8. ダンジョンの仕掛けにご用心
山々に抱かれて大きな谷があり、それを取り囲むように城砦があった。
まるで何かのゲームのステージ紹介を見ているように、親切に景色が移り変わっていく。
私は谷の底のぬかるみを歩く。民家の廃墟のようなものを横目に、城砦の端にたどり着く。
私はこのあたりを調べろと言われていたので、見て回った。
いくつかゲームのワープ地点や扉があるようだったが、今のところ使い道はなさそうだ。
城砦の上の門から谷とは逆方向に地下に続く道があり、洞窟がつながっていた。
溶岩の滝と川が流れる巨大で幻想的な洞窟である。
まるで火山に掘られた神殿のようだった。
モンスターが現れた。
なるほど、これを倒せばいいのか。
周囲をみると他のプレイヤーもちらほらといた。
私が「刀を振ろう」と思うと、私はゲームの中のキャラクター自身になり、「まるでゲームを操作しているようだ」と思うと、テレビの前でコントローラーを持った自分自身になった。
私の意識は、画面の中で戦う自分と居間でゲームをする自分の間を、目まぐるしく移り変わった。
誰かが私のコントローラーを奪った。そのままひときわ大きなドラゴンと戦闘を行っている。
しかし、地震が発生して、勝負は中断された。
◇
城砦の反対側にはプレイヤーの村があった。
お祭り騒ぎの村の片隅で、わたしは浮かれることもできず、ドラゴンを倒す方法を苦心した。
◇
次の日、再び勝負を挑んだ。
今回はほかのプレイヤーはいない。
私は効率的に敵を倒し、最後に残ったボスと思われるひときわ大きなドラゴンを攻撃する。
しかし死なない。
こいつは死なないのでは、と考える。
しかし、なんとか倒した。
達成感を感じながら、私は再び城砦の谷に戻る。
そこにも雑魚敵がいたので、適当に斬りつけた。
その時。
最初に調べた扉の一つが開き、谷に大量の水が流れ込んだ。
壮大なゲームムービーを見ているようだ。
あっという間に谷は広大な湖に変わった。
これが本来のここの姿だったのか。
と私は思い、同時に、これを最初にやっていれば、洞窟のモンスターたちは勝手におぼれて死んでいたのでは、と思った。
無駄なことをしてしまった。
そこで、目が覚めた。




