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イベント -カウンターデュエル-


 僕は会場に向かい走っていた。カウンターデュエルは一対一のデュエルで対戦相手と対戦順は会場で発表されるまでわからない。もしかしたら一番目の出場かもしれないので急ぐ必要があるのだ。


 会場に近づくに従って人通りが多くなる。ふとその人ごみに目を向けると見覚えのある白髪の人物が目に入る。


 (あれは…)


 僕はそのことに気付き自然とその人物を追いかけた。そして叫ぶ。


 「店長!!」


 だが、白髪の男性…店長はこちらに気付くことなく…人ごみの中に消えていった。


☆☆☆


 会場に付いた俺達はまたいつものように集まって観客席に座っていた。セナも既に会場に到着しており、対戦カードの発表を待っている。俺達もその瞬間を固唾をのんで待っていた。


 『レディース&ジェントルメン~!!スピードに命を懸けたデュエリストたちの戦いはどうだったかな~!!』

 『うんうん。風を感じられるいい試合でしたね!!』

 『さて、それではそろそろカウンターデュエルの解説に移りたいと思います。先ほどのデュエルと違いこちらは正統派です!!ではレーヴェさんよろしくお願いします!!』

 『は~い!!では早速始めましょう。カウンターデュエルのシステムは基本的にこのブレイブカードの通常デュエルと変わりません。ただ一点違うところがあります!それはダメージによって手札が減ることはなく、代わりにカウンターが一つ溜まることです!!』

 『カウンターは三つまで溜まり、三つ溜まった瞬間に敗北となります!』

 『単純に言えば三回攻撃を喰らったら負けとなるわけですね!手札が減らないのでどのようにして相手を自身の戦略に当て嵌めるのかと言ったことが重要になってきます!!』

 『三回の攻撃をどうやって決めるのか…それが~』

 『『カウンターデュエル!!』』

 『では対戦カードを発表しましょう!!これだ!!』


 指ぱっちんっと共に画面が現れる。会場の観客は其々その画面を見た。その対戦カードの中で何人か見知った顔があること気付く。


 「おい、レンがあのグラウガと戦うみたいだぞ!!」

 「セナの相手…あの人って一、二、サンダ―の?」


 ミユとユーリが共に発言する。どうやらセナは最終試合らしい。そしてその対戦相手は…


 「レイサンダーか…」


☆☆☆


 僕は自身の対戦相手を見て驚いた。相手は僕たちが敗北をしたライム…それよりも強いと言われるレイサンダーだ。


 だが、僕はそれほど悲観しはしていなかった。何より僕はレイサンダーの仕合を見ている対策の使用はある。敵情視察が有益に働いたようだ。


 僕はこの会場に来る時に店長の姿を見つけ決意を新たにしていた。


 (現在、スワローズネストとの点数に差はほとんどない。ここでもし僕が負ければ逆転されてしまうかもしれない…。そんなことはさせられない。僕が負けたらvRの技術が解放されてしまう…そうなったら今以上に多くの、僕たちみたいな、電脳アレルギーのような社会から排出される人々が出てしまうかもしれない。その辛さを知っているからこそ僕は…例え卑怯と罵られる手を使おうとも勝って見せる…)


 そんな風に考えていた僕にレイサンダーが話しかけてきた。


 「や、どうやら対戦相手みたいだねセナ君」

 「レイサンダーさん…」

 「さんはいらないかな?いやー久しぶりにしっかりとその名前で呼んでくれる人に合ってうれしいよ~」

 「レイダー…」

 「いや、さんいらないってそこ取られても困るから!なんか機械っぽい名前になってるから!」


 僕はその反応に苦笑しながら答える。


 「冗談ですよ。今回はよろしくお願いしますレイサンダー」

 「よろしく、ワクワクする楽しいデュエルをお互いにしようじゃないか」

 「それは無理ですよ。今回は僕が勝たせて貰いますから」

 「お、必勝の策ありって感じかな?でも負けても…」


 レイサンダーが何かを言いかけたところで歓声が一気に湧いた。僕がそちらに視線を移すとレンが地面に倒れていた。


 「カウンター3対0!?無傷でレンを倒したのか!?」


 僕は驚き声をあげる。レイサンダーはそれに対して答えた。


 「そうみたいだね。さすがこのサーバー最強のプレイヤーだ。どうやらかなり一方的な試合だったらしい」


 手元の端末を操作して戦闘記録を確認するレイサンダー。グラウガ―は終始王者の余裕を見せたようだ。


 「まあ、もとよりカウンターバトルは差が出やすい戦いだからね」

 「それってどういうことですか?」


 僕は疑問に思って聞き返す。するとレイサンダーは指を立て得意げに解説を始める。


 「それはね…」


☆☆☆


 「カウンターデュエルは手札が減らない。ダメージがカウンターで溜まるからな。だから狙ったコンボを実現しやすいんだ。単純に言えば妨害されにくいデュエルだ」


 グラウガ―とレンの戦いを見ていた俺は、ユーリ達にどうしてこれほどの差が付くのかを解説していた。この場には既にミユが戻ってきている。ユーリ達も特に気負うことなく自然と受け入れ会話をしていた。


