レギオン -倒ス-
その後、協力しないと解けない仕掛け…同時にカードを発動することで開く扉の装置を起動させたり、分かれて進まなければいけないところで分かれて進み、合流ポイントで敵として見えるようになっていて戦う部屋や、仲間がいつの間にか敵に入れ替わってたり、一人だけが開けられる宝箱が合ったりっと実にいやらしい仲間割れの策が満載のダンジョンを何とか乗り越えてボス部屋までやってきた。
「「「「…」」」」
…空気が重い…。そういうダンジョンだっと分かっていてもやはり不満はたまるらしい。俺は雰囲気を変えるために明るいテンションを作り出す。
「よし!!ここで最後だ!!頑張るぞえいえいおー!!」
「「「…」」」
俺は無言で扉を開けた…
☆☆☆
部屋に入り中央まで進んだところで目の前に合った巨大な壁が崩れ出す。そこから大きな四つの球が出てきたかと思ったら、それらに崩れた壁の土砂が集まり一体の巨大なゴーレムを作り出した。
「ボスはゴーレムか…固そうだな…」
「ええ、僕のデッキじゃあまりダメージを与えられないかもしれません」
「よし、じゃあセナは援護、ユーリが陽動で攻撃を…ってもう突っ込んでるか」
俺がミユに作戦を伝えようとする前に彼女は既に攻撃力強化のカードを使いゴーレムに突っ込んでいっていた。
「やってやるぜ!!デカブツ!!」
その拳がゴーレムを大きく凹ませる。ミユを掴もうとする手を躱しそれを蹴り上げた。
「りゃあ!!」
吹き飛ばされたゴーレムの手が崩れていく。
「光属性攻撃力強化エンチャント。ファイトパワーかな?光属性の戦い方見てるとホントにここカードゲームの世界なのか疑わしくなってくるな…あのオーラといいバトル漫画見てる気分だよ…」
早くも二枚目フォトンスピードを使い速さを強化して連続攻撃を仕掛けるミユ。俺はそれを見た後自身の手札を確認した。
<I-フレアダブルソード…二振りの炎の剣。二刀流…つまり攻撃力二倍!!>
<M-ファイアウィップ…鞭のようにしなる炎の魔法攻撃。掴もうと思ったら燃えちゃった…>
<M-熱源探知…近くにある設置されたトラップを発見することができる。サーモングラフィー…あれなんか違った?>
<I-フレアカノン…一発使い切り、極太の火炎レーザーを放つ。一撃必殺…これぞロマン>
<C-ゴブリンソルジャー…戦士となったゴブリン。通常のよりも少し強い。…だがしかし今だかませ>
…攻撃力が高いのはフレアカノンくらいか、とりあえずちまちまと削っていきますかね!
「こい!ゴブリンソルジャー!!そして発動フレアダブルソード!!」
二枚のカードを発動させ、俺はゴブリンソルジャーと共にゴーレムへと切りかかる。ゴーレムは体を崩壊させることでその崩壊した破片を飛ばしてくるが俺はそれを躱しゴーレムがわざと崩した場所に向かって切りかかる。
「っち硬いなソルジャー!!ここを狙え!!」
俺は浅く突き刺さったフレアダブルソードから手を離しゴブリンソルジャーに命じる。ゴブリンソルジャーはフレアダブルソードを押し込むように剣を振るった。
「ゴア!?」
攻撃を受けたゴーレムが怯む。ゴブリンソルジャーの連撃を受けたそこが崩れ中から初めに見た球が一つ飛び出してきた。
「あれはあのゴーレムの核か!?」
俺がそう呟いたのと同時に陽動として攻撃の回避に努めていたユーリがゴーレムの腕に飛び乗り、そこから核に向かって飛び出す。だがまだ距離が足りない。ユーリはその距離を槍を投げることで補った。
「はあ!!」
ユーリの槍が核に命中するが完全には破壊できない。
「威力が足りない!?」
「追撃は任せてください!!ウィンドボール!!」
セナの放った風の弾が核に命中し、核を砕き去った。ユーリは離れたところに落ちた槍を拾い。俺たちはゴーレムの様子を伺う。核が砕けたゴーレムは少し動きが鈍ったものの依然として動き続けていた。
「やっぱり最初の四つ分破壊しないとダメなのか?」
「めんどくせーな…いったい残りはどの部分にあるんだ?」
こちらへと戻ってきたミユがそう呟いた瞬間。核とゴーレムに異変が起こる。
「ゴアアアアア!!」
「これは!!」
ゴーレムの叫びに合わせて破壊した核に破片が集まり修復していく。完全に元通りになった核は再びゴーレムの中に隠れた。
「兄さん…これって…」
「ああ、そうみたいだな。さすがは絆の洞窟ってところだ。あの核を同時に全て破壊しないと奴は倒せない…」
その時ゴーレムの声が響き渡る。カードを使い疲弊した俺たちに襲い掛かる巻き戻しによる第二ラウンドの開始の合図だった。
☆☆☆
(俺は三枚、ユーリは五枚、セナは四枚、ミユが二枚か残りは…)
陽動、援護に回った二人はまだそれほど消費していないが攻撃に回った俺とミユはそれなりに消耗している。動きが鈍く倒しやすい相手だと思っていたがまさかこんな隠し玉があったとは…俺は苦笑しながらも状況を把握する。
