4節 親友
私のことを無視するかのように話が進む。
『あなたたちにはまずそこにいる金色のボード板にある紙に名前を書いてもらう。その後、そこにある金色のケースの隙間にそれを入れる。するとその上にある黄金の電子パネルにトーナメント形式で誰と誰が戦うか示される。後はそのトーナメントに従えば一人残るというわけだ。審判はそこにいる女性がする。まぁ、楽しんでくれ』
アナウンスを聞きながら思うが、なぜそこまで金にこだわるのだろうか。
私たちは言われた通り、壁に刺さってる黄金の板から普通の白い紙切れに名前を近くにいる女性からペンを貰って書く。そしてケースの隙間にそれを入れ込む。どうやら、この部屋にいるのは八人のようだ。三回戦えばどうやら生き残れるようだ。
どうやら私と戦う順番と相手が決まったらしい。
私は初戦らしい。相手は……。
『第一戦 海塚 VS 山口
第二戦 向野 VS セロリア
第三戦 田中 VS 月野
第四戦 吉野 VS 鈴木』
親友だった。というかこいつの筆術って何だっけ。
「海塚とだな。これは運だ。悔いなしにお互い頑張ろうや。荷物はそこに置いとけだってよ」
「あぁ……」
その笑顔が胸の中で痛い。
もう一度、電子板を見てみる。なぜ、こうなってしまったんだ。
「では、海塚さんと山口さんは前に来てください。他の方々はそこで自由に過ごしていて下さい」
私と親友は前に行き、それぞれ端に分かれる。いつの間にか私と親友と審判となる女性以外は見えなくなった。
「安心してください。他の皆さんは私の後ろのこの壁にいます」
その女性はそう言って私たちを交互に見る。
「お二人とも準備はいいですか?」
「あぁ」と私は言う。
「もちろん」と親友も答える。
準備なんてホントはよくない。だって相手は親友なんだから。
そう心の中で思ってると、「開始」という声が鳴り響く。
「さぁ、始めようか。海塚」
「山口……」
「俺の技は『土』だ。上手く使え」
その声を聞いた途端、走馬灯が流れる。
彼とは高校の時から親友だった。宿題を忘れた時に彼は何も言わずに私にそれを見せてきた。バスケの試合で靴が合わなかったのか靴ズレが起きていたのを彼は確認すると素早く私と入れ替わり、その場で私の手に絆創膏を握らせていた。他にも色々と助けられてもらった。彼がまた私のために助け舟を出してくれている。そんな彼を倒すことが出来るのだろうか。それでも……。
「あぁ、なら俺は『無』だ。フェアに行こうぜ、山口」
それでも俺は彼に勝たなくては行けないんだ。メアちゃんに会いたいし、このゲームを作った奴に会いたい。いや、それだけではない。何せ、私のポケットにあの本が詰まってるのだから。
私は彼と向き合う。
彼との戦いが始まるのだった。




