憤怒
目を覚ました烈斗、その烈斗が見る天井とは?
無限増殖する知らない天井シリーズの増殖は止まらない!
◆参考
・スティラコサウルス
http://webzukan.uh-oh.jp/スティラコサウルス・アルベンテンシス
・ノドサウルス
http://webzukan.uh-oh.jp/ノドサウルス・テキティリス
・エドモントニア
http://webzukan.uh-oh.jp/エドモントニア・ルゴシデンス
・ガルゴイレオサウルス
http://webzukan.uh-oh.jp/ガルゴイレオサウルス・パルクピノルム
・サウロペルタ
http://webzukan.uh-oh.jp/サウロペルタ・エドワルドソルム
・アンキロサウルス
http://webzukan.uh-oh.jp/アンキロサウルス・マグニヴェントリス
目を覚ました。
知らない天井だ。
「目を覚ましたかね?」
「・・・なんであんたがいる。」
声の主を見て苦い声を出す。
それはこの場にいないはずの人物だ。
「娘がさらわれて駆け付けない親がいるとでも?」
天満彩香、真央の母親だ。
祖母と共に誘拐されたと聞いている。
「骸竜にさらわれたんじゃねえのか?」
体を起こそうとするが痛みがあったうまく動かない。
「ああ、あの子は言葉足らずな所があるからね。そこも可愛いところではあるが。」
スタイルが良く長身の天満彩香がほほ笑むと、歌劇団の男役のようである。
「私をさらったのは骸竜ではない。新政府自衛隊を名乗る集団だよ。」
「・・・誰?」
「知らなくて良い事さ。ところで」
言葉を斬ったと思うと横っ面に衝撃が襲い掛かった。
「これは八つ当たりだよ、クソガキ。」
殴った手は内側から赤い水が滴っている。
「私が真央のそばにいればこんな事にならなかった。真央のそばにいなかった私が悪いのだからね。」
そう言いながらも彼女の手は開かない。
「でもねクソガキ、真央のそばにいながらむざむざさらわれるような男を親として許せると思うかい?」
「アルバートはどこだ?」
「うん?」
「さらわれたってんなら生きてるんだろ?だったら取り返す。」
真央の事は心配していたがとりあえず『無事』らしい。
「アルバートは大破し」
「修理出来るんだろう?」
体の状態を考えるに回収されたのは、やられたすぐ後だろう。
そうでなければ・・・いやそれはどうでも良い。
俺が生きているならアルバートは大破したとしても完全に破壊されていない。
ここが研究所と同じ設備なら、そろそろ修理が完了するはずだ。
「君はふざけているのかな?」
「ふざけてるのはそっちだろう。」
起き上がる。
体が痛い。
だが動けないわけではない。
「アルバートはどこだ?」
「落ち着きな。」
そう言った声は聞き覚えがある。
「ばあちゃん。」
祖母の声だ。
「先生・・・」
「まったく・・・ケガした孫を殴るんじゃないよ。」
そう言って祖母は天満彩香の頭を軽く小突いた。
「・・・」
本人も八つ当たりで怪我人を殴った自覚があるのか憮然とした顔で黙った。
「スティラコスの記録は見た。あんたはよくやったよ。」
「よくやった?」
「ここからは大人に任せておとなしくしてな。この馬鹿は・・・おれの方でなんとかしておく。」
「ばあちゃん・・・舐めてんのか?」
心の臓が怒りに震える。
頭が爆発しそうである。
「人ん家に土足で踏み込んで、大事な・・・仲間を奪われて、あとは大人に任せろだ?」
体は痛い。
だが拳は握れる。
ならば操縦桿だって握れる。
だったら戦える。
「これまで何もしなかった大人が舐めるんじぇねえよ。」
「・・・」
祖母は黙り込んだ。
そんな顔をさせたかった訳ではない。
だが感情は、流れ始めた血は止まらない。
「・・・これをやろう。」
唐突に口を開いた天満彩香がベッドの上に投げたのは、見覚えのある服。
ヘルメットと戦闘機に乗る人が乗るような服。
真央が持っていた耐衝撃、耐Gスーツに似ている。
サイズは大人用だが。
「おいサイカ。」
祖母が叱るような口調になる。
「これならば怪我していても動けるだろう。あとの事は保証しかねるがね。」
「どうも。」
服を手にする。
あとの事は・・・あとで考えよう。
「・・・馬鹿共が。」
「久しぶりに聞いた気がしますよ。」
「ふん。」
「それでアルはどこにあるんだ?」
「駄洒落かね?」
「荷電粒子砲をあんたに向けても良いんだぞ?」
くだらない事を言う天満彩香を睨みつける。
「ふふっ、まあ冗談だ。現状を軽く説明しようじゃないか。」
そうして開いた手で
「その前に大人にあんたって言うんじゃない!」
パンと頬を打たれた。
「急になんだ!」
「全く、私の事は博士、あるいはお義母さんと呼びなさい。」
「それで博士、現状はどうなってるんだ?」
「スルーされた・・・まあいい。」
博士は軽く咳ばらいをした。
「現在われわれは空にいる。」
「・・・は?」
「そして骸竜の本拠地に向かっている?」
「はあ?」
状況がさっぱり分からない。
「おい、それで分かるわけないだろう。」
祖母が博士を遮った。
「おれ達はなんとかの指示で作った航空整備母艦バードケラトプスに乗っている。」
「空飛ぶトリケラトプスと思えば分かるだろう?」
「トリケラトプスは飛ばねえよ。」
だが見た目は関係ない。
要は飛んでいる、了解だ。
「骸竜の拠点はもうわかっている。」
真央は探すのに随分苦労していたみたいだが、こっちはもう発見していたらしい。
「なのでそこに向かっている途中だ。」
「だが少し問題があってね。」
祖母の話を博士が遮った。
「アル君がご機嫌斜めでね・・・私の指示に従おうとしないんだ。」
「・・・」
アルも怒っているのだろう。
負けた自分に、守れなかった自分に。
あれで真面目で熱いやつだ。
だから再戦なら・・・
「それは俺が何とかする。」
一緒に行ってくれるだろう。
「頼むよ。」
「おれとしては大人しくしてほしいんだけどなあ・・・」
「・・・」
睨みつけると祖母は肩をすくめて黙った。
これ以上言う気はないらしい。
「到着したら連絡する。それまで寝てろ。」
「・・・わかった。」
確かに体調は万全ではない。
少しでも回復に努めた方が良いのだろう。
体を横たえて目を閉じた。




