1-44 新装と回帰
大変おまたせしました。
うっかりうたた寝してました。
「逝っちゃったね」
「うん。クエストもクリアだって」
「そっかーおつかれ」
「ありがと」
クエストクリアの表示と共に、報酬がお届け物欄に届きました。
内容はーー
【心残りの人形】
これは幽霊さんの遺作ですね。家具・インテリア扱いのアイテムですが、トワに渡すので関係ないですね。
【中級レシピブック(細工)】
消費使用することで製作可能な細工アイテムが増えるらしいです。ついでにDEXが5上がります。何が作れるようになるのか楽しみですね。中級ということは上級もあるのでしょう。
【権利書】【鍵】
この物件のものですね。私がここを正式に使えるようになるみたいです。しかし、税金として月々のお支払いは発生するそうです。タダにはならないんですね、残念。
これはあとで倉庫にしまいに行きましょう。
あとは経験値と素材がいくつかでした。布素材が少しあったのが嬉しいです。ありがとう幽霊さん。レベルも2つ上がりました。
「はいこれ」
「おぉ、お帰り我がプリティボディよ」
人形をトワに渡すと早速、人形に入り込んで行きました。やっぱりこっちの方が私としても落ち着きます。いつも通りが一番ですね。
「おー、なんか気持ち動きやすくなった気がするぜぃ」
「それは重畳」
「ミサっちもここ使えるようになったんじゃろ?おめおめ〜」
「ん。ありがと」
何をするにも拠点があるという安心感は大事ですからね。これまではグルドさんのお店がそんな感じでしたが、完全な自分のスペースというわけではないですからね。
鍛冶の道具が揃うまでは、鍛冶はグルドさんのお店、細工と裁縫はここで行う形になりそうです。
「あ、そうだ」
「どうかした?」
「どうかしたっていうか、ナイフ。アルバちゃん、直ったんでしょ?」
ああ、そういえばそうでしたね。特殊クエストのあれこれで頭の隅に追いやってしまっていました。
革のベルトをつける直前で一旦休止していたんでしたよね。
「そうだったね。はいこれ」
「おお、ありがとーーなんてーか、この子もだいぶお色直ししたね。毛皮のコートなんていいモン着ちゃってまぁ」
「ベルト付けるから、どのぐらいの位置にしたいか決めて」
「おっけー。んー、こう抜くから……ここのへんかにゃー」
トワに鞘の位置を決めてもらい、革紐の長さを肩からかけられるように調整します。
鞘を返してもらって、あらかじめ開けてあった穴に通してから横糸で接着です。
「はい、完成」
「さんきゅー。いやー色々新しくなって気分も一新って感じ?お出かけしたくなるにゃあ」
「あ、そうそう。相場のことも勉強したから」
「ほうほう、ミサミサもとうとうお店開くもんね。ちなみにだけど、このナイフはお幾らぐらいになる予定なん?」
「えーっと、四色鉄が1000万ぐらいって言ってたから……素の闇鉄が500万として……」
「ハイ?」
「そこから加工代で4がけして、祝福抜きで2000万ぐらい?」
「たっか!」
ただまだ終わらないんですよね。
「が、前の段階だから、そっから今回の修理と改造代プラス祝福代を入れるとーー」
「まだ続くの!?」
「うーん、3000万ぐらいになるのかなぁ」
「雑に1000万増えましたわよ!?」
「ちなみにお友達価格」
「ウケるー」
私もびっくりしましたよ。試算したらなぜかこんな価格になったんですから。通常販売だと4500万ってところですかね。売り出さないですけど。
とりあえず元凶の話はしておきますか。
「なんか闇鉄ってあったじゃん」
「あのコウモリのところの宝箱のヤツっしょ」
「そう。それ、まだ発見報告あがってないって」
「マジか」
倒した人自体は何人かいるっぽい話だったんですけどね。
「意外とレアなのか……それか倒し方とか関係するのかね」
「まー、検証してみないことにはわからんだろうにゃあ」
「なんかその辺で素材自体がおかしな金額になるみたい」
「なるほどにゃー。うーん、宝箱の情報と一緒にそろそろ売るかー」
「売る?」
「情報を売り買いするプレイヤーがいるのさー」
なるほど。そういう商品もあるんですね。その辺は現実と一緒ですか。
「幾らぐらいで売れるの?」
「その辺は相手のさじ加減次第だからわからんぜよ。まー安く買い叩いても後が続かなくなるから、そういうことはしないと思うけど」
生産品以上に相場がわからなそうですね。
私には到底無理そうな世界です。
「というわけだから、検証手伝って欲しいな」
「ん。じゃあまたあの洞穴に行けばいいの?」
「そうなるね。この身体とアルバちゃんの性能も試したいし、丁度いい相手っしょ」
「検証するならナイフは使わない方がいいんじゃないの?」
極力前回と同じ倒し方の方がいいですよね。それで出なければレアリティの問題ということになりますし。
「ぬ、確かに。むー、しょうがないかー」
「ナイフの火力実験でもう一周行こうか?」
「お、いいの?付き合ってくれるなら助かるけど」
まあその程度なら。あの大狼を数発で沈められる火力はあるわけですし、倒し方を知ってる相手にそんなにかからないでしょう。
「いいよ」
「よしゃーじゃあ早速行こうぜぃ」
この後の検証結果として、
松明を持ってボス部屋に入るとボスが怒って松明を持っているプレイヤーを集中攻撃する
ボス部屋の石柱を崩して崩落を起こすことが闇鉄入手の条件で濃厚
ほかの素材アイテムはランダム
スキルブックは3周して出なかったので、レアリティが高いと予想
というあたりで撤収しました。
3周したので宝箱も3つです。コレの追加検証は明日やろう、と二人で決めて解散になりました。
ナイフの火力は、一回で大コウモリの体力を2割弱削りました。むしろボスのHPの多さに驚きでした。母は強い。
まあ数回切れば倒せる上、攻略法を知っていて動きも単調なので苦戦はしないんですけどね。
松明を消してから部屋に入り、ソナーで地形把握。動きやすくなったとはいえ、流石に私の方が速いのでトワを抱えて移動し続けて攻撃を回避。あとはトワが攻撃するなり、中央の石柱前で構えて崩落起こすなり自由、って感じです。
まあ、あの鳴き声のせいで耳は痛いですが。
音耐性、欲しいなぁ。
仕事がちょっとしんどい時期なので、明日は休みます。
明日というか今日じゃん……。




