レギオン -挑ム-
あくる日、俺達はいつも通りフィールドで集合していた。
「よし、それじゃあ今日からレギオン作り始めるぞ!!レギオンさえできればこの青空教室的な現状も打破できる!やるぞみんなえいえいおー!!」
「「「えいえいおー?」」」
「声が小さい!!えいえいおー!!」
「「「えいえいおー!!」」」
無駄にテンションを上げながら活動を開始する俺達。そして俺は突然冷静な顔に戻って話を続けた
「さてレギオンのためのアイテム探しを始めるか」
「テンションの差が激しいですね!!」
セナのツッコミも冷静に流し話を続ける
「レギオンを作るには指定のアイテムと資金を集めることで出現するレギオンクエストをクリアすればいい。資金は俺が集めるからユーリたちにはアイテムを集めてもらう」
そして俺はメニューからマップを表示し、三人に見せた。
「場所はここ朽ちた城塞…ここにある家具カードを取ってくるんだ」
「家具カード?」
「アイテムカードの一つ、レギオンルームの内装に必要なものだ、何か一個所持していないとクエストが受けられない」
「なんだ。アイテムを取ってくるだけなら楽な仕事ですね」
セナは呑気にそんなことを言った。ミユはぷるぷると震えて固まっている。そのことが気になった俺はミユに語りかけた
「ん?どうしたミユ?」
「朽ちた城塞って…確かゴースト系のモンスターが大量発生するブレイブカードのお化け屋敷って言われてるところじゃないのか?」
「…」
「お化け屋敷!?」
ユーリが黙り、セナが驚く。そして俺は平然と
「そうだよ」
と答えた
☆☆☆
薄暗い廊下を僕は歩いていく、前に立つユーリは無言でミユは後ろでキョロキョロと警戒しながら進んでいた。
「ってミユさんなんで後ろにいるんですか!?いつも意地はってるんですから前に出てくださいよ!!」
「なにいってるんだ!?お、おれは後ろを警戒してやってるんだよ!!」
「二人とも煩い!所詮はただの魔物気にする必要なんかない」
言い聞かせるようにユーリがいったその言葉にやっと僕たちは冷静さを取り戻した。
「そ、そうだよね。だってこれゲームだもん。そんなもの居るわけないよ」
「まったくだぜ!!ま、もとから気にしてはいないかったけどな…お、あれじゃないか家具カード!」
ミユが指差した方向に合った家具を触りカード化させる。レギオンクエストには一つあれば問題がないのでこれで任務完了だ。
「案外あっさり終わったね」
「そうですね。とりあえず終わって良かったです…」
僕たちがそう喋っていると突然ミユが震え私たちの後ろを指さした。
「おい!お前たち後ろ!!」
「え?」
僕たちが後ろを振り向くとそこには白い何かが存在した。
「お、おば…」
「魔物!!」
ユーリが飛び出し槍で貫く、しかしその攻撃は白い何かを通り抜けダメージを与えることはできなかった。
「こ、攻撃が…」
「物理が効かない…ならアイスボール!!」
カードを発動させ氷の弾が何かに向かう。しかしそれはその攻撃すらすり抜け無効にした。
「魔法も?…もしかしてまさか…」
僕がそう呟いたのと同時にユーリとミユが逃げ出した。
「ちょっちょっと二人とも!!」
「…」
「逃げるなんて酷いよおいてかないで!!」
ユーリは壁を踏み台に加速をし、ぐんぐんと離れていく。ミユは光属性カードでスピードを強化していた。
「逃げてんじゃないよ…これあれだ。かけっこで勝負しているだ!!だから負けるわけにはいかねーんだよ!!」
「何その理屈!?まってよミユ!!待って―!!!」
こうして僕たちの家具カード集めは終わった。
☆☆☆
「くくく、いいざまだぜ…」
俺は建物の死角に入りながらユーリ達が恐怖で逃げ去るのを眺めていた。そうわざわざこの場所を指定したのはこれが見たかったからなのだ。資金ならこれまでの廃人プレイで取りに行く必要はない。ゆっくりと見物することができた。
「まあ、突然攻撃も魔法も効かない存在が現れたらビビるよな。普通に考えればカードの効果ってわかっただろうにまあ雰囲気の勝利ってやつか」
俺は先ほど発動させたカードを思い出す。ミラージュファントムという名の魔法カードは使用者が指定した幻影を発生させる技だ。攻撃力は存在しないが目くらましとしては有効的に作用する。
「さて、俺も帰るかね」
