1節 お姉様
私は彼女の後ろを歩きながら、セロリアさんとジョルダーさんに連絡を取ってみるが、何とも言わない感じでスマホは返事がない。忙しいのだろうかと思いつつ、スマホをポケットにしまい込み階段を上って行った。そして屋上に着いた。
屋上には三人が私たちを待ち構えていた。二人は後ろで棒を持った一人が前にいる立ち並びである。彼らの後ろには一人、背を向けて立っていた。
「本当にここまで来るとはなぁ、櫻木……いや、我らがボス」
「ホントよねぇ、まさかここまで私のシナリオ通りに進むなんて」
三人が道を開けるとその者は私たちに顔を見せた。「お姉様!!」とメアちゃんはその者にいる飛びつく。そこにいたのは私たちをここに案内した櫻木さんだった。
「あらあら、かわいい妹よ。お姉ちゃんを心配してくれたのね?」
「うん、だってお姉ちゃんはたった一人だもん」
何言ってるの、メアちゃん?君のお姉ちゃんはセロリアさんもだよ?むしろその人、姉でも何でもないと思うよ?
「おや、君。何とも言えない顔をしているね。彼女は今日から私の妹になったの。私欲しかったんだ、妹。そして彼女があなたの技を見て苦しんでたから私が助けてあげたの。この薬で」
彼女は私に緑の液体を見せてきた。そして説明を続ける。
「そしてなぜ私がボスかって?十武人が何人いるって言ってないものね。そして十番じゃら徐々に倒していった。十一人の集団とも知らずに。えぇ、そうよ。私は零番、唯一女でありここの長よ。そして彼女がなぜこうなったか分かる?あなたのせいよ?」
「俺のせい?」
「えぇ、あなたがまた彼女に恐怖の光景を見させたからね。私はここから見てたから知ってるわよ。布を持ったサングラスの死をね」
私は急に息苦しくなった。両手を見つめて立ち尽くす格好をした。
私のせいで彼女が?
「ねぇ、あの人何?」
「メアちゃんを殺しに来た悪い人よ?」
「えっ、やだよー」
メアちゃんは涙をこぼし、私を睨み彼女に抱き着く。
何だよ、それ。私が悪いみたいじゃん。
「ねぇ、怖いの。だから消して、お姉ちゃん」
「だってよ、野郎たち。彼を消しな」
私を襲うかのように三人の男が襲いろうとしていた。私は恐怖感に襲われて動けなかった。また殺して彼女との距離が離れたらいやだと思ったからだ。でも何もしないと殺される。刀が首元に来たので恐怖で目を閉じてしまった。
「いやいや、悪いねぇ。うちのもんをそんな簡単に好き勝手にしてもらわれると」
その声が耳に入ったから目を開けてみると、赤髪が腰まで長い男が右足を上げて刀を止め、右手で棒を止めたかと思えばその棒を下に引っ張って剣まで止めた。その足が私の顔近くにあって臭そうと思うのは言葉に出さず喉の中で飲み込んでおいた。
「大丈夫か?青二才」
「あなたは?」
「おや、正常になったときに話さなかったのか、メアは。メアなどを率いるボスだ。おっと流暢に話してる場合じゃなかったな」
剣や刀が彼を攻撃している。
「青二才……いや、海塚君。その三番の棒の男を頼む。二番の刀と一番の剣は俺が何とかやる。あっ、お前のことも忘れてたな、クローバー。俺の助太刀を頼む」
黄緑のフード付きカッパに緑色のクローバーの華奢な女の子が手をおでこに合わせて「りょ」と言っている。手には黄緑色の傘を持っている。
「おい、よそ見してる暇わねぇ。俺の棒で早く逝っちまいな。あっ、男とやる趣味はねえぞ?」
「分かってて言いましたよね?」
「まぁな」
私は棒を持つその男と闘い始めるのだった。




