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ヒツジさんの執事さん  作者: 美琴
第二章
62/67

60・墓守の家




「さて、いい加減にこの状況を切り抜ける算段をせにゃならんな」

「はい……」


 正座、からの手短かつ濃厚なお説教をリシッツァ先生からお受けした後、長々とこの時間を続けるのも建設的でないと言う流れになった。

 いやあ……お説教って、されるの久々だったけど、結構心に来るもんだね!!

 決して声を荒げるでもなく、静かに怒られるのって怖いですよ。

 反省しました。すいません、あたしはまだ子供でした。ちょっと調子乗ってました、アルメリアがいるからって油断、じゃないけど、なんか大丈夫だろう感はありました。何より自分に対する安全への執着心が少々足りておりませんでした。

 改める努力をします。

 さておいて。


「もう一回確認するが妖精サマ。あの怪物の弱点は謂わば頭で、命令を受信する仕組みがそこにあるから落とせば動かなくなる……ハズ、だよな?」

「わらわが知る限りでは、そうであった。……しかし、わらわの知らぬ内に、更に技術が進歩するという事は、ままある事じゃ」

「まだ、死体の怪物化の魔法を改良しているニンゲンが居る、という事か?」

「マリヤが居るくらいだもの、他にニンゲンが生き残ってても、不思議じゃないわよね」


 たまたまあたしがアニマリアの人に何の恨みつらみも無いだけで、世代を重ねてもそれを捨てなかった人だって、居るかもしれない。

 歴史の授業では、その魔法を編み出した魔法使いは全て殺されたとは言うが、生き残りが居ないなんて断言できないし、もしかしたら資料を持って逃げて、復活や改良を行った可能性だってある。

 というか、どんな可能性だってあるんだ。


「ねえ、思うんだけどさ」

「? なんだ、オルミガ殿」

「その魔法って、ニンゲンにしか使えない魔法なの?」


 外を警戒してくれているオルミガさんとユトゥスさんは、こちらを見てはいない。

 窓の向こうに視線を向けたまま、…いやもしかしたら形状と言うか種族的に、それでもオルミガさんはこちらを見れるのかもしれないけども、顔は窓の方を向いたまま、そんな事をいつもの涼やかな声で問うた。

 その質問に、あたし達は顔を見合わせ……それから、アルメリアを見ると、彼女は腕を組んで眉間に皺を寄せていた。


「……どうなの? アルメリア」

「絶対に……とは、言えぬな。怪物化の魔法を、共に開発し編み出した妖精が居て、契約者に知識を授ければ……決してアンスロス人でなくとも、行使は可能じゃろう」


 本来、人間……アンスロス人には、高い魔法適正がある。

 だからこそ、前代未聞の魔法を編み出し、死体を利用した下僕を生み出すなんてやらかしてしまった訳で。

 既に完成し、ノウハウがある魔法を、他者が使う事は決して不可能じゃないだろう。

 要するに、あたしが音や闇の魔法の理論をメルルやレオンに教え、彼らが使えるようになったのと同じことだ。

 たぶん、向こうはもっと複雑な手順を踏むのだろうけれど、魔法に携わる研究者でも居れば、再現は不可能ではない。

 


「つまり、この事件の犯人はニンゲンではなくて、アニマリアの人である可能性がある、という事だな」

「……どっちかっつーと、そっちの方がしっくり来るな。いくら何でも、誰にも見咎められずにニンゲンが王都の中の墓場に、長期間潜伏出来る訳ゃねえ。マリヤ以外に、ニンゲンらしき誰かを見たことがある、なんざ噂にもなってない訳だからな」


 妖精と契約しているなら、色んな事が出来るだろうから姿を消せるかもしれないけれど、何でもできるって訳じゃないしね……

 単純に姿だけ消したとしても、人が生きていくには色々必要なのだ。

 それを全て、誰にも見咎められずに調達するなんて無理だ。


「協力者が居ると仮定してみても、ニンゲンが復讐の為にこの国を狙うつもりだってんなら、ちと効率が悪ィな。多分だが、この案件はまだ『実験段階』だ。王都を攻め落とすにゃ、規模が小さすぎるし、いくらなんでも王家のおひざ元でやる実験じゃねぇだろ」


