表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界はこの一冊の本によって変えられた  作者: 未知風
6章 本とのマニーロワイヤル 後編
28/74

5節 私はそれでも救いたい

遂に校長は我々の手で倒せることになりそうだ。


「さぁ、来なよ?俺を殺しに来たんだろ?」


消極的なその発言とは裏腹に校長の表情は活気に満ち溢れるほど笑っている。


「言われなくてもやってやるわよ」


セロリアさんは走って大きな鎌を振るおうとしていた。彼女の目の前には私がいた。


「アニマルチェアー……ゼロ」


彼女はアルマジロのぬいぐるみにその場にこけた。どうやらメアちゃんの仕業だ。


「お姉ちゃん……どうして?」


メアちゃんは今にも絶望し出しそうな顔で彼女を見ている。


「違うわ。私はあいつを……」

「嘘つきは嫌いです。アニマルドラゴン」


まるでアニメから出てきたかのような巨大なドラゴンが空から落ちてきた。布で出来ていそうだが、かなりがっしりしている。


「お姉ちゃんなんて今ここにいなけりゃいいのに」

「やめて……」

「ふははは。これはけっさ……」


ドラゴンの口からセロリアさんに向かって炎が放たれる。

その中間地点で止まった。周りも静かになっている。

壁を蹴り飛ばして何かがそこに来た。


「何やってんだよ、海塚!!」


そこには眼鏡の野郎とジョルダーさんがいた。


「そうだよ。この眼鏡坊やちゃんの言う通り。仲間同士やり合ってるのはよろしくないねぇ」

「なんでおめーはさっきからその口調なんだよ。気持ち悪っ!!」

「あらあら、一緒に金色のオーラに包まれてあんなことやこんなことを共にした仲じゃないですか?」

「うるせぇ。変な事言うならお前も止まらせるぞ。全裸であのメアっていう奴の前に現れたら彼女はお前をどう思うか……」

「えっ?俺の体をメアちゃんに。そんなー、メアが惚れてしまうやないかい」

「惚れるかっ!!俺もお前もこの建物から出たいと言うわけで休戦協定を結んだだろ?お前が誰だか忘れたがな。っていうか……この捨て駒が俺を閉じ込めていたとは。ふーん、なるほど。で、海塚。お前はどうしたい?」


その答えに心の中で自問自答した。

私はどうしたい?

襲ってきたセロリアさんを倒したい?それは違う。

メアちゃんの思い通りにセロリアさんを倒す?それも違う。

元々の原因を倒すのだ。なぜならどんなことがあろうとも……それでも私はここに巻き込まれた者を救いたいからだ。


「そんなもん決まっておる。あいつを殺す」

「大口叩いて俺に倒される前に死ぬなよ」と海塚。

「異議ないよ」とジョルダーさん。


私とジョルダー、そして眼鏡はセロリアさんを動かして校長をそこに動かした。


「胸が固いのが名残惜しいな」とジョルダーさん。

「そうですね」と私は言う。

「そんなお前達に朗報だ。解けば柔らかくなる」


眼鏡の野郎はにこやかに笑う。


「そんなもんは……」と私は言うと「後の楽しみって奴よ」とジョルダーさんは続ける。

「ちっ、釣れねー奴らだ。熱い拳はこいつだけでいいか。なぁ、哀れな校長さん」と眼鏡野郎はこの世界を動かした。


「くだ」


そう言う校長は火にあぶられた。しかし火は当たって消えただけだった。


「おやおや、見覚えのあるお方がいるねぇ。眼鏡君よ」

「ジョルダーさん!!」とメアちゃんはにこやかに微笑みながら叫ぶ。


そんな時に近くから喚き声が鳴り響く。


「きゃあー。私の胸、揉まれた……」

「セロリアさん、急にどうしたの?」

「だって私のブラが外れてるもん」


ジョルダーさんは小声で「すまん、支える際に外してしまった」と私と眼鏡にしか聞こえない声で言った。


「ごちゃごちゃと話しやがって。お前らの体に金を触れたから自由を奪えたと思ったのに。お前らは俺が殺す。この世は金だよ。金集きんしゅう


床にあった金色の女性の体などが彼に向かって集まる。彼の体が太くなったり高くなったりしていく。私達はただその光景を見ることしか今やれることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