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魔法の才能ゼロの令嬢に最強ジジイが科学を教えたら?→A.めっちゃ無双する:【才無し侯爵令嬢と魔法ジジイの科学革命】の各話一覧  作者: Koh


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第33話 魔力測定

 学園の測定室。


 ピリカは、魔力測定器の前に立っていた。壁際にはアリサが邪魔をしないように立っている。


 ——あれだけの規模の魔法を使ったのだから、魔力量に変化があるかもしれない。念のために測っておきたい。学園側はそう言ってきた。


 魔力量は生まれつきのもので、基本的に伸びないとされている。——それでも、もしかしたら。そんな淡い期待が、測定官の表情にも透けて見えた。



「では、ベルフォードさん。手を置いてください」


 測定官が言った。


 ピリカは測定器に手を乗せた。水晶の球体がほんの淡く光って、数値が浮かび上がる。


「…………」


 測定官が、小さく息をついた。


「——入学時と、ほぼ同じですね」


「あ、はい。そうだと思います」


「念のため、別の測定器でも試させてください」



 二台目。同じ数値。


 測定官の淡い期待が、静かにしぼんでいくのがわかった。


「……もう一台だけ、試してもよろしいですか」


 三台目。——同じ数値。


 測定官は結果を記録しながら、小さく首を振った。


「やはり、変化なしですね……」


 ——だよねぇ、だから言ったのに。



 測定官が、ふとアリサの方を見た。


「ヴァイスフェルトさん。せっかくですから、比較のために触れてみていただけますか?」


「構いませんが」


 アリサが測定器に手を乗せた。


 ——水晶が、眩く輝いた。


 部屋全体が白い光に包まれるほどの、圧倒的な発光。測定官が思わず目を細めた。数値が跳ね上がり、表示の上限に張りつく。


「…………これは」


 測定官が、息を呑んだ。——同率優勝の二人。片方は最低ランク、片方は測定器の上限を振り切る。


 アリサが手を離すと、光はすっと消えた。


「……ベルフォードさんは、この魔力量の差を、技術で埋めたということですか……?」


「あはは……まぁ、ある意味そういうことに、なるのかな?」


 ピリカは頭を掻いた。隣のアリサが、静かにこちらを見ていた。



 二人で廊下を歩いた。


「そういえばさ、ボルトラン様が審議の場で"不正はなかった。宮廷魔法使いの主席として保証しよう"って言ってくれたんだよね。あれがなかったら、たぶんイカサマを疑われて、最悪は優勝取り消しになってたと思う」


「……お祖父様は、あの決勝をずっと見ていたそうです。あなたの魔法が正当なものだと、誰よりも早く見抜いていたのだと思います」


「本当にありがたいなぁ。ボルトラン様にはお礼を言わないと」


「お祖父様はああ見えて照れ屋なので、お礼を言っても"当然のことをしたまでだ"とか言ってはぐらかしますよ」


 ピリカは思わず笑った。——たしかに、大会の後の医務室で話した時、宮廷魔法使いの主席なんて肩書きの割に、硬いとか偉そうって感じはしなかったな。



「そういえば、お師匠様のところに行く日を決める話なんだけど」


「はい。いつがご都合よろしいですか?」


「ぶっちゃけお師匠様、いつでも暇だよ。別にいつ来ても平気。今日でもいいくらい」


 アリサが、信じられないという顔をした。


「そんなバカな……。あの、グリモワルド様も宮廷魔法使いですよね?」


「うん。基本的に暖炉の前でごろごろしてるか、コーヒー飲んでるか、気まぐれに散歩するかだよ」


「…………」


「あ、もしかしてボルトラン様はすごい忙しい?」


「はい。休みもほとんどなく、毎日お仕事をされています。その合間に私に授業をしてくださって……。お歳を考えると、もう少しお仕事を減らしていただきたいのですが」


 ピリカは苦笑いした。

 ——同じ宮廷魔法使いなのに、この差はなんだろう。



 アリサが、少し迷ってから口を開いた。


「あ、でも手土産のコーヒー豆の準備はできているので、今日行きたいです」


「お、決断早い」


「お祖父様に——"あいつの気が変わる前に、早く行って弟子入りの既成事実を作っておけ"と言われまして」


 ピリカは思わず笑った。


「ボルトラン様、お師匠様のことよくわかってるなぁ。どういう関係なんだろうね?」


「私が聞いてもはぐらかされまして……。ただ、懐かしそうにしていたので、悪い関係ではないのだと思います。お祖父様があんなふうに誰かを語るのを見るのは初めてで」


「なんとなく、ちょっと悪友っぽいよね」


「それはわかります」


 二人で、くすくすと笑った。



「じゃあ、今日の放課後、行こうか」


「はい、よろしくお願いします」


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