第58話 新学期
――ピピピピ、ピピピピ、ピピ……ピッ。
「ぐ、むぅ……」
呻き声を漏らしながらベッド脇へ手を伸ばし、スマホのアラームを止める。
そのまま首だけを動かしてスマホに表示された時間を確認。朝の七時を少し過ぎた頃、もう少しだけ寝ていても……あぁいや、今日はダメだ。
何でダメなんだっけ……そうか、今日の日付は九月一日。いくらなんでも、新学期の一日目から遅刻するわけにはいかない。
「あ゛〜……」
頭の回転が鈍い、体を起こすのが億劫だ。ここ数週間で最悪の寝起きである。
冷房から吹き付ける冷風に小さく身震いして、無意識に何かを掻き抱くように手を動かすが……その手は虚しく空を切った。
……ああ、そうだった。もう彼女のお泊まりは終わったんだった。
結局危惧していた通りになってしまったな、と嘆息しつつ、なけなしの気力を振り絞ってベッドから立ち上がる。
カーテンを開け放ち、陽光を全身に浴びながら大きく伸びをすれば、ぼやけていた思考と意識が徐々に覚醒していく。
「くあぁぁ〜〜…………顔洗ってくるか」
大欠伸と共に独り言ちるも、当然返答はない。おはようと挨拶を口にしたところで、朝日にも負けない眩しい笑顔でおはようと返してくれる彼女は居ないわけで。
さっさと朝の用意を済ませて早めに学校に向かおう……このままでは寂しさで気持ちが落ち込むばかりだ。
§
蛇口から流れる冷水を両手で掬って顔面に叩きつければ、僅かに残っていた眠気が吹き飛ばされて意識がクリアになっていくのを感じた。
保湿効果のある愛用の洗顔料で顔を洗い、タオルでしっかりと水気を取る。
橋本や森山にアドバイスをもらって、簡単にできるスキンケアなどを始めてみたのが数ヵ月前。幸いと言うべきか三日坊主にならずに継続できている。やはりモチベーションは大事だ。
続けて歯磨きを済ませ、朝食の用意のためにリビングに向かう。
……今朝はあまり気が乗らないし、パンだけでいいか。冷凍庫から凍らせた食パンを二枚取り出してトースターにセットし、冷蔵庫の牛乳をコップに注ぐ。
食パンが焼き上がるのを待つ間にスマホのLAINを開き、一番上にあるトーク画面に犬が「おはよう」と手を振るスタンプを送信。すると数秒も経たない内に既読がつき、猫が「おはよ〜」と欠伸をすスタンプが返ってきた。
そのまま他愛ないやり取りを続けていると、登校時間について尋ねたところで返信が途絶えてしまった。
ちょうどそのタイミングでパンが焼き上がったようなので、一旦スマホを置いて朝食に取り掛かる。
リビングのソファーに腰を落ち着け、皿とカップをローテーブルに置き、合掌。焼きたてのパンにピーナッツバターを塗り、大きく口を開けてかぶりつく。うまい。
一枚目を完食して牛乳を呷り、二枚目を手に取ったその時だ。
—―ピンポーン。
「客? こんな朝っぱらから――もしかして」
……なんとも既視感のある展開だ。具体的には交際開始の翌日。
確信に近い予想を確かめるために、パンを片手にインターホンのモニターを見れば――思った通りだ。
『おはよう、辰巳くん♪』
「やっぱり陽華か……おはよう」
亜麻色のセミロングを風に靡かせ、ぱっちりと整った顔立ちに嬉しそうな笑みを浮かべた美少女――明瀬陽華が、インターホンを覗き込んでいた。
容姿端麗、才色兼備。試験の成績は常に学年トップ、運動も人並み以上にできて性格も明るく温厚、誰にでも分け隔てなく優しく接する……正しく完璧美少女。
所謂クラスカーストの最上位に立ち、学年中、どころか学校中の男子がこぞって付き合いたいと熱望する彼女と。
