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最強少女の魔法奇譚  作者: 浪崎ユウ
第五章 神徒侵攻編

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58話 天使に襲われる

あぁ……ほんっっっとお久しぶりです。

留学に行ってたり、色々忙しくて、更新がすごーく遅くなりました。(いつもじゃないか:( #´°ω°` ):)

と、いうわけでこれからもお楽しみ頂けると作者は泣いて喜びます。


「私の親愛なる友が……天原家の長男が私の計画に賛同してくれるとは。本当に有難いと思っているよ、輝夜(カグヤ)


 玉座に座り、呟いたその男。茶髪に、片側を結った三つ編み。

 細身ではあるが、骨格は成人男性のそれであり、彼の面影は────千草に、瓜二つである。


「……日本国王、永久(ナガヒサ)白人(ハクト)様。滅相も無い。ボクは、ボクのやりたいようにやるだけですから」


 満足気に頷いたのは、天原(アマノハラ)輝夜(カグヤ)

 その姿は以前のそれよりも細く、生気が削がれ、人間味の薄さが際立った、まさに、怪物。

 彼は静かに笑うと、国王を玉座の背後から見下ろした。それを咎めたりもせずに、白人は言葉を続ける。


「だけれど……ルクシス天媒会の教祖、アキ様の体では、神族を降臨させるには時期尚早。

君は確かそう言っていたね?」


「ハイ。でもだからと言って、白人様の娘を献上しようとするとは……本当に、それで宜しいので?」


「現時点で神王アポロン様を受肉させる方法はそれしかないのだろう? 愛する娘を差し出すのは少し良心が痛むが……アポロン様の為に死ねるのなら、碌に魔法も使えない娘も光栄に思うだろうさ」


「そうか。じゃあ、ボクは行くよ。進展があればすぐに連絡を」


「ああ、勿論」



 その返事を聞くや否や、輝夜は“ルクシス天媒会“の本拠地のある、長野。神月や界のいるその付近へと魔法で移動。

 笑みを堪えきれずに、口元を手で覆った。



「ははは……!! 国王のくせに愚かだなあ。証明も出来ない神族なんかの為に、ボクを信じて家族を差し出すとは人間って本当に()()()()

王族が破綻すれば、アイオニオス殿の居場所であるこの国が崩壊するのも時間の問題だね」


 一人、空中で人類を嘲笑う男は、再び歪んだ笑みを彼方へ向ける。




「だって───、アキはもう、完成しているんだし」




*****




「この野郎……!! 至る所から嫌な気配がしやがる!! こういう時、神月なら何かわかるんだろうけど……」


「ああ!! 界の友達か。嫉妬しちゃうな」


 連れ込まれた部屋で、アキの姿でにやにやと笑うその者を怒鳴りつける。


「黙れ、偽物!! お前は……一体何なんだよ!? つーか、何で教祖なんかやってんだ!? この宗教は……やべぇ薬をばら撒いてるって噂がある。それは本当なのか!? なんでそんな事────」



「質問が多いよ、界」



「………アがぁっっ!?!?」


 千草の背に伸し掛かる、強力なプレッシャー。指一本動かせない程の圧に、千草は床に叩き付けられる。睨めつけるようにしてアキに敵意を向けた。


「て、めぇ……!!!!!」


 情報を聞き出すのは不可能。相手は国防軍やこの任務にとって脅威だが、千草は、彼を足止めできる程の力を持ち合わせていない。

 状況を鑑み、千草は判断を下す。


(俺の魔力は他人よりだいぶ多いが、こいつの前では操作が乱されて無力だ。

そこは本当に意味わかんねぇけど………個人魔法なら通常の魔力回路より早く、アキの虚を突く事が出来るはずだ。

なんとか隙を見つけられれば、すぐに神月か時薪隊長の魔力を座標にして脱出できる!!)


