の悪いものだと思っていました。……ですが、間違っていたのは私の方です」


彼女は自分の手袋をそっと見つめた。そこには、拭いきれなかった黒い炭と泥の痕が残っている。


「理論と計算が、人の手による情熱とDIYに結びついた時……これほど劇的な奇跡を起こせるのだと、貴方が教えてくれました。……感謝いたします」


「リゼットさん……」


「……コ、コホン! か、勘違いしないでくださいね!? 私は行政調査官として、正確な事実をありのまま評価しただけですわ! べ、別に貴方を個人的にべた褒めしているわけではありませんから!」


すぐに顔を真っ赤にしてフイッと横を向くリゼットに、タクミは思わずクスッと笑いを漏らした。


「ふふ、はい。ありがとうございます」


そこへ、真鍮の万年筆を胸ポケットに挿したアルヴィスが歩み寄ってきた。


「たくみさん。リゼット殿の公式調査報告書とは別に、私の『開拓歴史録』にも素晴らしい一章が刻まれましたよ。……そして、次なる目的地の情報も収集できました」


「次の場所ですか……?」


「ええ。この湿地地帯を南に抜けた先――荒涼とした岩山と、断崖絶壁に囲まれた『赤土の乾燥渓谷』です。そこでは水不足と過酷な強風に苦しむ人々がいるとか」


「乾燥渓谷……! 水上都市の次は、水と風を制するDIYですね!」


タクミの瞳に、新しい開拓への情熱がメラメラと灯る。


翌朝――。


朝靄(あさもや)が広がる中、新しく完成した高床式桟橋には、開拓民たちとリゼット、そして旅立ちを迎えるタクミたちの姿があった。


「たくみさん、ガルドさん、皆様……どうぞお気をつけて。王都へ戻り次第、この水上都市の成果を正式な特別開拓特区として認可させますわ!」


「頼んだぞ、リゼット! また美味い酒でも飲みに来いよ!」


「ええ、必ず!……たくみさん、またいつか、貴方の計算を超えるようなDIYを見せてくださいね」


「はい! 必ず!」


手を振るリゼットと開拓民たちに見送られながら、タクミたちは泥上エアボートに乗り込み、エンジン音を響かせて南の空へと突き進んでいく。


泥沼を越え、次なる冒険の舞台――『赤土の乾燥渓谷』を目指して。


【南の湿地・泥沼開拓DIY編・完】

第42話をお読みいただきありがとうございました!


これにて「南の湿地・泥沼開拓DIY編」は堂々の完結となります!


ツンデレ理系調査官リゼットとの素晴らしいタッグ、そして数々の湿地DIY(エアボート、ろ過タワー、浮き畝、サイフォン水門、スラッジ・ロック)で不毛の地が見事に復興しました!


次回第43話からは、新章「赤土の乾燥渓谷編」がスタート!


水不足と強風が吹き荒れる断崖絶壁の地で、タクミの【万能資材目録】と【極限加工】がどんな「集水・風力DIY」を生み出すのか、ぜひご期待ください!

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