【閑話⑥】改心した子爵と、領地に広がるコンポストの輪
本編の合間の閑話をお届けします!
今回は、かつて神殿を襲撃して返り討ちに遭い、タクミの劇的リフォームによって改心した「バルカス子爵」のその後のお話です。
DIY精神に目覚めた元悪徳貴族が、領地のために汗を流します!
王国北部に位置するバルカス子爵領。
かつて領民から重税を搾り取っていた悪徳貴族バルカスは今、豪華なシルクの服ではなく、丈夫な作業着と軍手を身につけて館の庭に立っていた。
「子爵様……! 本当にそのお姿で街へ出られるのですか……!?」
執事が青ざめた顔で引き留めるが、バルカスは力強く頷いた。
「うむ! 大賢者タクミ殿から賜った『暮らしを自ら良くする心』……それを我が領地で実践せずして何が領主か! 今日は領民たちの生ゴミ問題と土壌改善に取り組むぞ!」
向かったのは領地の農村部。かつてバルカスを恐れていた村人たちは、作業着姿でスコップを手にした領主の登場に固まっていた。
「みな聞きなさい! 家庭から出る生ゴミを放置すれば臭いや害虫の原因となるが、これを適切に処理すれば『極上の自家製有機肥料』へと生まれ変わるのだ!」
バルカスが取り出したのは、タクミから教えてもらった設計図をもとに自作した『木製コンポスト容器(生ゴミ堆肥化装置)』だ。
「この容器の中に落ち葉や腐葉土、生ゴミを交互に入れ、水気を切りながら定期的に切り返し(かき混ぜ)を行う! 発酵を促す菌の力を借りることで、生ゴミは数週間で臭いのないサラサラした栄養豊富な土になるのだ!」
「「「生ゴミが……美味しい野菜を作る土になるだって……!?」」」
驚く村人たちの前に、バルカス自ら袖をまくり上げ、汗だくになって生ゴミと土をスコップでかき混ぜて見せる。
「子爵様が……あんなに泥まみれになって俺たちのために……」
「最初は疑っていたが、本当に生ゴミの嫌な臭いが消えて、温かい土に変わっていってるぞ……!」
数日後。コンポストで出来上がった黒々とした完熟堆肥を畑に撒くと、野菜の芽は見違えるほど力強く育ち始めた。
「子爵様! 今年の収穫は例年の倍以上になりそうです! ありがとうございました!」
村人たちが笑顔でバルカスを取り囲む。かつて恐れられていた悪徳貴族の顔には、領民とともに汗を流した充実感に満ちた、晴れやかな笑みが浮かんでいた。
「ふふ、これぞDIY精神……! タクミ殿、私は素晴らしい領主になれそうですぞ!」
閑話をお読みいただきありがとうございました!
改心したバルカス子爵が、タクミ直伝のコンポストDIYで領民との絆を深める心温まるエピソードでした。




