第30話 帰り道〜アリサとボルトランの場合
夕暮れの石畳を、二人で歩いていた。
魔法大会の喧騒が、背中の方で遠ざかっていく。屋台の灯りがぽつぽつと並ぶ通りを抜けて、静かな住宅街に入った。
アリサは、隣を歩く祖父の横顔をちらりと見た。
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「お祖父様、すみません。優勝できず……」
「気にするな。結果的に同率一位ではある。それに相手があのグリモワルドの弟子だ、むしろ引き分けで済んでよくやった」
「グリモワルド様って、東部戦線の英雄、ソーラーレイのグリモワルド様で合ってますか?」
「合っているが、やつはその称号に何の興味もない。言わない方が良いぞ」
「そ、そうなんですね……」
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しばらく、二人の足音だけが響いた。
ボルトランが、静かに口を開いた。
「それと、比喩でもなんでもなく、やつは世界最高の魔法使いだ。やつの元で学べる機会を無駄にするな」
「お祖父様と比べてもですか……?」
「はっはっは!! わしなぞ足元にも——いや、ギリギリ足元くらいか……? わしもそこそこ才能はあると思うんだが、全力で努力しても足元くらいまでしかいけなかった」
「そこそこって……。宮廷の主席魔法使い様が何を言ってるんですか」
「あいつは本当に規格外なんだ」
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ふと、祖父の横顔を見た。
普段厳格なボルトランが、珍しく懐かしそうな顔をして、穏やかに微笑んでいた。
——初めて見る、祖父の表情だった。
「予言しておくが、家に行ったらきっと驚くぞ」
「え、お家訪問でそんなに驚くこととかあるんですか?」
「はっ、説明しても無駄だから、行って体感してこい。規格外という意味もわかるだろう」
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「手土産は生のコーヒー豆を持っていけ」
「わかりました、最高級品を用意していきます」
「それでいい。まあ、やつはコーヒーの味など分からんだろうがな」