友達すらロクにいない、図体だけはデカいのに内気でぼっち気質、カーストの最下層に沈んでいた俺――柳田辰巳は。
――現在、相思相愛の恋人同士なのである。
『一緒に登校したいなー、って思って来たんだけど……朝ご飯中だった?』
「ん、もうすぐ食べ終わるし大丈夫。外暑いし中入って……あ、ウチの鍵は持ってるか?」
そう尋ねると、陽華はカバンからキーケースを取り出した。笑顔と共にモニターの前に掲げられるのは、俺が持っているものと同じ鍵だ。
夏休みの長期お泊りに当たり、二人で俺の実家に帰省した際に渡した、我が家の合鍵である。
「じゃあ勝手に入って涼んでてくれ。すぐに準備するから」
『はーい、ありがとう! 私が早く来すぎただけだしゆっくりでいいよ?』
陽華のことはある意味自分より信頼しているので、俺が不在の時でも勝手に鍵を開けて入っていいと言ってあるのだが……今のところ、それが現実になったことはない。
インターホンを切ってソファーに戻ったところで、玄関からカチャカチャと開錠音。ててて、と上機嫌な足取りで彼女はリビングに姿を現した。
「辰巳くんおはよっ! 久しぶり~」
「おはよう。久しぶり……って、二日前まで一緒に居たろ」
苦笑しつつ手招きすれば、陽華は嬉しそうに隣に腰を下ろした。
「私にとっては久しぶりなのっ。お泊まり中は二日以上顔を合わせない日なんてなかったじゃない?」
小さく頬を膨らませる陽華の反駁に、俺は苦笑を深めた。
交際を始めたばかりのカップルがいきなり半同棲を始めて、剰え実家に挨拶まで済ませてしまうなんて、今更ながら展開が早すぎやしないか……については、既に散々議論したことなので脇に置いて。
俺が押し黙ってしまったのは――俺自身が、陽華の不満に共感してしまっていたからだろう。
「今日の朝ご飯はパンだけ? 今からでも何か作ろっか?」
「あぁー……今朝はちょっと寝起きが悪くて、何か作る元気がなくてさ。今日は始業式とLHRで終わりだし、まぁ大丈夫だと思う。陽華の方こそ飲み物とか要るか?」
「じゃあ麦茶をもらおっかな。コップ勝手に使ってもいい?」
鍵と同様に、うちにある食器等は自由に使っていいと言ってあるのだが、毎度許可を求めてくる辺り律儀な彼女だ。
コップ片手に陽華がリビングに戻ってくる頃には、俺もパンを平らげていた。
麦茶と牛乳で喉を潤しつつおしゃべりを楽しんでいると、陽華が小さく欠伸を漏らした。
「ぁふ……見た?」
「そりゃ見るだろ。可愛かったよ」
「ばか」
少し頬を赤らめた陽華にぺち、と肩を叩かれる。
欠伸ぐらいお泊まり中に何度も見せてるだろうに……可愛らしいのでもっと見たいぐらいだ。
とは言え、こんな朝早くから眠そうにしている陽華は珍しいかもしれない。
「陽華も昨日眠れなかったりしたのか?」
「も、ってことは辰巳くんも? 昨夜は通話を切った後、何だか無性に寂しくなっちゃって……あんまり寝付けなかったんだ」
「あー……」
「もしかして、辰巳くんも?」
「……まぁ、無きにしも非ず」
「んふふ」
大好きな彼女と「おやすみ」を言い合って、その彼女を抱き締めて眠りにつき、目覚めれば彼女が笑顔で「おはよう」と言ってくれる――そんな夢のような生活を一か月も堪能してしまったのだ。
多少の《《後遺症》》が残ったとしても無理からぬことだろう。
「部屋で着替えてくる。ちょっと待っててくれ」
「ふふ、はぁい」
満足げに笑う陽華に抗弁しかけて、結局何も言わずに手を振って自室へ引っ込む。
こうして顔を合わせ、少し話しただけで……胸の奥に蟠っていた寂しさみたいなものがふっと消え去り、全身に活力が湧いてくる。
