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世界はこの一冊の本によって変えられた  作者: 未知風
9章 ツインソードガール 後編
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2節 無意識に動く体

私は目の前にいる棒を持つ男と向き合う。


「お前、ここに何があると思う?答えはそう。棒の組み合わせだ」

「おい、貴様。何を考えている?」

棒逆ぼうぎゃく

無権むごん


私の技のおかげで何も起こらない。


「これで俺がお前を彼に任されたのが分かったよ。お前を止められるのは俺だけだからな?」

「ほざけが。棒相反苦ぼうそうぞく


彼はそう言いながら棒を真下にして叫ぶ。後ろに私は行こうとする。


無理矢理変換むりやりへんかん

「ふっ、愚かめ」

「ぐはっ」


私の口から血が吹き飛ぶ。後ろに浮かんでる何本かの棒の壁に体を強打したらしい。


「おいおい、あの本を持っていた貴様がそんな価値かよ。お前、持つ価値ねえな。その本」

「くそっ」

「お前、使っちまえよ。スッキリすると思うぜ、無我という技を」


それがこいつらの狙いか。あれは確か敵だけを殺してたはず。いや、無意識でだからよく分からない。それに今のメアちゃんは敵といえば敵になる。むしろメアちゃんを味方と言えるなら櫻木さんも味方になる。


「さぁ、串刺しになる前に使っちまえよ」

「う……せ……よ……」

「あん?なんか言ったか?棒林食ボウリング

「だーかーら……」


私は棒をすべて体に突き刺す。血管の早まる音。鼓膜の音。全てが聞こえる。


「うるせぇって言ってるだろ?」


拳を床に下ろすとその体に刺さった棒が体から離れる。穴が開いてるはずなのに痛くない。というか物凄いスピードで治っているらしい。


「おい、貴様。お前は何者だ?」

「……」

「その力は……神を超える力だと……」


無子雨むすう……。

無束むそく……。

無迂流蛾射ムールガイ

指も口も出してないのに想像しただけで今まで使用してきた技がそのまま出てくる。

彼は血を吐いては無数に傷だらけになっている。


「俺は一度でもいい。神と……戦ってみたかった。だからお前なんぞに負けるかぁ」


もう、やめてくれ。俺の体も棒を持つおっさんも。

そう思っても想像してその技が出てくる。


無攻むこう……。


棒を持つ男は抗うかのように筆術と持ってる棒を使いまくる。しかし防げてない。


棒緑犯体ぼうりょくはんたい


棒が私の体をめがけて飛んで来る。それを交わす。

その交わした先に心臓あたりぎりぎりに彼の持っている棒が一本歯向かう。


「し……ね……」


彼はそう言い放ってそのまま真下に倒れ込む。どうやら体力が尽きたようだ。

私の意識に反して彼の持っている棒を蹴っ飛ばし、彼を建物の端っこに連れておき体半分だけ外に浮かせる形で左足で彼の胸を押そうとする。鈍い音が彼の体から聞こえる。


もう、やめてくれ。俺の体でこれ以上、メアちゃんの目を汚さないでくれ。誰か止めてくれ。ジョルダーさん。セロリアさん。


私はまた踏もうとした。


「遅くなって悪かったな」


そう言って首元から体を建物内に放り投げ出される。そして懐かしい拳が私の顔を殴ってくる。


「戻ってこい、海塚君。奴に飲まれるな!!」


その声とともに私の体に物凄い痛みが来る。私は意識を取り戻した。


「完全に取り込まれなかったか。よかった」

「ジョルダーさん、なんで?」

「仲間が大変な時に助けるのが仲間だろ?そんだけのことだ。なっ、セロリア」

「まったく。もう少し手加減してあげたらいいのに。今、消毒するから待ってね」


ちょっとセロリアさん!?

彼女は私の頬の腫れを舌で舐める。痛みが和らいでいく。


「姉御、なぜ連絡をしてくれなかったのですか?」

「それはメアのせいよ。私たち宛に連絡が来たの。『私を探さないで。もし会ったら』ってメア?」


彼女が向いてる方向にメアちゃんはこの階から下に落ちようとしている。


俺をどう思っても構わない。

だが、それだけはさせない。

だってメアちゃんは……。

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