信用
スティラコスの力、そしてそれを生み出した真央の母・天満彩香。
秘められた謎とは?
そして烈斗は新たなる扉を開く事が出来るのか?
◆参考
・スティラコサウルス
http://webzukan.uh-oh.jp/スティラコサウルス・アルベンテンシス
スティラコスには三つの装備がある。
まずはアサルト装備。
これは前の骸竜戦でも使用した背部にブースターとバルカンを装着。
スティラコスの丈夫な装甲による突撃戦用装備。
次はバスター装備。
これは二本の荷電粒子砲を背中に乗せる。
破壊力はあるが荷電粒子砲が重く、機動的な動きは出来ない。
さらに一度撃てばチャージに2時間かかる。
それゆえに破壊力重視の一発勝負の砲撃装備。
最後がヘビー装備。
先の二つと異なり背中だけではなく、全身に頑丈な装甲を追加する装備。
肩と背中の装甲は開くと中に小さなビーム砲が仕込まれている。
これにより守りを固めながら迎撃を行うのを想定している。
問題はビームの威力が低く決定打がない事と、動きはバスター以上にゆっくりである事。
時間稼ぎを目的とした防御特化装備。
「これがスティラコスの装備です。」
一通りの施設の案内後。
マオはリビングでスティラコスの講義を始めた。
「アサルト以外使いにくくないか?」
それが素直な感想だ。
「そんな事ありません!」
反論される。
「そもそも骸竜の事をどれぐらい知ってますか?」
「そう言われると・・・」
骸竜は謎のロボットだ。
現れたのは2年前の日本。
その時は歩くだけの謎の巨大ロボットだった。
大きな被害は出さなかったが、それでも国民は恐怖から自粛ムードが広がった。
その後も世界中に散発的に現れては歩き回るだけ。
そのくせ警察や自衛隊、外国の軍隊の攻撃すら物ともしない装甲。
それがただ歩き回る。
その謎のロボットの活動が本格化したのは2週間ほど前だ。
急にあちらこちらに同時に現れて、歩行で町を破壊し始めた。
それと同時に通信が出来なくなり、携帯やテレビ、有線のネットも使えなくなった。
「でかい・・・歩くロボット?」
「バカ!」
「おい!」
ストレートな評価に反撃する。
「高い装甲を誇る鎧竜型のロボット、それが骸竜です。」
「それがどうしたってんだ?」
それが歩き回っている。それだけの事だ。
「アサルトは突撃力に優れますが、攻撃力はスティラコスの装甲だよりです。」
「そうだな。」
ブースターで突っ込む。それがアサルトの最強の武器だ。
「スティラコスより丈夫な相手には負けます。」
「まあ・・・」
「そこでバスターです!」
バスター、荷電粒子砲を備える遠距離装備。
「これを防ぐ事はまずできないでしょう!」
「ヘビーは?」
「え?」
「バスターは確かに使いどころありそうだけど、ヘビーは?」
「・・・籠城戦とか。」
「孤立無援なのに?」
籠城戦というのは援軍を待つためにするのだ。
どことも協力していないこの研究所では意味がない。
「・・・その時が来たら使います!」
「おい!」
使う事はなさそうだ。
「とにかく!母様が作ったんですからどれも強いです!」
「そう言われてもなあ・・・」
「母様が信じられないって言うんですか!」
「俺が知ってるのは花火暴走させて、ばあちゃんに怒られてた姿なんだよ。」
それが彼女の母親にして天満研究所所長天満彩香の印象だ。
「母様はすごいんです!」
「具体的には?」
「お金持ちです!」
「今重要じゃねえよ!」
山にインした研究所の所長だ。確かに金はあるのだろう。
「もっとパーソナルな部分で信用できる要素ないのか?」
「えっと・・・胸がデカい!」
「知らねえよ!」
どうだったか記憶の糸をたどるが思い出せない。
「写真とかないのか?」
「そんなに母様の胸見たいんですか?」
マオが引いてる。
「違うわ!」
「でも胸がデカいと言った途端に写真を要求しましたよね?」
「そうだけどそうじゃねえよ!」
タイミングが悪かったようだ。
「わたし、身の安全が心配になってきました・・・」
「それは2万パーセント大丈夫だよ。小学生だし。」
「年齢差別ですか?」
「真っ当な倫理観と一般的な好みだ。」
マオがムッとする。
「母様の写真は見せません!絶対に見せません!のび太さんよりエッチ!」
「のび太はエッチの基準値じゃねえよ!」
写真見ながらの方が話しやすいかと思っただけだが、虎の尾を踏んだようだ。
「他に博士が作ったものはないのか?」