なんとも単純なことだと呆れてしまうが……きっとそれは、陽華も同じだろうと思えた。
§
ややのんびりと朝の準備を終えた俺たちは、いつもより少し遅い時間に家を出た。
本日の天気は快晴。照り付ける日差しに汗が滲むが、湿度が低く風も吹いているおかげで、日陰を通って行けば意外と快適だ。
日の登り切らない朝とはいえ……少なくとも一週間前と比べたら、確実に過ごしやすい気候だと感じる。
「そろそろ夏も終わりだな」
「そうだねー。体育祭の練習が始まる前に涼しくなりそうでよかったよ」
「確かに……真夏の炎天下で行進の練習とか考えたくもない」
じりじりと焼き焦がすような熱波の中で、何度も何度も校庭を横断させられた小中時代の思い出が脳裏を過ぎり、思わず身震いする。流石に高校ではあそこまで入念に練習することはない……と思いたい。
そう言えば、海で偶然出会ったクラスのギャル――藤宮さんに体位作為に向けて体を鍛えておくよう言われてたな。
言いつけ通り陽華と二人でランニングやストレッチに勤しんだことだし、少しでもクラスの勝利に貢献できるなら何よりだ。
そんな風に談笑しながら通学路を歩いていると、背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「あっ、おはよーっす師匠! 明瀬さん!」
「濱崎か、おはよう」
「おはよう、濱崎くん!」
振り返れば、何故か俺のことを師匠と呼ぶ長身男子、濱崎が満面の笑みで手を振っていた。……何だこいつ、やけに上機嫌だな。
我が世の春が来たと言わんばかりの浮かれっぷりを見せる濱崎に、俺と陽華は訝しげな視線を向けてしまう。
それに気付いたのか、濱崎はコホンと咳払いを挟んでスマホを突きつけてきた。
画面に映し出されていたのはLAINのトーク画面。時間は昨日の夜で――相手はなんと、向井さんだった。
「濱崎くんすごい! ついに二人で話せるようになったんだね……!」
「へ、へへっ、色々協力してくれた皆のおかげっすよ!」
喝采をあげる陽華に恐縮する濱崎。話すと言っても文字のやり取りだが……まぁ、進展していることに違いはないか。
やり取りを読んでみれば、どうやらギリギリでやってない課題があることを思い出した向井さんに助けを求められ、それを濱崎が快諾したという流れのようだ。
陽華や高宮さんに頼らなかったのは、それまで散々助けてもらってこの上さらに面倒を駆けるのは気が引けたようで。
消去法とは言え、親友の二人の次に選択肢に上がると言うのは結構すごいことではないだろうか。
「例の勉強会でのことが効いてたのかもな」
「俺も同じこと思ったっす! あの勉強会を開いてくれた師匠にはマジで頭が上がんねぇっす……!」
「俺は場所を提供しただけだよ。発案者は橋本で、お前に話を振ったのは森山だし、頑張って教えて信頼を勝ち取ったのはお前自身の努力だろ」
「し、師匠――っ!」
「師匠じゃない」
感極まったように目を潤ませる濱崎の肩を、称賛と呆れ交じりに軽く叩く。そんな俺たちを生暖かい目で見守る陽華と、中々にカオスな空間が広がっていた。
……通学路で一体何をやってるんだ俺たちは。
もはや日常茶飯事としてスルーしていた周囲からの羨望や嫉妬の視線に、不審の色が混ざり始めたのを感じる。
「……とりあえず、学校行こっか」
「だな」
「っす」
陽華の呼びかけに頷きを返して、俺たちは少し足早に歩き出したのだった。
§
