3節 キスの目覚め
私は下に落ちそうなメアちゃんの片手を力強く引っ張ってこちらに連れ戻させる。
その瞬間、メアちゃんは足を転ばせて態勢を崩してしまった。私の方に彼女の体が倒れ込む。
いきなり引っ張ったので彼女の体が浮いたせいだろうか。彼女の唇と私の唇が触れ合ってしまった。
その瞬間、私の唇に激しい痛みが広がる。唇に電気が走るといったような感じだろうか。それと同時に私の目から熱い水がこぼれ落ちる。脳裏にものすごい血に塗られた死体があたり広がるような残虐な映像が瞬時に映ってるからだろうか。私が思う感情はただ一つだった。切ないという感情だ。
この切ない映像を見た後に私が実際に殺した筆術を見てしまえばおかしくなるだろう。それに先程の緑の液体にもそれ以外の何かがあるだろう。それでも私が見ている今の彼女もまた私と同様に涙をこぼしていた。
「ごめんね、色々と」
「ありがとう」
彼女のその一言が私の疲れとともに重くのしかかる。
「海塚君。よくやった。だが、これで終わったわけじゃない」
髪の長い彼女たちのボスはそう言う。クローバーと呼ばれていた子は近くで「クロクロクロー」と笑っているようだ。独特の笑い方が不気味であった。
「残りはお前一人だ」
彼女たちの本当のボスは櫻木さんを見て言う。
しかし彼女はにたぁと笑い、こう言う。
「まだよ。ねっ、メアちゃん」
急に後ろから苦しそうな声がする。その声はその場にいた誰の耳にも入ってきたのだろう。私を含め櫻木さんを見る顔つきは険しいものだった。




