レギオン -語ル-
マキシマムエックスからの帰り道。俺は道端で立ち止まり、空を見上げて独り言をつぶやいた。
「レギオン戦か…。本格的な対人戦になるし、レギオンを作る前にそれぞれに対人戦の戦い方とカードの制限、良く使われるカードについて説明しておいたほうが良いかもしれないな」
「はぁ!?うんなのいれね~よ!!いちいち言われなくても対人戦のやり方なんてわかってるわ!!」
ミユが威張るように言い放つ。ハッと小ばかにしたような態度が少しむかついたので俺はそれに反論をした。
「あっさりと俺に負けておいて良く言うぜ」
「うぐ!!…」
あっさりと何も言えなくなったミユをにやにや顔で見る。そして俺は手を一度バンと叩き合わせ。全員の視線を集めた。
「反対意見もなくなったことだし訓練所にいくか!!初心者教育二回目の始まりだ!!」
俺は意気揚々とギルドへと向かった。案外こうやってカードゲームを教えるのが好きなのかもしれない
☆☆☆
第一訓練場へとたどり着いた。俺はデッキを現出させる。デッキは一人で作る分にはメニューからボタン操作で行えばいいのだが、他の人に見せたり、他の人がデッキを調整したりする際にはこうやってデッキを現出させカードとして使える状態にする必要がある。
俺はデッキからいくつかのカードを取り出しそれを三人に見せた。
「じゃあまず、カードの制限について説明するぞ~。カードの種類はスペシャルのS、クリーチャーのC、マジックのM、アビリティA、アイテムのI、トラップのTがあることは知っているな?この内、マジック、アビリティには発動に制限がないがスペシャル、クリーチャー、アイテム、トラップには発動に制限が存在する」
「そうなの?」
ユーリがこてんと首を傾け聞いてくる。どうやらユーリは知らなかったようだ。それもそうだろうこの制限はある程度偏ったデッキ構成をしないと発生しない制限だからだ。
「そうだ。制限と言うのは同時召喚数、同時設置数に掛かっている。クリーチャーが同時に召喚できるのは二体までアイテム、トラップは共に三個しか発動と設置ができない。二体や三個ある状態でカードを発動すると最初に発動したカードの効果が消えてあとのカードの効果が発動されるわけだな」
俺はそこで一旦言葉を切り再び話だす。
「これはデッキを考えるだけではなく、対人戦時にもとても重要なことだ。二体しか召喚できないことがわかればそれ以上の数を警戒する必要はないし、仕掛けられるトラップが三つしかないなら土地の状況とプレイヤーの考え方から設置場所を特定することも可能だ。これらはモンスターを出しまくって敵を圧倒したり、罠を張りまくって場所の特定が困難になったりしないための処置と言えるな」
「なるほど…ゲームバランスを考えての処置ってことですね?あれ、そういえばスペシャルについてはどうなっているんですか?あれも究極召喚ならその制限に入ってしまうのでしょうか?先ほど制限があると言ってましたよね?」
セナが思いついた疑問について聞いてきた。俺は良い質問だとうなずき続きを話す。
「スペシャルの究極召喚は召喚制限には入らない。だがスペシャルは同系統のスペシャル…つまり究極召喚なら究極召喚を大魔道なら大魔道を同時に発動することはできない…つまり最大で出せるモンスターは究極召喚1召喚2の三体というわけだな」
「別系統のスペシャルなら同時に発動できるのか…」
ミユがうむむ、と眉間にしわを寄せながら言う。
「そうだ。まあ制限についてはこんなものだ。じゃあ次は対人戦で良く使わるカードと対人戦の戦い方だな…まず、対人戦で重要なのは相手の意表を突くこと、そして相手をどのようにして自分の思い通りに動かすかっという点だ」
「対人戦の戦い方なんて今までの魔物戦と同じでいいんじゃないの?」
「そうだ、だだ殴ればいいんだ」
「ちょっと二人とも…」
脳筋二人が言葉を発するセナは頭を抱えながら二人に声をかける、俺もため息を付いた。
「はあ、AIで動く魔物と違って対人戦は相手が考えて行動するし、何より相手はカードを使うんだからな?それにレギオンを組んでいる奴らはイベント戦とかにも参加していて対人戦に慣れている…油断していると負けるぞ?」
やれやれと手を振る俺をユーリとミユは不機嫌な顔で見ている。