 普通に考えれば、遠方で実験と準備を重ね、王都に満を持して乗り込むか攻め込むか、になるだろう。

 王都でゾンビパニックを起こすつもりなのだとしたら、ちょっと違和感がある。

 既に何度も目撃されているし、隠れて準備しているにしては隠蔽がずさんだ。

 しかも、生きた人間、学院生徒を誘拐するなんて事件まで起こした。目撃者を出す事を避けられないような状況で。

 ……なんだか、変だ。

 今まさに、この国を脅かそうと行動を開始した、という感じではない。


「ある意味では、不幸中の幸いだな。…あんな改良をする誰かが地方でそれを完成させ、王都中で怪物を発生させるような事件を、未然に防げるかも知れない」


 レオンも、窓の外を見やる。

 そこには、まだ頭を失った動く死体達が、誰彼構わず襲いかかり、相手を引き倒し、もがく地獄絵図となっている。

 相手を選ばなくなった辺り、余計にめんどくさい。

 というか、万一頭が無くなっても相手を補足し追い続ける事が可能になるような、そんな改良までされたら、本当に冗談じゃない。

 今ある弱点を無くすのが改良開発というものだが、こんなジャンルの努力はしないで欲しい。


「……グアルダ達が到着するまで、まあ1時間はかからんか……。あの惨状を隠蔽しに、犯人が出て来てくれれば一番手っ取り早いんだがな」

「頭部分に魔石が仕込まれているはず、だよな? あそこから一つ取ってくるか?」

「それも手だな。……結構踏みつぶされてるみたいだけど、無事なのもいくつか……」

「えっ、ここで、その、解体とか……するの……?」


 冷静に話し合うレオンとリシッツァ先生に、メルルの戸惑いの声。

 まあ、そうだよね。

 室内だからダメって訳でもないが、出来れば動物の頭部を解体し、中身を改める様子を見たい訳がない。お嬢様じゃなくたって見たくない。あたしも出来れば見たくない。

 っていうか、ここ他人の家なんだけどね! ひとんちでする作業じゃないよね! そういう場合でもないけど!!