それで信用出来るかを判断しよう。
「えっと花火なら」
「花火以外で。」
「すごい燃えるのに・・・」
「だからだよ!」
あの花火はすごいのかも知れない。
しかしながら安全性が無視されている。
「それ以外だと・・・これとか。」
マオがテレビ台から持ってきたのはキレイな箱だ。
「これは?」
「オルゴールです。母様がわたしの誕生日に作ってくれました。」
「リビングじゃなくて自室に持ってけよ。」
しかしオルゴールか。
「なんか求めてるのとは違うけど良いか。」
子供思いの母親ではあったのだろう。
それで信用できるというものではない。
しかし何も分からないよりマシだ。
カパッとオルゴールを開ける。
ギャンギャギャーギャギャガ
激しいエレキギターの音が鳴り響いた。
閉じる。
音が消えた。
開く。
ギャンギャギャーギャギャガ
激しいエレキギターの音が鳴り響いた。
「なんでメタルなんだよ!」
オルゴールの定番はカンカラカンという鐘のような音で、クラッシックやジブリ音楽だろう。
「母様の趣味です。」
「オルゴールってこんな音なるのか!?それにびっくりだわ!」
「母様の研究成果です!」
「お前の母親は何を研究してたんだ!」
「え・・・なんだろう?」
「知らんのかい!」
だが博士とはそういうものなのかも知れない。
「でもイントロはギターから始まりますけど、ちゃんとベースやドラムの音も入ってるんですよ?」
「だからどうした!」
すごいのかも知れない。
だがそのすごさを理解する知識がない。
「ですがこれは母様との大事な・・・思い出なんです・・・」
「そう言われると強く出れねえ・・・」
忘れそうになるがマオは11才。
小学生で母親が誘拐されている状態なのだ。
「あとは・・・あ、そうだ!」
そう言ってマオがどこかに消えてすぐに戻って来た。
「これです!」
渡してきたものを説明するのが難しい。
ヘルメットと戦闘機に乗る人が着るような服だ。
「なんだこれ?」
「耐衝撃、耐Gスーツです!」
「へえ・・・」
「これを着てれ乗れば、スティラコスで突進しても安心安全!」
「じゃあさっき渡してくれりゃ良いのに・・・」
いやそれどころではなかったか。
「小さくない?」
だがサイズが小さい。
女性用・・・というよりも
「そりゃわたしのですもん。」
子供用だ。
「俺のは?」
「・・・さあ?」
「ないんかい!」
スティラコスに乗る際にはマオも乗る。
マオの安全が保障される分、気兼ねなく突進とかは出来そうだ。
「でもこれがあればゾウに踏まれても大丈夫なんですよ!」
「筆箱か!」
そもそもゾウに踏まれる事はない。
「ちょっと着るんで踏んでみてください。」
「待て!」
服を奪い取って部屋から出て行こうとするマオを止める。
「なんで止めるんですか!」
「絵面がダメなんだよ!」
小学生女児を踏みつける高校生男子。
「母様の凄さを理解してもらうために、わたしはこの身を捧げます!」
「捧げられてんのは俺の尊厳だ!」
やばい。
いや別に何もないが絵面がやばい。
誰にも見られないがなんか嫌だ。
あと普通に人を踏みたくない。
「そうはいきません!レットさんの尊厳が破壊されようとわたしは母様の凄さを理解してもらいます!」
「もうわかったから!母様はすごいんだな!」
「あなたに母様の言われる筋合いはありません!」
「彼女のお父さんか!」
いやお母さんか。
「とにかく確かに技術力はすごい人みたいだな・・・」
正直よくわからないが。
「はい!頭も良いんですよ!」
「そうなんだろうな。」
スティラコス、完全自動化の工場・・・これだけでもオーバーテクノロジー感がある。
並大抵の人物ではないのだろう。
それに
「とりあえず続きは飯食いながらにしようぜ。」
「はい!今日はわたしが準備しますね。明日はレットさんなので手伝って色々覚えてください。」
「へいへい。」
「へいは一回!」
「そこは『はい』だろ!」
マオがキッチンの方へと向かう。
それにスティラコス、完全自動化の工場、耐衝撃スーツ、買い置きの食事・・・まるで骸竜の襲来を予想していたような。
そしてマオを一人にする事を想定してたような準備をしている。
「何者なんだ?」
それは知能によるものか、それとも・・・
なんだか悪寒が走る。
「手伝ってって言ってるでしょ!」
キッチンから小さなオカンが走って来た。
「わかってるよ!」
キッチンに向かって歩き始める。




