3節 セレクトランプ
部屋に立ちすくんでいる私を差し置いてその声は話し出す。男性のその声を聞けば聞くほどなんかむかついてくるが。
『やり方は簡単です。二人組になって先ほど校門で受け取ったトランプカードをお互いに見せ合って下さい。そして数の多い方が勝利。少ない方が消される。大富豪とかで言われるアレではなく、一番大きいのは王である十三です。また、同じ数字とジョーカーである場合は消えることはありません。戸惑う必要なんてありませんよ。だって逃げればよかったのにみなさんは校門をくぐり抜けてきたんでしょ?さぁ、始めましょうか。選ばれしものだけが残る、セレクトトランプを』
私はトランプの数字を見てみる。ハートの八だ。大富豪なら八切りで消されるあのカードだ。数字の中で真ん中に近い数字だ。なおさら、どうするか。
「おい、あんた。俺と対決してくれないか?……って海塚か」
いきなり後ろから声をかけられる。そこにいたのは親友の男子学生の山口勤だった。
山口がもし、俺よりも数字が上ならこいつが消えてしまう。負けたら私が消える。他の人とやって消えるのを見るのも嫌だ。というか消えるって何だよ。さっきから周りで悲鳴聞こえるけど。
「山口……俺でいいのか?」
「俺は海塚と同じ気持ちだ」
同時にカードを開く。その場にダイヤの八とハートの八が開かれる。
その直後、私たちは先ほどよりも少人数の部屋にいた。そこにメアちゃんはいない。
しばらくしてアナウンスが流れた。
『はい、お疲れ様でした。生き残れた皆さん、おめでとうございます。そして生き残れた人は上の階の部屋に上げさせてもらい、トランプの数字ごとに分けさせてもらいましたのでご了承ください。ここでは最後の生き残りになるまでトーナメント形式として魔法などを駆使して戦ってもらいます』
いきなり始まるこの階層でのバトル説明。私はその説明を聞きながら親友の山口を見ながら不安を感じるのだった。なぜなら、山口とも戦うことになるのだから。




