6節 金では買えなかったモノ
急に彼の周りから煙が起こる。視界が悪くて彼の姿が見えない。しばらくするとその煙から現れた姿は最初に見た時と変わりはなかった。
「気を付けろよ、あの姿になると最悪だからなぁ」とジョルダーさんは言う。
「ごちゃごちゃ言ってると舌噛むぜ、おっさん」と眼鏡は言う。
二人の言葉を聞き終えた瞬間に大きな衝撃音が近くに来た。私が後ろを振り向くとジョルダーさんと眼鏡野郎の代わりに大きな黄金の玉が二つ出来上がる。
「はぁ……なんで金色の玉が二つなのでしょうね?」とセロリアさんは呆れながらつぶやく。
「メアちゃん、大きなぬいぐるみ出せるかな?」と私は言う。
彼女はものすごくたじたじになっていた。
「出せるけど。それで彼女は力尽きるかもよ。少なくとも私が去る前の話だけど」とセロリアさんは補足説明をする。
「私は……やるよ。ビックリベアー」とメアちゃんはつぶやく。
目の前に大きなクマが現れる。
「メア!!」と叫んでセロリアさんは彼女の近くに寄り添う。メアはその場で倒れてしまった。
「おいおい、こんなもの置いたところで金色にしてしまえば意味無いぞ?金化爆弾」
私はにやっと笑ってそれを待っていたと心の中で思った。そして「無壁」と叫んでそのクマのぬいぐるみを跡形もなく消した。私に向かって大きな金の玉が向かってくる。この玉にジョルダーさんたちは包まれたのだろう。
「無理難題変換!!」
その玉は私の筆術の後、校長の方に飛んで行った。
「校長、あの金の女の人ってあなたの奥さんですよね?安心してあなたもそこに行かれますよ。さよなら」
吸い取ってしまった黄金から露になった後ろの壁を突き破り、彼は大きな金色の玉と共に外に出て行ってしまった。
私たちのいる建物が大きく揺れ始める。
「早くこの建物から去らなくては……」
私はその場で体を床に強打した。「何やってんだか」と誰かの声がした。
その言葉と共にあるところにいた。
ここは学校?
「そういうわけでして私は妻を病気で亡くしてしまいました。もしこの学校にいる生徒が新たにその病気を治せる技術を身に付けることができるのなら私の妻が亡くなったことはよかったとおもいます。でもどんなことよりも目標を持って乗り越えようとするのがいいことだと思います。私の妻もその病気とそうやって闘ってきたのですから……」
これは筆術前の入学式の校長先生の話か。あの頃はこんなことになっていたとは思っていなかっただろうな。
ん?なんか小さく柔らかいものが右手に触れてる。
そしてなんか左手の中指と人差し指が何か柔らかいものに触れながら濡れてる。
「海塚君?」という大きな声と共に誰かに殴られた。
私が目を覚ますとそこには……。