「…相手の意表を突くことは言わばブラフを有効に活用することだ。相手は同じ人間で…考える。だからないものをあるように見せたり、あるものをないように見せれば意図的に隙を作ることができ、攻撃の起点にすることができる。対して相手を思い通りに動かすというのはそういったものも含め活用して相手にその行動をとらせるようにすることだ。特にカードゲームでは自身のコンボや切り札を使うために指定の状況を必要とする。その状況を自分で作り出さなければ相手に勝つことは難しいだろう。相手の現在の行動、相手のデッキや過去の対戦などの情報そういったものを相対的に判断してここで自分が何をしたら相手がどう動くか…それを考えることが重要だな。…っと話が長くなったかじゃあここからは対人戦で良く使われるカードについて説明しよう」
俺はそういって二枚のカードを取り出した。
「まず一つ目、魔法の中の種類の一つ、武器起点発動魔法…通称起点魔法だ」
俺は訓練場の機能を使いカードの効果を発生させる。剣から吹き出すように周囲を燃やす炎が湧き出してきた。
「この魔法は普通の魔法と違って発動する場所…効果が現れる場所が決まっている。このように必ず武器から発生するんだ。だから…」
俺は剣を投げた、草原に剣が突き刺さる。
「発動、剣炎!!」
先ほどと同じように周囲を燃やす炎が俺から離れた位置にある剣から発生した。
「こうやって離れた武器からも発生させることができるんだ。これが起点魔法の利点、良く対人戦で使われる利用でもあるな」
俺は自身が飛ばした剣を地面から抜き取りユーリ達の元へ戻ってくる。
「確か…僕との仕合でもウッドプリズンも似たような効果でしたね…」
「そうだ、ウッドプリズンも起点魔法だ、だから槍を投げて発動した」
「なかなか使えそう」
ユーリが目を輝かせながら言う。
「まあ、確かに使えるカードだがデメリットがないわけではない。このカードのデメリットは必ず武器を起点に発動するため普通に使うと相手に読まれ避けられてしまうことと、武器を投げる…などをすると武器がない状態になり敵の通常攻撃やカードに対する防御手段を失ってしまうことがあげられる。特に後者もデメリットは大きい、このゲームはカードと共にある程度の通常戦闘を想定してあるため武器に対する比重は大きい。だから多くの人は通常時、起点魔法をあまり使わないんだ。だが上手く使えば強いし、何より見た目がかっこいいから対人戦時には良く使われるんだな」
「かっこいいからって…」
セナが苦笑いをしながらいう。俺はそれを見て心外だという態度をして言葉を放った。
「おいおいカッコよさは重要な要素だぞ?見せるバトルをしなければ面白くないからなエンタメデュエルだよエンタメ!…とまあそれはそのくらいにして次はアビリティだな、これは主に光、闇属性に多いな。アビリティは他のゲーム的に言えばスキルに当たる。…発動と同時にそれに適した動き…例えば閃光突きなら手で突きを放つ。この動作がしっかりとしていればしているほど威力が上昇し、何もしなければ発動はするが威力は最低になるというものだ。光魔法は主に武術系のアビリティが多いが、闇魔法は特殊系のアビリティが多い。例えば相手のカードを封じるとかな。…その際の行動による補正はポーズを取ったりすることになる。よりいかしたポーズだと威力が上がるわけだな。実際に戦ってる感じがする、ポーズがかっこいいから使う。そういった理由で対人戦ではよく使われる。…ちなみにアーサーのギルドマキシマムエックスは光属性使いが多い。充分注意が必要だぞ?」
「…まああの筋肉ならアビリティ使いたがりますよね」
「うん、そうだとおもった」
「っち、俺と同タイプかよ」
俺の言葉にそれぞれがそれぞれの反応をする。俺はあることを思い出しミユに聞いた。
「そういえば、光属性使いだったかミユは。まあ、バトルシスターって言われてるぐらいだからな。光属性と言えばチーム制の対人戦に良く使われる魔法を強化するライドシャイニングがあるがデッキには入れているか?」
「はあ?入れるているわけねーだろう?なんでんなもん入れなきゃいけないんだよ。俺にはこの拳とこの体一つで充分なんだよ。なんでそんなわざわざ群れるためのカード入れなきゃいけないんだ!」
「いや、戦略には必要だろ?そのカードがあれば戦い方の幅が広がるし、何より今度のレギオン戦には入れておいたほうが良いと俺は思うんだけどな~初戦を負け星で飾りたくないしね」
「っち!いらねーつってんだろう!!そんなことしなくても俺が一人で全員倒してやる!!」
「はあ、まあ仕方ないか…」
デッキを作るのは個人の自由な以上無理強いはできない。その後も俺は説明をつづけ。一通り終わったところでその日は解散した。