三人で教室に足を踏み入れると、何やら教室の一角に人だかりができていた。ざっと見たところ、登校済みのクラスメイトの半分以上がそこに集まっている。
「おはよーお二人さん。新学期一発目から見せつけて……おい濱崎、お前そんなとこで何やってんだ」
「ちょっと濱崎ー、美樹オトせないからって幸せカップルに挟まりに行くのやめなー? おはよ陽華、柳田くんも!」
「り、理不尽っ! ただ一緒に登校しただけでそこまで言われるんすか!? てか何でバレ――っ!?」
「あはは、おはよー」
「おはよう……ところで、あれについて聞いてもいいか?」
挨拶ついでに軽口を叩いてくるクラスメイトに返答しつつ、その人だかりを指して尋ねてみる。
ドアの近くで談笑していたらしい男女は、小さく肩を竦めて、
「まぁ、見りゃわかるよ」
「柳田くんはあんなアホになっちゃダメだよー?」
「……?」
如何にも呆れていますと言いたげな二人に首を傾げつつ、一旦自分の席に荷物を置きに行く。
高宮さんと向井さんはまだ登校しておらず、橋本たち男衆は例の人だかりの中に居るようだ。
挨拶を済ませるべく――自分から声をかけに行くことすら、数か月前と比べれば信じられないような変化だ――陽華とそちらへ歩み寄れば、俺たちの接近に気付いた橋本が振り返って、
「おっ、お前らも来たか。はよーっす」
「おはよう。朝っぱらからこんなに集まって……また何かやらしかしたのか?」
「またって何だよ! 別に何もやってねーしやらかしたのはこのバカだよ!」
このバカ、と言って橋本が指差した先は、人だかりの中心。
最初に目についたのは机に立てかけられた二本の松葉杖だ。椅子の方に視線を移せば、右足の膝から下をギプスでがっちりと固められた男子生徒が腕組みしてむっつりと座り込んでいた。
こいつは確か――
「栗山くん、大丈夫? すっごい怪我……!」
「ぁぇっ、あ、明瀬しゃん!? あいやっ、だ、ダイジョブっす! ちょっと骨折れて靭帯痛めただけなんで……!」
「大怪我じゃないか……」
思い出した。そう、バスケ部の栗山だ。
憧れの陽華の前で俺に打ち勝つべく、最初はいつぞやのバスケで、それ以降も体育で対戦する度に突っかかってきていた。
敵視されてはいるが悪口や陰口を叩くことはないし、多少態度が悪くとも正々堂々真正面から勝負を仕掛けてくるところは、むしろ好感を持っていたのだ。
そんなクラスメイトがこれほどの大怪我を負ったとなれば、流石に心配にもなる。バスケ部も夏休み中に大会があったはずだし、もしやその試合や練習中に何か――そう推測していると、人だかりの中に居たサッカー部の赤坂が呆れたように笑って、
「んな深刻そうな顔すんなって! いや確かに怪我の具合はヤバいけど、原因は橋本が言った通り単純にコイツがバカだったってだけだから」
「そーそー。試合前日の練習中に悪ふざけでダンクシュートやろうとして、足元に転がってたボールに気付かず……ずでーん! それで結局試合にも出られず……バカの一言だね」
「そんなバカバカ言わなくていいだろ……! いや自分でもバカだとは思うけど!」
やれやれと首を振りつつ補足してくれる黒マスクギャルの……えー、確か「有河希海ちゃんだよー」ありがとう陽華……有河さんの「こいつマジか」と言いたげな視線が痛い。
とりあえず大体の事情は理解した。確かに迂闊だったとは思うが、実際の光景を思い浮かべたときに思わず顔を歪めてしまうぐらいには痛ましい事故であることも事実だ。
「まぁ、何と言うか……お大事に。移動教室で荷物運ぶぐらいはしてやるよ」
「私からもお大事にって言わせて、栗山くん。困ったことがあったら遠慮なく言ってね? 学級委員として力になるから!」