「あー……こうなっちまったら、早いトコ犯人の位置だけでも特定はしちまいたいが、そうだな、流石にメルメルには刺激が強すぎるか」

「でしたら、メルルさんやクルウさんは奥の部屋に入っていて下さい。そこの扉を入って、左がキッチンで、右側の奥のお部屋が寝室、手前が客間です」


 ユトゥスさん、随分詳しく家の中の事知ってるなあ。

 墓守のおじさんと、知り合い以上の関係なのかな。家の鍵の場所だって知ってるくらいだもんね、友達どころか、もしかしたら親戚とかなのかもしれない。

 お嬢様のメルルと、一般人のクルウには、ここから先はちょっと辛い展開になりそうなので、一度離れていて貰うのが得策だろう。

 こっちも気になるけど、さりとてメルル達は放っておけない。窓から、別のゾンビさんが入ってこないとも限らない。

 護衛役と精神安定役を兼ねて、あたしもメルル達と奥の寝室か客間に行くことにした。アルメリアは、ひょいと飛んであたしから離れ、オルミガさんの頭の上に降り立った。

 ……あ、アルフォーダ人(見た目)は嫌いじゃないんだ。

 さて、明かりはメルルがまだランタンを持って居るから大丈夫。

 今まで居た、玄関兼リビングの奥。扉を開けると、暗い廊下が視界に入る。

 家主の寝室に入り込むのもアレだし、当然手前の客間の方を選ぶ。

 万一を考えて、あたしが中の気配を探ってから、そっと扉を開く。

 誰もいない。あからさまにホっと息を吐いたメルルが、手にしていたランタンを部屋の中央にあったテーブルに置いた。


「疲れたでしょう、メルル。少し座って休んで。クルウも」

「うん……」

「……」


 荒事慣れしていない二人に、先ほどまでの状況はあまりにも怖かったろう。

 いや、まあ前にも小さい頃に大捕り物した事はあったけど、あれはあくまでも生きた人だったからなあ。

 人知を超えた怪物を相手取るのは、訳が違う。

 たぶん、それを見た事があるのはリシッツァ先生くらいで、ユトゥスさんやオルミガさんは知識や覚悟は騎士見習いとして持って居るだろうけど。

 レオンは、王子様だしね。こういう時、取り乱す程度の胆力ではない。

 着々と王の器と肝の太さを得ているようで、何よりです。


「ちょっとお水でも貰って来ましょうか」

「え、わたしも行く」

「扉開けっ放しにしとくから、大丈夫。何かあったら、すぐ大声でもなんでも上げるのよ」


 幸い、キッチンは廊下を挟んですぐ向こうだ。

 本当はお茶を淹れてあげたい所だけど、あんまり悠長にしてるのもというか、人んちの設備や道具を勝手に使うのもね。

 ……あ、クルウは水飲まない方がいいのかな。口の中に薬塗ったんだよね。

 ちょっと先生に聞いてからにしよう、と思いながら、客間の扉を開けてそのままにし、それからキッチンへ続く扉を開く。

 窓からの月明りに照らされた、薄暗いキッチンに。

 誰かの人影があった。


「っ!!」


 咄嗟にバンっと扉を閉め、……そういえば強化魔法かけっぱなしだった、閉めた際にみしっと扉がやばめな音を立てた。ごめんなさい。

 今解除してまたぶっ倒れるのも困るので、まだかけたままでいる。

 さておいて、突然の騒音はメルル達にも、リビングに居るレオン達にも聞こえたようだ。そちらへつながる扉がレオンによって開けられる。


「マリヤ?!」

「どうした!?」

「……キッチンに、今誰か居た」

「何……?」


 ほんの一瞬だったし、月光をバックにしていて顔も何も分からなかったけど、間違いなくそこに居たのは人だった。

 しかし、明らかにあたしがいまここの扉を開け、思いっきり閉めたにも関わらず、中で動きがある様子が無い。

 駆け寄ってきたメルルとクルウ、そしてレオンとリシッツァ先生とアルメリア、全員があたしの言葉に戸惑った、あるいは警戒の表情を浮かべ沈黙したが、シンと静まり返るばかりで何も聞こえない。


「……お前ら、ちと下がってろ」


 万一の時、袋小路となる客間ではなく、出口のあるリビングの方へとあたし達を下がらせ、リシッツァ先生は左手の指をほぐすように開け閉めしてから、キッチンへの扉のノブに手をかける。

 建付けがさっきのあたしの一撃で歪んだのか、ぎぎぎぎ、と音を鳴らしながら開かれる。改めてごめんなさい。

 部屋の中を慎重に覗き込んだ先生の横顔は、しばし怪訝そうな顔で。……それから、とても険しい顔になった。


「おい、ユトゥス嬢ちゃん」

「はっ、はい?」

「悪いんだが……、あそこにいるのが誰なのか、お前さんも確認してくれるか」


 ずっと外を警戒してくれていたユトゥスさんがやおら呼ばれて、オルミガさんを残して小走りでこちらへ来る。

 リビング側に下がっているあたし達には、キッチン内の様子は見えない。

 あたし達の前をすり抜け、ユトゥスさんはリシッツァ先生の横に来てキッチンの中を覗き込み。そして、目を大きく見開いて、息を飲んだ。


「…………エバおじさん…」


 それは、知らない名前だった。

 でも、ここが墓守さんの家で、彼女はその墓守さんと親しい間柄だという。

 その彼女がこんな反応をするとなったら、……だいたい、予想はついた。

 信じられない、と言う表情になった彼女は、数秒の後にキっと顔と気を引き締めた。


「エバおじさん、どうしてここにいらっしゃるんですか。この墓場周辺は、昨晩から避難区域に指定されています。……ご存じ無い筈がありませんよね?」


 すっと右手を腰の剣にかけ、静かに問いかけるユトゥスさん。

 例え見知った、親しい相手であろうと、今ここにある状況は異常だと彼女は判断した。

 こんな時でも、知人相手でも冷静な判断が出来る。凄い人だ。

 ……問いかけたユトゥスさんの言葉に、返答は無い。

 そもそも誰もが疑問に思っている。

 リンク君達が誘拐されたのが昨晩。詳細は知らされずとも、この近辺で誘拐事件があったという話だけは伝わっているし、近隣に住む人ならば知らされずとも怪しい何かが最近このあたりをうろついている、その噂くらいは知っているだろう。

