6節 それでも時は流れている
炎に包まれたその姿は光とともに太陽の光と同化して散っていった。
「クローバーさん……」
「神との戦いは終わったんだ。そう悲しむな。それに時の流れは変わった。戦には犠牲が付き物だ。あの神たちとの戦いならなおさら……なぁ?」
ボスは私の隣に立ち、そう語ってくる。確かに彼の言う通りに神たちとの戦いは終わった。しかし失うものも果たしたものも多かった。それでも私たちの時は流れているのだと身に染みて感じるのだ。そして私は強く体に痛みを感じた。
目を開けると、そこにはボスやジョルダーさんたちがいた。
「お目覚めですか?お兄さん」とメアちゃんは言った。
「あぁ」
みんなの顔は曇りかかっていた。
「お目覚めのところ悪いが、これを見てくれ」
ボスはそう言いながら、テレビを付けた。そこには日本にいる住民に武器を配る者たち。そして外国の武器や筆術を使用して戦闘を始めるあらゆる場所。そして空を飛び交う人たち。まさしくこの世界に安全なところはないといったところだ。
「後……これもね」
悲しい目をしてセロリアさんは言う。彼女の持っていたスマホ画面に映像が流れる。それは外の神々との争った外の場所での無数の墓だった。その中に野球バットを持った弟の名前とクローバーさんの名前が刻まれていた。黒い剣も土に埋め込まれているのが見える。それらを見ながら私は拳を握り締めた。
「そんなに握り締めないで」
セロリアさんは私の手を彼女の胸の谷間に運んで挟んだ。その柔らかさに調和して拳が開かれそうになる。彼女の鼓動が拳から伝わって来る。
「私たちとあと少人数しか残ってないけど。あなたはそれを救ってくれた。それだけで私たちも逝ってしまったみんなも嬉しいわ」
私の瞳に熱いものがこぼれた。
「そうだ。そして終わってねぇ。まだ終わったわけじゃねえ。泣くぐらいなら救え」とジョルダーさんは私に言う。
「そうよ。弟が言ってたわ。『僕が消えたら海塚さんが必ず姉さんのそばに居てくれる。だって僕のヒーローだから』って。だから弟のためにも……」と弟を失くしたあの姉が言う。
「みなまで言わなくても大丈夫です。私にしかできないことをやらなくてはなりませんから」
「それはちょっと違うな。私ではなく、私たちだ……そうだろ?」とボスは言う。
みんなは頷く。そして私も彼女たちと共に頷いた。
「ならば成すことをせよ。それが俺の命令だ」
「はい!!……でもどうすれば?」
「そうだな、君が倒れる際に土に刺した剣は抜けないしな。まっ、どこかの剣のように運命の者が抜けば取れるという展開もあるが、さすがに外には出られない。だが、君にはもう一つ大事な武器がそばにあるだろ?」
私は首を横に回して棚の上にある本を見た。そしてそれを開く。
『やっぱり俺を頼ったか。なら手を載ろせろ。そして絶対に抜くなよ』
私はそれを見て彼らに聞く。
「誰か、ペン持ってます?」
「あぁ、あるぞ」とジョルダーは私にペンを渡しながら言ってきた。
『近くにいるみんなをそっちに行かせるには?』と書くと、『体のどこかに触れれば行ける。また触った人の体にまた他の人も触ればその人も行かれる。車を交通止めさせる鎖のロープのようにな』と答えた。
「あのぅ、他の人たち全員連れてきてくれませんか?この世界を救う方法が分かりました」
「よし、手分けして呼んでこよう」
ボスたちが消えてしばらくしたら十七人ぐらい追加で来た。私を含めて二十三人ぐらいか。
「これから最後の戦争に入るかもしれませんし、しないかもしれません。しかしこの世界を救うことができると思います。だから私のためにできるのなら私の手を誰か握って下さい。そしてその手を徐々に繋いでいって輪ができるようにしていってください。でも嫌なら大丈夫です。選ぶのは……」
「お兄さん、私の手を繋いでください。こっちはもう大丈夫です」とメアちゃん。
「あぁ、こっちの手も頼む。ヒーローは何人いてもヒーローだろ?」とボス。
誰にも繋がれていない手以外は全て結ばれていた。私以外の二十二人ぐらいの手の鎖が結ばれていたのだ。私は両手を結んだ。そして思ったことを言う。
「あっ、これどう手を載せればいいんだ?」
笑いが起こる。そしてボスは手を私の手から離して言う。
「こっちの手を付けろ。反対の手は繋がってるから安心しろ。そしてまた帰れたら共に笑おう」
「はい!!それでは、行きます!!」
私は話された手を本に付けた。
手が本の中に吸い込まれていく。顔まで入り込んできたときに私は目をつぶった。なんか変な感触を感じながら。