「くぅっ、純粋な厚意が逆に罪悪感とちっぽけな自尊心を刺激する……っ! お気遣い、誠に痛み入り申す……!」
「武士か?」
普段俺に突っかかってくるときの悪役じみた喋り方と言い、栗山はそういうRPが好きなのかもしれない。
芝居がかった動作でガバリと頭を下げる栗山に呆れ気味の視線を送っていると、楽しげに成り行きを見守っていた橋本が気軽な声をあげた。
「まぁとりあえず、一旦落ち着いて治療に専念しとけよ。上手くいけば冬の大会までには治せんだろ。なんなら骨折マイスターこと橋本様が、骨折したときの過ごし方ついて詳しくレクチャーしてやろうか?」
「まいすたーって……橋本くん、そんなに骨折したことあるの〜?」
「おうよ! 自慢じゃないが、俺は小学生の頃に春夏秋冬で一本ずつ折ってたことがある――」
「ほんとに自慢にならな〜い」
謎に自慢げな橋本にさしもののんびりギャルな……そうだ、花守めるさんも引き気味にツッコんでいた。幼馴染みとして面倒を見ていたであろう篠原さんの苦労が偲ばれる。
そのまま大声で武勇伝――失敗譚と呼ぶべきかもしれない――を語り始めた橋本に、もう放って席に戻ろうかと思った時、黒板側のドアの方から怒り混じりの声が聞こえてきた。
「おらーっ栗山ぁ!! なにやってんだてめぇー!!」
「げぇっ藤宮!?」
手に持ったプリントを掲げて叫ぶのは、元気な体育会系ギャルの藤宮梨々花さんだった。
怒り心頭といった様子で、小動物のようにぶるぶる震える栗山を射殺さんばかりに睨みつける藤宮さんは、ずんずんと教室を横断してこちらに近づいてくる。
「あたし言ったよなぁ運動部連中は体育祭で馬車馬のように働いてもらうってよぉ!? だってのに何やってんだお前は!? あぁ!?」
「め、面目次第もござらぬ……」
「あぁん!?」
「まじですんませぇんっ!!」
「チンピラかよ」
そんな俺のツッコミは、ブチギレた藤宮さんの耳には届かなかったらしい。尚も詰め寄る彼女を宥めるように、背後に回った陽華がその肩をポンポンと叩いた。
「まぁまぁ梨々花ちゃん、落ち着いて? 栗山くんだって怪我をしたくてしたんじゃないんだから、あんまり責めると可哀想だよ」
「ぐぬぬ……」
「私たちもクラスの一員として頑張るから! ねっ?」
「まぁ元々あんたたちカップルはたっぷりこき使ってやるつもりだったけどぉ……」
「あ、あれっ?」
「急に飛び火したな……」
もちろん全力で頑張る所存ではあるが、こき使うとまで言われると流石に身構えてしまう。どうか帰宅部の体力に配慮してほしいところだ。
藤宮さんのギラギラと勝利に飢えた目に戦々恐々としていると、ドアの方から聞き覚えのある声が次々と飛び込んでくる。
「おっはよー!! ってあれ、何かみんな集ま――わぁー!? めっちゃ怪我してる人いるー!?」
「ちょっと美樹、朝からうるさいわよ」
「おーいお前ら早く体育館に移動しろー。始業式始まる前に出欠取っちまうから急げよー」
「せんせーおっはー」
「おはよーございまーす」
「はいおはよう。あ、男子で手空いてるやつは栗山手伝ってやってくれな」
「うぃー」
人が増えて賑やかになった、かと思えば銘々に体育館に向けて移動を始めるクラスメイトたち。
俺と陽華も顔を見合わせて、クラスメイトたちを追うように歩き出した。
――こうして、いつにない騒がしさの中で、俺たちの二学期は幕を開けたのだった。
「…………俺も負けんぞ、柳田」
「うおっ、岡!? お前居たのか?」
「…………」
「いや黙るなよ」