戻った時に指定の場所に居なければ少し不審に思われるかもしれない。無理やりレギオンを作ることになった仕返しをして満足した俺は急いで戻った。
☆☆☆
「お、遅かったな?…ん、ん?どうした疲れてるぞ?…ふふんやっぱり怖かったか」
俺はやってきたユーリ達をみてそういう。彼女たちはすっかり疲れ切り虚ろな表情をしていた。時折後ろを確認する動作をするのが見ていて面白い。
俺は笑いをできる限り堪えながら。淡々と話を進める
「さ、条件もそろったし、レギオンクエスト受けますか…ていうかもう受けてきたんだけどね」
俺はそういってクエストの詳細を三人に見せる。
「受けてきた…?もしかして家具カード持ってたの?なら私たちがあそこに行く意味なかったんじゃ…?」
「うん、持っているよ?だって廃人だもの。そりゃ一枚くらいあるだろう」
「て、てめぇ!!」
ミユが怒りにまかせてこちらに詰め寄ってくる。
「だけどさ、何から何まで俺におんぶにだっこっていうのも良くないじゃん?だからさわざわざ取ってきてもらったんだよ」
「うぐ…!!」
必殺正論返し。とりあえず正論で帰せば丸め込める。これが二十年以上生きる人間の技ってやつだ。
言葉をなくしミユが離れた後、他の二人も適当に丸め込み俺達は目的の洞窟前までやってきた。
「ここが目的地の絆の洞窟ですか…」
「そうだな。ま、俺もレギオン作ったことはないから入るのは初めてだが結構な数がレギオンを作れずに再挑戦することになったって聞く。気を引き締めたほうが良いかもな」
「腕が鳴る…」
「何が来ても叩き潰してやるぜ!!」
俺達は洞窟の中へと入っていった…
☆☆☆
「暗い…ですね」
中に入ってセナがそんなことを言った。
「確かにな。他のダンジョンよりも暗めかもしれない」
セナの一言に納得しながらも奥へと進んでいく。見た感じは薄暗い普通のダンジョンって感じの場所だ。今のところ敵は出ていない。だが…
「念のためにデッキを展開しておくか、この暗さだと不意打ちをされたらまずいだろう」
「そうかも」
ユーリ達の了承も得てデッキを展開し歩いていく。その時突然ミユのカードが一枚削られた。
「うわ…誰だ!!今俺を殴ったのは!!」
殴られたらしいミユは辺りを見回す。だがここには俺達四人しかいない。必然的に矛先は後ろにいたセナに向けられた
「お前か?俺が何したっていうんだよ!!」
「いや!?僕じゃないよ!!」
二人の喧噪が激しくなる。それをめんどくさそうに見守っていたユーリが突然地面に叩きつけられた。
「痛い…おじさん?なんで殴るの?」
怒気を含ませながらユーリは立ち上がるもちろん俺は殴っていない。
(っということはこれは…)
俺は辺りの監視を強くする。ユーリが詰め寄ってくるがそれを無視してセナに向かっていった。
「おじさん!?」
「な、犯人はお前なのか!!」
「え!?」
三者三様の驚きをする中俺はセナの後ろを切り裂いた。
「ぐぎゃ!」
短い断末魔を放ち、俺が切り裂いたモノがカード化する。俺はそれを拾って呟いた。
「ハイドウォールゴーレムか…何とも嫌なダンジョンだよここは。通りで失敗するレギオンが増えるわけだ」
「どういうこと?」
代表して尋ねてきたユーリに俺は説明を始めた。
「このモンスターは壁に擬態して攻撃するモンスターらしい。ゴーレムを隠すなら壁の中ってか?普通過ぎてつまらんけどな。このダンジョンがくらいのもこのゴーレムを隠すためのものだろう…ようは暗がりで攻撃し、すぐに姿を隠すことでレギオンメンバーが自分を殴ったと誤解させ内部分裂を図るためのダンジョンってわけだ。絆の洞窟とはよく言ったもんだよ」
「嫌なダンジョン…」
「なんていうか悪質ですね…」
「製作者の悪意が染み出ているな…」
そうかなり悪質なダンジョンだ。俺たちは小数だからすぐに気づけたが大規模なレギオンならまったく気づかずにレギオン内で内乱になっていたかもしれない。
「だが、まあこれを乗り越えてこその絆ってことなんだろう。とりあえず散開して壁を叩きながら移動するぞ?壁の中に常駐するタイプならこれで倒せる。擬態能力も時と場合によっては弱点になるからな。叩いてればいつかは必ず倒せるんだ。運が良ければ偶然一発で倒せるかもしれない。種さえわかればなんとかなるものさ」
俺はそういった後剣で壁を叩きながら進む。はあ厄介だ。これから先もこんなのがあるのかと気を重くしながらも前へと進んでいった。




