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魔境に自分好みの家をDIYで建てたら、居心地が良すぎて「絶対不可侵の神殿」と拝まれていた件  作者: dapon


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第76話:極寒の山岳鉱山都市と、頑固職人ドノヴァン

第76話をお読みいただきありがとうございます!

今回からいよいよ新章『極寒の山岳鉱山都市編』が開幕!

年中猛吹雪とカチコチの凍結に閉ざされた山岳都市『アイゼンベルグ』へとやってきたタクミ一行。そこで待っていたのは、寒さで麻痺した街と、伝統に絶対のプライドを持つ頑固なドワーフの鍛冶頭・ドノヴァンとの出会いでした――!

開拓都市フォグヴェイルを後にした特製キャンピング馬車は、険しい山道を登り、標高数千メートルにおよぶ大山脈地帯へと差し掛かっていた。


高度が上がるにつれて、外の景色は新緑から一変し、吹きすさぶ猛吹雪と白銀の氷河世界へと変わっていく。


「うひゃあ〜! 外、真っ白だよーっ! ビュービュー風が鳴ってる!」


セナが寒さに身をすくめながら二重サッシの窓から外を覗き込む。

しかし馬車の中は、タクミがDIYで組み込んだ高断熱二重壁と温水ファンヒーターのおかげで、まるで春の陽気のようなポカポカの暖かさが保たれていた。


「ここが『山岳鉱山都市アイゼンベルグ』……世界有数の希少鉱石が採掘されるドワーフたちの街ですが、年中猛吹雪に覆われ、冬場は寒さで坑道が凍りついてしまうと聞いております」


フィオナが断熱加工された膝掛けをそっと整えながら言った。


「寒さで採掘が止まっちまったら、職人たちも商売あがったりだな。まあ、タクミの小僧にかかりゃ、寒さなんてイチコロだろうがよ!」


御者台から戻ってきたガルドが、温かいスープを美味そうにすすった。


やがて馬車は、重厚な石造りの城壁に囲まれた山岳都市アイゼンベルグへと到着した。

だが、街の中に足を踏み入れると、雰囲気は暗く凍りついていた。


「ハックション! くそっ、今年も『魔導鋳鉄ストーブ』の火が消えちまったぞ……!」


「薪も石炭も凍りついて火がつかねえ! これじゃ作業場にも立てねえよ……!」


街を行き交うドワーフや鉱夫たちは分厚い毛皮を着込み、寒さにガタガタと震えていた。

建物の屋根には巨大なつららが垂れ下がり、住居の壁や窓は結露した水分が凍りついてカチコチになっている。


「これはひどいね……。建物の気密性と断熱性が足りなくて、室内の熱が全部外に逃げちゃってるんだ」


タクミは【万能資材目録】を起動させ、街の構造を観察した。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【資材名】山岳都市『アイゼンベルグ』ドワーフ中央工房

【状態】室温マイナス12度(極寒)、窓ガラスの結露・凍結、外気侵入、熱ロス率85%

【対策】高気密・グラスウール断熱施工、スタイロフォーム、ペレットストーブ&全館温水パイプ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「よし、まずは一番困っている職人さんたちの工房から、暖房と断熱のリフォームを提案してみよう!」


タクミたちが街の中央にある巨大な鍛冶工房へ向かうと、そこにはドワーフたちの怒号が飛び交っていた。


「おい! もっと薪をくべろ! 炉の温度が下がったらまともな鍛冶ができんぞ!」


工房の奥で腕組みをして雷のような大声を張り上げていたのは、立派な白い髭を蓄えた無骨なドワーフ――『アイゼンベルグ鍛冶頭・ドノヴァン』だった。


巨大な槌を肩に担ぎ、鋭い眼光で職人たちを指図している。


「あ、あの……ドノヴァン棟梁! 冒険者ギルドから紹介された、旅の建築士(DIY士)のタクミさんたちが助けに来てくれました!」


若いドワーフがタクミたちを案内すると、ドノヴァンはフンと鼻を鳴らし、タクミを上から下までジロリと見つめた。


「あん? 助けだと……? 見ねえ顔だな。ひょろっとした人間が何の用だ」


「はじめまして、タクミです。この街の寒さと凍結で仕事が進まないと聞いて。もしよかったら、高効率のペレットストーブと窓の二重断熱施工で、工房をあたたかくリフォームしましょうか?」


タクミが爽やかに提案したその瞬間――!


ドノヴァンの極太の太眉がピクリと跳ね上がった。


「……なんだとお前ぇ? リフォームだと!?」


ドノヴァンは肩の巨大槌をドシンッ! と床に叩きつけ、雷のような大声を響かせた。


「ふざけたことを言うな! この工房は代々ドワーフの伝統と『魔導鋳鉄ストーブ』で守られてきた聖域だ! どこぞの軟弱な旅人が持ってきた得体の知れんカラクリ道具なんぞに頼れるかッ!」


「む……! 我が師匠の申し出を『得体の知れん』だと……? 愚かなドワーフめ、言葉を慎めよ!」


作業着姿のバアルが前へ出ようとしたが、タクミは手で制した。


「ドノヴァン親方、伝統のストーブも素晴らしいけど、今のままじゃ熱のほとんどが石造りの壁や窓から外に逃げちゃってるよ。このまま大寒波が来たら、工房のパイプが凍結して破裂しちゃうよ?」


「黙れ! 職人の熱気と炎があれば寒さなど吹き飛ぶわ! 軟弱な道具に頼るような奴に、本当の職人の意地が分かってたまるかーーッ!」


ドノヴァンは腕を組み、タクミの提案を突っぱねて背を向けてしまった。


(ふむ……伝統にプライドを持つ頑固な職人さんか。言葉で説明するより、実際に『断熱と暖房の凄さ』を見てもらった方が早そうだね)


タクミは怒るどころか、職人としてのドノヴァンの誇りを理解し、ニッコリと微笑んだ。


折しもその時、空が黒く濁り、アイゼンベルグの山頂から過去最大級の『超極寒大寒波』が迫りつつあった――!

第76話をお読みいただきありがとうございました!

新章『極寒の山岳鉱山都市編』が開幕いたしました!

年中極寒の鉱山都市アイゼンベルグにて、伝統に絶対の誇りを持つドワーフの鍛冶頭・ドノヴァン親方が登場!


次回第77話は、街を突如襲う『超極寒大寒波』!

伝統のストーブが凍りつく中、タクミとドノヴァンの「極寒暖房DIY勝負」が勃発! タクミの『ペレットストーブ&スタイロフォーム二重断熱』が火を噴きます! お楽しみに!

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