016 超える者
サブタイトルを「オークの大群」から変更しました。
耳長族の村を出て五百メートルほど走っただろうか。
オークの大群と対面した。
「先輩! 突っ込みます! 援護を!」
「まかせなさいっ! 紅蓮の火球よ。我が敵を屠れ。【火炎弾】!」
先輩のワンドから生み出された十ほどの火球がオークの群れへと襲いかかる。
以前と比べると増えているであろうその数が、先輩のレベルアップを感じさせた。
あの大群に突っ込むのだ。俺もステータスを強化しておこう。
”名前:石橋タツヤ
職業:騎士
レベル:18
【ステータス】
TP:2060/2060
MP:4/4
STR:5
VIT:5
DEX:3
INT:1
WIS:1
ステータスポイント:9
【スキル】
一閃 消費TP:30
乱れ斬り 消費TP:200
シールド・バッシュ消費TP:100
スキルポイント:17”
前回ステータスを確認してから三レベルあがっていたらしい。
相手はオーク。それならば、ここは物理で殴る!
”名前:石橋タツヤ
職業:騎士
レベル:18
【ステータス】
TP:2060/2060
MP:4/4
STR:10
VIT:5
DEX:3
INT:1
WIS:1
ステータスポイント:4
【スキル】
超・一閃 消費TP:150
超・乱れ斬り 消費TP:1000
|超・シールド・バッシュ《ぶちかまし》 消費TP:500
スキルポイント:17
【パッシブスキル】
超える者
”
パッシブスキル超える者だって!?
各スキルに超の字がついて消費TPが五倍になったようだ。
もしかして、物理攻撃力強化の影響でスキルがパワーアップしたのだろうか。
腕に力を込めれば、迸るような筋肉の躍動を感じる。
狙うは先輩の火球で狼狽える、オークの大群だ。
「うおおおおおおおおお!!」
俺の一振りは、圧倒的な暴力でオークを肉塊へと変えてしまう。
続く二振り、三振りに、オークがボロ雑巾のように散っていく。
一方的なのはいいが、この大群相手では埒が明かない。
ここはスキルを使ってみるか。
使うのは、俺が初めて習得したあのスキルだ。
「【超・一閃】!!」
スキル発動と共に、軸足で大地を踏みしめた。
地面は抉れ、俺の両足のバネが莫大なエネルギーを上半身へと伝える。
そこから繰り出される、一筋の閃光。
巻き起こる衝撃波とともに、オークを五体粉砕した。
「な、なによアンタっ! なんだかすごいじゃないのっ!」
「ステータスを振ってみたら、新しいパッシブスキルっていうのが出てきました! このまま一気に片付けちゃいましょう!」
「わかったわっ!」
先輩も負けじと、魔法を連発していく。
このままいけば、耳長族の応援を待たずして事が済んでしまうかもしれないな。
「もういっちょ、【超・一閃】!!」
嬉々として繰り出した一撃は、オーク達に届くことなく受け止められた。
「――まったく。これだから使えない豚は嫌いなんですよ」
青白い肌に、ウネウネとして肩まで伸びた黒い髪。
瞳は金色に光り輝いている。
どうやって俺の一撃を受け止めたのか、とてもか細い剣を持ち、黒光りする革製の防具に身を包んでいる。
レイピアというやつだろうか。
「タツヤっ! 気をつけなさいっ! そいつは魔族よっ!」
魔族だって?
もしやこいつは、魔王軍の?
考えていると、俺の棍棒がレイピアによって振り払われた。
「初めまして。私は魔王軍四ツ柱が一柱、名をヴェステリテと申します」
そう言ってヴェステリテはお辞儀をする。
不気味なほどに腰を折ったそのお辞儀からは、気持ちの悪いものしか感じることができない。
「そして……」
ヴェステリテのレイピアがジャキリ、と音を立てる。
「さようならあああぁぁぁッッッ!!」
仰け反るように身を起こしたヴェステリテから、幾つもの刺突が同時に繰り出された。




