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第一話 春の香りと武器の見た目

春の風が桜の花びらを運び、共に運ばれた花粉のせいか、思わず可愛いくしゃみが飛び出してしまう

花粉と花びらを運んでいた風は、私の長く白い髪も靡かせていた

太陽は髪を照らし、その光を髪飾りが反射する

私ーー藤宮離音は、大きな学園の門の前に立っていた


「やっぱさすがだなぁ〜、この学園は」


ここは私立浮島高等学校、一般的に学園都市と呼ばれる学校だ

その門をくぐっていく生徒は他にもたくさん……とまではいかないがちらほらいた

その生徒の中には、武器を持つものもいる、銃や大剣、刀まである

……その生徒たちの視線は私の背中の武器に注がれていたが、気にせず歩き続ける

そんな桜並木の中を歩いて私はまっすぐ入学式のある講堂へと向かった

ここから始まる、私の物語に胸を弾ませながら

―――――――――――――――――――――

「___では皆さん、安全で楽しい学園ライフを!」

学園長のその言葉で締めくくられた入学式、沢山の人が講堂から出るために出口を探して行き交っていた

流石、全校生徒が一万人を軽く超えてる学校だ

……まあ、そのうちどれくらいが普通の人間なのかは知れないが

講堂の出口はいくつかあり、その一つを指し示す案内に従って出ようとする

すると、出口を出たあたりで突然身長が低めの女子に話しかけられた


「……あの、ちょっといいかしら?」

「あ、え?どうぞ?……ってえ?」


手を掴まれて、ひょいと人の少ない路地に連れていかれた

どういうことかと思っていると、私の顔を覗き込んでこんなことを言う


「キミ……素質あるね……どう、うちの部活来ない?」

「……ちょっと待ってください、え?私、ですか?」


半ば迫られる形でスカウトされたのだった

普通、こう言うのは反対では?とオタク脳が働く

そんな本音は口に出せず、戸惑っていると少女が思い出したかのように口を開く


「……あ、ごめんね〜、急にこんなところ連れ込んじゃって」


そしてーー何故か、後ろに隠してあったナイフを取り出した


「大丈夫、敵意はないよ〜……って言ってもナイフ持ってたし信じてもらえないか〜、私は符等、適当にふら姉って呼んでいいよ〜」

「……信じれるわけ無いでしょ、見せなかったらよかったのに……」

気づいてなかったのに、と肩を撫で下ろすと符等と名乗った少女は驚いた顔をしていた

「……え?いやいや、絶対気づいてたでしょ?だってさっきナイフ触ったでしょ、ブラフだよね?」

「いえ?ホントに気付いてませんでしたよ?」


確かに、少女の背中に手を回そうと思えばできる……のだが、実際はしていない、はずだ

不可解なことが起きて、顔からちょっと血の気が引いた感じがした


「……とにかく!その背中のブツ、キミの武器だよね?」


符等が指差す先にはーー、私が背中に背負っていた水色と黒を基調としている傘があった

どことなく機械みたいな無機質さを感じる、そんな傘だった


「……ええ、よくわかりましたね?」

「まあね〜、この学園でそういうのってだいたい武器だからさ?」

と自信満々に語っていたがハッと何かを思い出したかのような仕草で私に向き直った


「キミ!名前聞いてなかったや、じゃなくって、うちの部活、"カフェ部"に来ない?」


そう勢いよく言われて、私は後退りするしかなかった


――この時の私は、まだ知らなかった。

この部活が、学園でもっとも危険な場所だということを。

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