第2章 第11話
「そう…やっと★★★★が出たのね。
で、★★★★★じゃないからリセットした、と。」
しまった、俺の2か月なんて考えていたが、小夜香との2か月でもあった。
せめてリセットする前にログアウトして相談するべきだった。
『ごめん、小夜香も一緒に頑張ってくれてるんだった。相談す』
かぶせるように小夜香が言う。
「すごいわね。
私だったら多分諦めて★★★★を選んでしまってるわ。」
優しく微笑みながら小夜香が続ける。
「私があなたの生活に付き合ってることを負い目に感じてるのかもしれないけれど、
私は好きでやってるんだから気にしないで良いの。
それよりも、あなたのメンタルの強さに惚れ直しそうよ。」
『そう言ってくれるとありがたいよ。
本当は一瞬誘惑に負けそうになったんだ。
でも、ここで妥協する事を過去の俺も未来の俺も許してくれそうになくてね。
とは言え、2か月経っても★★★★が1個か。
★★★★★はいつになるんだろうな。』
思わず遠い目になりながら呟いてしまう。
「そうねぇ…下手すると1年くらいかかっちゃうのかしらね。
おばあちゃんになっても待つつもりだけど、子供は欲しいから
せめて2~3年くらいで勘弁してほしいところよね。」
『小夜香だって十分にメンタルが強いと思うよ…』
「うふふ、だからあなたは私を気にせず、納得のいくようにやってね。
私は私で自分のキャラクター育てたり、あなたのメモを整理したり、
やれる事はいっぱいあるんだから。
手持無沙汰で待ち続けてる訳じゃないし、
ゲームの中でもフレンドチャットでいつでも話せるから寂しいことも無いわよ。」
『ありがとう。そう言ってもらえると、気が楽になったよ。
フレンドチャットのおかげで、孤独を感じずに助かってるのは俺も同じだよ。
それにいつまで経っても★★★★すら出ない…という焦りは無くなった。
初心者ダンジョンじゃ★★★までしか出ないような制限があるんじゃないかとか、
色々考えはじめてたところだから。』
「そういえばそうね。じゃぁ今日はお祝いしちゃいましょうか!
ごちそう作るわ!普段飲まないけどワインでも開けちゃう?」
『そういえば、もうずいぶんお酒も飲んでないなぁ。たまにはいいかな。』
「じゃぁ、時間もちょうどいいし、今から3時間ダンジョンに行ってらっしゃいよ。
ログアウトしたらご飯食べて、強制ログインされるまでゆっくり過ごしましょ。」
こんな時に★★★★★スキルは唐突に訪れる…
なんていう都合の良い話な訳がない。
3時間で6周。★★★すら出ずに周回は終わった。
だが珍しく強制ログインが訪れず、ベッドで並んで眠りにつくまで、
ゆっくりと2人の時間を味わえた、という都合の良い話には感謝しよう。