 「だからこそ自力の差が出やすい…そもそもどうしてブレイブカードで今の通常デュエルが採用されたかわかるか?」

 「わかんない」

 「即答かよユーリ…まあいい。単純に言えば現在の通常デュエルが採用された理由は三つ。単純で理解しやすい、経験者と初心者の差が付きにくい、短時間で一試合が終わるだ。まあ、一番最初の単純で理解しやすいの意味は分かるよな?」


 俺の質問にミユが答える。


 「そりゃぁ、あれだろ全部手札剥がして殴ればいいだけだからだろう?」

 「正解だ。だがちょっと足りないな。例としてLPデュエルを上げるとしよう。LPデュエルなどの形式ではもちろんライフは数値で判断されるな。そうすると相対的に他のものにも数値を付けなければいけなくなる。…このブレイブカードは単純なスタンディングデュエルじゃない。動きながら戦うアクションデュエルだ。相手と剣で切り合いながらカード効果を発動することもあるだろう…そういう時にお互いのカードの数値を把握できるか?」

 「それは難しそうです。師匠」

 「そうだ難しい、最初からおぼえておけばいいと考えるだろうがそうすると初心者への難易度が高くなる。これが通常カードゲームでよく使われるLP制がこのブレイブカードで通常デュエルにならなかった理由だな。またカウンターデュエルが通常デュエルにならなかった理由もある」

 「単純ではありそうだから…残りの問題?」


 ユーリが聞く。俺はそれに頷きながら答える。


 「そうだ。まずは経験者と初心者の差が付きにくいって点からだな。カウンターデュエルでは先ほど言ったように手札が減らない。だから妨害されにくい。これが経験者と初心者の差が付く原因になる」

 「それがよくわかんね~んだよな。手札が減らないだけでそこまで差が出るもんなのか?」


 ミユの当たり前の疑問に俺は答える。


 「出るもんなんだ。まずこのブレイブカードがカードゲームだということを忘れてはいけない。カードゲームにとって手札は何よりも重要なものだ。それを減らすことができるというのはかなり大きな意味を持つ。コンボを狙っていたとしてそのキーカードを攻撃によって落とされれば、そのコンボは狙えなくなる。また初心者と経験者とは持っているカードの質の差が確実に存在するが、それも攻撃によってカードを失うと言うシステムによって差となる強力なカードを減らすということに繋がるから。初心者でも熟練者を相手にもしかしたら?って希望が出る要素となっているんだな。また手札は使用でも減って、ゼロになった時に攻撃を受けると負けだから、経験者側も調子に乗ってたらまぐれ当たりで負けてたみたいなこともある」


 そしてっと俺は続けた。


 「この要素は短時間で一試合が終わるって言う要素にも関わってくるんだ。そうだな…例えばカウンターデュエルで相手の手札が5枚で自分の手札が1枚だったらどうする?」

 「…そのままじゃ勝てないから手札を増やすために逃げ回る?」

 「そうだ。普通の人ならそう考えるよな。手札とは別のカウンターで負けが判定されるから手札はあればあるほど有利になる。逆を言えば手札がある相手には勝てない。これが通常デュエルなら相手が使用してゼロになった瞬間を狙うこともできるだろうが、カウンターデュエルではそれで勝てるとは限らないわけだしな。結果お互いに牽制のし合いになったり逃げ回ってカードを集めた方が勝つというつまらない試合になりやすい。試合の時間も長くなる。VRでは実際に体を動かして戦う必要があるわけだし長くなっても疲れるだけで何の得もないからな。通常デュエルがブレイブカードのデュエルとして採用されたわけだ。カウンターデュエルと通常デュエルの差を見ればどうして差が出やすいのかってこともわかるだろう?」


 俺はユーリ達にそう問いかける。ユーリ達は頭を縦に振って頷いた。


 試合は続いていく。そしてあっという間にセナの番になったのだった。


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過去作紹介

結城中学ロボ部!!
学園×スポーツ×ロボット×VRMMO! 仮想現実の世界で巻き起こる少年達の熱き戦い!

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『ハーレムなんて絶対いやだ!』や『プロ・ゲーマー ノリ』などがあります
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