82/938
治療
磯川は、上機嫌で電話を切った。磯川の人柄がこう言う所に見えている。
病院の顔と趣味の顔、磯川は、全く違う顔を持っている。それは、恩師川上氏が教えてくれた事だ。矢内は若先生を尊敬して止まない。
開函場所は、多数の会員達でごった返していて、開函を済ませると、矢内は、小谷と連れ立って近くの喫茶店に入った。小谷は5羽打刻して、相当早い帰舎のようだった。それでも・・
「いやあ、ははは。又やられたよ。香月系に」
「えっ・・だって集計が未だでしょう?」
矢内が驚き言う。
「ああ・・けどダントツ間違い無いよ。殆どの鳩舎が7時30分前後の中、7時にタイムしてるって言うんだ。恐れいったよ、全く」
「えっ!」
矢内は2度驚いた。
「時折りね、出るんだよ。あの芳川鳩舎からは化け物が」