(攻撃はしっかり効いている…問題は核の在り処だ。同時に破壊するためにはあのゴーレムに隠された核を四つ全て露わにする必要がある。かなり時間が掛かるだろうし、時間をかければ核自体が元の位置に戻り破壊が困難になるかもな…どれだけ速くより強い攻撃を行えるか…それが鍵ってところだな)
「これは時間をかけてもしょうがないな…援護とか誘導とかなしだ。全員で一斉に攻撃しようっと!?」
「ゴオオオオ!!」
突然ゴーレムが叫び始めたそれと同時に地面から小さなゴーレムがドンドン現れていく。俺が光の板に視線を向けるとそれは二つになっていた。
「っちレベルが上がったか!ザコ召喚とか厄介な!!」
「どっちにしろ抜けて奴をぼこぼこにすればいいんだろう?俺は先に行かせてもらうぜ!!」
ミユがミニゴーレムの中に飛び込んでいく。ユーリ、セナもそれに続いた。
「ちょ!お前ら作戦とか…はあ。まあそれが最適解か…それでももうちょっとなんかなあ」
愚痴りつつも俺もミニゴーレムの中へと飛び込む。
(手札は三枚残っている…演唱すれば増やせるが全員同時に補給できるわけでもないし、敵の能力を考えるとこのまま一気に今の持ち手札で攻めたほうが良いな。っとすると…)
俺は先ほど自分が攻撃したところに突き刺さったままのフレアダブルソードに目を向ける。
(とりあえず、核の場所が同じ場所に戻るかだけでも確認するか)
「…ソルジャー!!あの剣が刺さっているところを再び攻撃だ」
そう言ったあと俺はちょうどゴーレムの中心を始点にして核があった位置とちょうど反対側の位置に向かい進んでいく
(これがゲームである以上このボスにも特徴があるはずだ。ならちょうど反対の位置にあるところを攻撃するのが一番!!)
ゴーレムに飛びついた俺は何度もその装甲を叩き削っていく。ちょうどそのころミユの拳により二つ目の核が発見された。
「よっしゃ!!みつけたぜ!!…うわ!!」
核を見つけ喜んだ瞬間気が緩んだのかミユは後ろからくるゴーレムの攻撃に気付かずに叩き飛ばされた。彼女の手札が一枚減る。攻撃に使ったのか既に手札が一枚となっていた彼女は地面に勢いよく叩き付けられればロストしてしまう状況に追い詰められていた。
「おい、油断してんじゃない!!」
俺はすぐさま攻撃を中断してミユを助けに動き出す。ここで一人でもロストしたら店員ギリギリの俺らはクエスト失敗になってしまう。安全策を取るべきだったか…そう思いつつも駆け出した俺よりも先にセナが行動を開始していた。
「風の踊り子!!…気流操作!!」
セナの召喚したモンスターが生み出す気流によってミユは浮かび上がり衝突は免れた。助け出された本人であるミユは空でじたばたと暴れているが、ミニゴーレムを止めながら気流を操作して上手くゴーレムの動きを躱すセナの腕を見てミユは大丈夫だと判断し、自身の作業に戻る。
「出た」
そんな言葉と共にユーリが三つ目の核を出現させた。その位置はちょうどミユが発見したところの反対側。法則性を見抜いた俺は一気に勝負を決めに掛かる。
「セナ!!気流操作で核を一列に並べてくれ!!あとは俺がやる!!ファイアウィップ!!」
鞭のようにしなる魔術で一気に装甲を破壊し、核を鞭で引きづり出す。同時にゴブリンソルジャーが核を取り出し、ここに四つの核が揃った。
「よ…っと。まあ仲間が同時に攻撃したわけじゃないがこれも同時攻撃だ許してくれよな」
俺はそういって一列に並んだ核に向かってフレアカノンを向ける。
「一発しか使えない弾だ!しっかりと四個分味わいな!!」
カノンから吹き出した極太の炎のレーザーが一つ一つと核を貫いていき四つの核を破壊した。倒されたゴーレムが崩壊していく…そしてそれに合わせてミニゴーレムも消え去った。
「やったんですか?」
「今度こそやったぜ!!」
「うん倒した」
「お前らそれ倒してないフラグだからやめよな。まあ復活しないけどさ」
お約束のようなコメントを言う三人にツッコミを入れ、俺は崩れたゴーレムの奥に向かう。そこには四つのアイテムが祭壇に置かれていた。
「レギオンシェル…レギオン内での簡易通信などレギオンプレイヤーへの補助のための道具だ。ほら受け取れ!」
俺はそう言って三人にレギオンシェルを投げるふりをした。三人は受け取ろうと手を出しそれが空を切る。
「「「…」」」
「あれ、レギオンシェルが消えちゃった。いっつマジック!!」
「…毎回思うけど。そのダンジョン攻略した時の無駄なテンションなんなの?」
「ははは…」
「う、うぜ…」
「あれだよ、何かみんなが元気ないほど元気が増してくる的な?ボス倒してテンションあがっちゃった的な?」
「子供」
「子供みたいですね…」
「ガキだな」
「ガキとか言うな!!言葉づかいを直せよ!!俺は少年の頃の気持ちを忘れないだけだ!!」
その後もワイワイガヤガヤしながら後処理を行う。レギオン戦の準備はこれで終わった。俺達は達成感を持ちながらログアウトした…。




