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35歳会社員、ダイエットアプリだと思ってDLしたら謎の超人育成プログラムだった件  作者: 須藤 蓮司


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29.攻略wiki

 乾さんの謝罪を聞いていたら、事前にDDTの存在を知っていたにもかかわらず世界がこんなことになってしまったことに対する罪悪感を抱いている様だった。


 …いやぁ、そればっかりは仕方がないんじゃないかなぁ?

 ソレを言いだしたら俺だって…って、アレ?


 …もしかして俺、もっと責任感じるべき?



「…夢野君、君は十分頑張ってたよ?」


 俺の憂いが表情から伝わったのだろう、山里さんがフォローの言葉をかけてくれる。

 それに続く様に大島が言う。


「そうですよ!TP稼ぎの為のDDT布教活動だって、結果的には事件発生前に日本中の人にDDTをばら撒けた事ですし…。」


「皆さん…その様子だとご存じ無いかもしれませんが…皆さんがDDTをばら撒いた後、一部界隈で話題になってたんですよ?DDTの攻略wikiなんかも作られてて…検証組や攻略組なんかが日夜情報を更新してましたし。」


「「「マジで!?」」」


 攻略wikiって…そんなもんいつの間に?

 ダンジョン攻略や備蓄なんかに忙しくて全然気が付かなかったぞ…。

 …俺の知らない情報があるかもしれん、後でチェックしとこう。


 …待てよ?

 …それじゃあ事件前にDDTによって強化されていた人間が一定数…いや、結構な数居るってコトか!?

 

「うわぁ…それは朗報だよ!日本中に『古き支配者達』の脅威に対抗できる人が居るってことだよね!」


「良かった~…正直、自分達だけで何とかなるのかって…不安感で押しつぶされそうだったんですよね。」


 確かに…戦えるといっても、流石に三人じゃ限界があるからな。

 日本中に既にステータス強化された人間がいるんだったら、モンスターがダンジョンから漏れ出してきても多少は安心できるな。


「…あの~…一つだけ訂正があります。」


「ん?なんだい乾さん?」


「…先程の話で『日本中に』って言葉が出てきましたが…正確には『世界中に』です。…皆さんがTPを稼ぐためにSNSや掲示板でDDTの布教活動を始めたのに気付いて、私も同様にTP稼ぎに走ったんですよ。…但し、皆さんの布教効果が薄れないように配慮して…私は海外の掲示板にDDTをばら撒きました。」


「なん…だと?」


「ああ、どうりで…【氷魔法】取得とか随分とTPに余裕ありそうだと思ってたら…そういうカラクリか。」


「乾さん英語できるんスか!すげぇ!」


「え…AIに翻訳丸投げしただけなんですけどね…フヒヒ…。」


 これは更に想定外。

 事件前に()()()()DDTプレイヤーが…いや、ステータス強化された超人達が生まれていたとは。


 …いや、待てよ?

 よくよく考えたら…俺だってDDTを見つけたのは偶々だ。

 俺より先にDDTを見つけていた人間だって、相当数いるんじゃないか?

 …落ち着いて考えてみれば当たり前の事だ。


 …ハハッ…そう考えたら、こんな世界でもなんとかなりそうな気がしてきたな。


「…よ~し、それなら…俺達は俺達に出来る範囲の事をやってみるか。」


「…うん、そうだね。」


「あくまでも『出来る範囲で』ですけどね!流石に死んだらゲームオーバーっすから!」


「…いやいや、実はそれすらも怪しいんですよ。…知ってます?DDTの取得可能スキル一覧の下層に【復活】ってスキルがあるんですよ。取得に必要なTPが100ポイントと激重な上、何度も使えるのか、それとも一度きりなのかも不明なんで容易には取得出来ないんですけど…。」


「マジかよDDT、何でもアリだな…。」


 そうか…そうなるとあの無限にも思えるスキル群も、もう一度ちゃんとした精査が必要だな。

 未だ有用性に気が付いていない、重要なスキルが有るかもしれんからな。

 …そうだ、それにゲームでは微妙でも、現実になった今では重要度が跳ね上がるスキルだって有るハズだ。

 これは…中々忙しくなってきたな。


「…そういえば、一つ懸念が有ります。今はまだスマホやネットが通じていますが、この状況下です。それらがいつ使えなくなるかも分かりませんよね?」


「う…確かに。」


 今はまだ、ダンジョンが与える影響が少ないから何とかなっている。

 …だけど、もしダンジョンから大量のモンスターが溢れ出したら…きっと今のままではいられないだろう。

 各種のインフラがいつ止まっても不思議じゃ無い。


「そこで皆さんに提案があります。…TPに余裕があるようでしたら、【転移術】と【念話】のスキルを取りませんか?」


 【転移術】と【念話】…。

 取得可能スキル一覧を確認すると、確かに存在していた。


 ◆【転移術】:消費TP15

 ◆【念話】:消費TP7


 ぐっ…TP15と7…そこそこ重い。

 取れなくは無いが…ちょっと悩ましい所だな。


「…確か【時空魔術】や【時空魔法】っていうのも有ったと思うんだけど、何故【転移術】なのか聞いても良いかな?」


 山里さんの疑問に、乾さんは想定していたかのように即答する。


「【時空魔術】や【時空魔法】と、【転移術】は完全に別物です。【時空魔術】・【時空魔法】は戦闘向けのスキルで、空間断裂で攻撃したり敵の背後に短距離転移したり…高レベルになると『数秒時間を戻す』なんて魔法も覚えるそうです。一方【転移術】ですが…アプリ時代の【転移術】は主にダンジョン脱出用のスキルでした。…但し、現実となった今は重要度が大幅に上がりました。」


「現実での【転移術】…その主な用途は『長距離移動』です。使用者、または同行者の望んだ場所への転移が可能になる…この数時間で更新された攻略wikiには、そのように追記されています。」

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