「酷い目つきだなぁ……それでもかつての友に向ける視線?」


 軽く答えるアキに、吐き捨てるように千草は言う。


「うるっせぇよ。赤の他人が口出してんじゃねぇ!!」


「おお、言うじゃないか」


「だけど、もし……もし、アキが誰かに操られてるだけっていうならさ。過去の事は一度保留だ。



 南本(ナンモト)サンならきっと、お前を助ける」



 その言葉に、アキの力がほんの0・数秒だけ弱まった。

 下向きの力から解放された千草は、すぐさまその魔法を叫ぶ。




「個人魔法《歪界転位》!!」




 虹色に輝く魔力が彼を包み、空間が圧縮される音と共に姿を消し去る。

 後には微かな血の跡が残っていた───。


 動きを再開したアキは、本人も気付かぬまま頬に伝った液体を蒸発させる。その小さな体に窮屈に押し込められていた力が爆発するように発散され、周囲には跪く数十柱。

 彼らは全て白い羽を持ち、清く滑らかな服を見に纏っている。


 アキの瞳が金色へと変化。

 少年特有の少し高い声が美しく部屋に響く。




「人間如きが我から逃げようなどと……。

皆の衆───、愚者共に天罰と救いを与えよ」





*****





 直後、アオの元に天使族が出現する。

 この攻撃は神王アポロンの命令だろうと推測しながらも、晴華と菅沢、寒河江、王女の四人をこの場から逃がすが、その後はなかなか戦況を変える事が出来ていない。


 異空間から続けて送られてくる天使族を、市川とアオの二人で応戦していた。



「神族という存在がいるという前提にも驚かされましたが……まさか、本当に天使と邂逅する日が来るとは……!! あと、天使族は皆このように野蛮なのです、かッ!?」



 羽で作られた弓矢を魔力を込めた銃弾で撃ち返しながら、市川がアオに問いかける。その頬には少しの冷や汗。

 王女との謁見の為、丁寧に結び直していた市川の長髪も、乱れてきていた。


 対天使の戦闘は、魔物との戦闘とは訳が違う。魔物との戦いにおいては、人類が研究を重ねてきた魔法が絶対有利であり、根本的な魔力量の差や実力差が著しくない限りは戦略次第で討伐が可能。だが────。



「市川、できるだけ魔力を使わないように。もちろん魔法もね。

神族は魔力に比べてもっと濃度と威力の高い力と、人間や魔物で言う個人魔法……“聖恵(テクネ)“と呼ばれる力を持ってるから、簡単に妨害されるよ」



「……そういう重要な情報は先に言って貰えると対策のしようがあったのですが??」


 冷たい目をアオに向けるが、絶え間ない天使族の猛攻に手が離せない。王女達が逃げていったドアに背を向け、必死に食い止めている。


「で、対策としては想像できると思うけど。悪魔族に光魔法が有効な様に、天使族には対極となり得る系統の魔法が有効な訳だ」


「承知。発動に時間が掛かるのなら援護致します」



 すぐに話の筋を飲み込み、銃をホルダーにしまった市川は、足を広げて体術の構えを取る。

 無駄撃ちを避ける為だ。

 しかし、気まずそうに目を泳がせるアオを見て、動きを硬直させた。



「もしや……?」


「私、そんな魔法持ってないんだよね」


「魔王のくせに役立たずですね、この餓鬼が」


「めっちゃ言うじゃん。いやその通りすぎて反論出来ないのだけども」



 軽口を叩いてはいるが、余裕は無い。

 彼女の言う光魔法と対極の力を持つ魔法は、魔物、それも上位存在の魔人特有の魔法。

 つまり、堕神ではあるが魔物とは異なるアオが使用できる訳ではないのである。


 アオが持つ現在の手札は、《魔力弾》と基礎魔法のみなのだった。


──私の“聖恵(テクネ)“は広範囲の無差別破壊を目的とするから、使えば戦いは終わる。隣の市川も巻き添えを喰らってしまうけど……。



「っあ!?」



 無意識に長杖を握り直した時、微かな呻き声。

 アオが気がつくと既に、文字通り光速に近しい速度の攻撃が、容赦なく市川の腹部を殴打し、壁まで打ち付けていた。彼の体が、そのまま床にずり落ちる。


「市川!? っ、邪魔をすんな、天使!!」


 市川に駆け寄ろうとするも敵に阻まれ、即座に相手を吹き飛ばすアオ。彼女の肩は微かに揺れており、息を切らしているのが見て取れる。


「このぐらい、問題ありませんよ……っ、どうも、俺が足手纏いになっている気がしますが」


「そんな事はない。てか私にも反撃手段が見当たらないからね……」


 その言葉を聞いて小さく見開く。が、頭を切り替えた市川は壁を蹴り、アオの背後にいた天使の秀麗な顔面を殴り、昏倒させた。



「はは……助かった、市川」



「滅相もない。アオさんの力が半分以下程に弱まっているのは見ればわかりますよ……奥にいる──大鎌の男のせい、ですね?」


「その通り。ほら、あの()()が」


 市川とアオが、奥で天使達を指揮する男に再び目を向けた、その瞬間。

 彼の大鎌がアオの首元に投擲されていた。


───速い。しかもこの大鎌、小刻みに振動する“聖恵“が付与されているから魔力が霧散してしまう。とにかく防御しないと……首を犠牲にして再生を……いや、どちらも “間に合わない“ 。


「《シールド》!!」


 鎌は既に回避不能な距離。張られた防壁は大鎌に触れた瞬間、音もなく砕け散る。


「アオさんッッ!!!!」



 ───詰み。




ぜひ!面白いと感じて頂けたら感想ブクマ評価、リアクション!!頂けると幸いです。

次の更新はきっと来週……。

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