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014 耳長族の村

 エストさんの後をついていくと、大森林エリア3に踏み入った。


 エリア3からは今までのモンスターに加え、オークが混ざってくる。


 とはいえ、エストさんを襲っていたような集団での出現はなかったし、リーダー豚のように大きなオークも出現しなかった。




 俺と先輩でエストさんを護りながら歩くこと小一時間ほどだろうか。


 エストさんが嬉しそうに振り返る。




「着きました! ようこそ、エルヴンビレッジへ!」




 耳長族の村へと到着した。




 森の中でも開けた広場に建物が並んでいる。


 種族全体の数が少ないのだろうか、十五から二十ほどの木製の建物が建てられていた。


 造りは平屋ながらも綺麗なもので、柱や壁には美しい模様が彫られている。




 村人達は皆耳長族のようだ。碧眼金髪ロングヘアーに尖った長い耳が特徴的である。


 そして、みんな美男美女だ。やっぱり、エルフってやつだよな。これは。


 何人かが俺と先輩に気付いたようで、一人の男性がこちらへと向かってきた。




「エスト! まさか、一人で森へ入ったのか?」


「兄さんに薬草を届けたくて……ごめんなさい」


「兄を心配する気持ちは解るが、村の掟はきちんと護りなさい。次からはちゃんと、私に相談するんだ」


「皆に迷惑をかけたくなかったの……」


「エストに何かあったら、それこそ皆が悲しむだろう。エトールのためなら、皆も協力してくれるさ」


「村長さん、ありがとう」


「ところでエスト、この方達は? 見たところ人間族のようだが……」




 この男性、若く見えるが村長さんのようだ。


 やっぱり長命な種族なのかな。




「マリナにタツヤよっ!」




 先輩がエストさんを助けた話をカクカクシカジカと説明する。




「それはそれは。エストを助けて頂いて、本当にありがとうございました。私はこの村の村長をしています、ウッドセンと申します。間もなく日も暮れますし、今日は是非村にお泊りください。夕飯はお礼を兼ねて、宴を開きましょう」


「私の家に泊まってください! 兄も紹介します!」


「宴も気になるし、それじゃあお言葉に甘えようかしらっ!」




 エストさんのおうちにお泊りが決定した!


 女の子の家に入るのは、小学校以来の快挙かもしれない。


 隣の家に住んでたリカちゃん、元気かなあ。引っ越しさえなければ、俺もエロゲの主人公のような人生だったはずなのに。


 俺と先輩は耳長族に歓迎され、エストさんの家に向かった。





* * *





「兄さん! ただいまっ!」


「エスト! 朝起きたらいなかったから、心配したんだよ! どこに行っていたんだい?」




 エストさんが勢い良く家の扉を開けると、入ってすぐのところにベッドがおいてあり、その上には耳長族の男性が横になっていた。


 恐らくエストさんのお兄さんだろう。


 碧眼金髪ロングヘアーに尖った長い耳という特徴はもちろんのこと、ハンサムな顔は中世的で、化粧をすれば女優でも通るかもしれない。


 しかしながら顔色は土気色で、痩せて頬骨が浮き出ていた。


 辛そうに見えるのに、優しそうな笑顔を浮かべている。




「兄さんのために薬草をとって着たの! 昨日の夜遅くまで咳をしていたから心配で……。今、煎じるから!」


「それじゃあ、村の皆も手伝ってくれたんだね。後でお礼を言わないといけないな。ところで、この人達は誰だい? 見たところ、人間族のようだけど」




「マリナにタツヤよっ!」



 

 先程のように先輩がカクカクシカジカと説明をする。


 先輩は病気のエトールさんを気遣ったのだろう、助けたという所は省いて、森で出会ったと説明していた。




「それはそれは、良くおいで下さいました。何もないところですが、ゆっくりしていってください。」




 そう言うと、笑顔だったエトールさんが真剣な顔つきになる。




「貴方達が現れたということは、魔王の復活が近いのですね」


「兄さんっ!」


「話しておかないといけないのは、エストだってわかるだろう」


「今すぐじゃなくてもいいからっ! もう少しだけ待って! お願い!」


「エスト……。いつまでも隠せることではないんだよ?」


「せめて明日まで、明日まででいいから」


「……」




 エトールさんの緊張した顔がほぐれて、優しそうな顔に戻った。


 


「そこまで言うならわかったよ。でも、明日には話すから。それでいいかい?」


「うん。ありがとう、兄さん」




 エトールさんの手がエストさんの頭の上で、ポンポンって奴をやっている。


 俺にも妹がいたらなあ。




「お恥ずかしいところをお見せしてしまいまして、申し訳ありません。また明日、話をさせてください」


「何の事かわからないけど、明日まで待ってるわっ!」




 その後エトールさんはエストさんの淹れた薬草湯を飲むと、眠りについた。






* * *






「こちらが客間です。自分の家だと思って自由に使ってくださいね」




 俺と先輩はエストさんの案内で客間に通されていた。


 エストさんの家はリビング一つに部屋が二つついたような構造をしているようだ。


 お兄さんはリビングに寝ているし、もともとはお兄さんの部屋だったのかな。




「ありがとうっ! 私達も疲れたし、宴の時間まで休ませてもらうわねっ!」


「わかりました。用意が出来次第、お呼びしますね」




 そう言ってエストさんは部屋を出ていく。




「先輩、疲れたんですか? 俺は全然疲れてないですけど……」


「もちろん私だって疲れてないわよっ! でもああ言わないと、エストさんが休めないじゃないのっ!」


「そういうことですか」




 お兄さんへの説明の件といい、先輩は色々と気が効くようだ。




「とはいえ、身体は元気でも精神的には少しだけ疲れちゃったわ。少し横になるから、アンタも休んどきなさいっ!」


 


 バフッと先輩はベッドに倒れ込む。


 指輪に作られた身体は疲労は感じなくても、精神的には疲れるのか。


 剣と魔法の世界が楽しくて、全然気付いていなかった。


 そう思うと、なんだか疲れているような気がしてきたぞ。




 先輩に習ってベッドに倒れ込み、眠りに落ちる。


 先輩と同じ部屋で眠るなんていう一大イベントに少しも反応できなかったのが、疲れていた何よりの証拠だろう。

キャラを一杯登場させるのは初めてなので、頑張って書いてみました


不自然なところがないか心配です


次回は宴の予定ですが、食事のシーンも大変そうですね笑

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