 ましてや、ここに住む墓守ならば、目撃だってしたことがあるかもしれない。

 避難の指示が出た事だって、知らないとは思えない。

 なのに、彼はここにいる。

 結構どたばたと上がりこんできたあたし達に気付かず、キッチンに潜む……、いや、佇んでいるのも妙だ。不在を装いたいのなら、家主の彼にはもっと相応しい隠れ場所がいくつもあるだろうに。


「…………」


 しばしの沈黙の後、ユトゥスさんとリシッツァ先生は視線を合わせ、慎重にキッチンの中へと入っていく。

 あたし達はそれに続かなかったが、二人が入って行ったキッチンを覗き込んだ。

 なるほど、やっぱり先ほど見た通り、そのままの場所、そのままの姿勢で誰かが灯りの無いキッチンに佇んでいる。暗くてよく見えないが……シルエットからして、ユトゥスさんによく似た、ネコ科の姿をしている様子。

 手に杖を持ち、微動だにせずそこに立っている。

 近付いてくるユトゥスさん達に一切反応をせず、微動だにせず。

 ゆっくりとした足取りで彼の所まで辿り着いたユトゥスさんは、もう一度エバおじさん、と名を呼んだ。やはり、反応は無い。

 それから、リシッツァ先生が目の前で手を振り、口元と、喉筋、杖を持って居ない方の腕や手首に触れる。


「呼吸も無いし、脈もねえ。…生きてねェな」

「そのよう、ですね…」


 無情な現実を告げる先生に、ユトゥスさんは冷静に同意したけれど、ここから見ているあたしには、ぎゅっと手を握りしめるのが見えてしまった。

 つまりは、動きはしないが外であたし達に襲い掛かってきた動く死体達と、同じものかもしれない、って事だ。


「嬢ちゃん、墓守を最後に見たのはいつだ?」

「直接お会いして、お話したのは去年の秋の終わりです。……その後は、見回りをしている所は見かけました。声をかけると手を振り返してくれて、ただ、すぐに行ってしまいますし、怪物の噂もささやかれ始めていましたが、お忙しいのかと」

「ふゥむ……」


 尚も、先生は墓守さんの体を見分している。

 間近に居ても、触られても、彼は動き出す様子は無い。

 外のゾンビさん達と、随分様子が違う。


「墓守が不在になった、って話はオレも聞いてねェな。……もしかすると、隠蔽要員に使われてたか」

「……墓守が、通常通り墓場を見回っている。ここに異常は起こっていない、と思わせる為という事か」

「多分な。……死にたてみたいに綺麗だな、いつからこうだったのか解らん」


 そういえば、死体の腐敗を防ぐ処置も同時に行われている、みたいに言ってたっけ。

 いったいいつからなのかは、解らないけれど。

 もしかしたら、彼はとうの昔に殺され怪物化させられて、結構長い間、昼間に通常通り見回りをするだけになってしまっていたのかもしれない。

 だとしたら、合い鍵が外になかったのも、なんとなく分る。

 留守でなく、一応家に居るのだから、鍵を隠しておく必要が無い。あるいは、犯人に室内を改められないように取り除かれたか。

 レオンも、大分厳しい顔になっている。

 そりゃそうだろう。今までは、既に死んだ人々の死体を利用されていた。それだけ、というのもだいぶ冒涜的だけれど、犯人はそれ以上の罪に手を染めている事になる。

 即ち、生きている人をわざわざ殺して、怪物化させたって事だ。

 あまつさえ生きている間を再現させられるのだとしたら。…いつの間にか、隣人が怪物化しているなんて、なかなか鬼気迫るホラー展開も見えてくる。

 そして、攫われたリンク君達の安否も、かなり切迫したものになる。


「……。嬢ちゃん、部屋から出てな」

「えっ」

「悪いが、外の状況に飛び込んでいって、回収を試みるより、こっちの方が早そうだ」


 確かに、犯人からの命令を受信する魔石が怪物に埋め込まれているとして。

 今外で地獄絵図になって暴れている場所から回収してくるより、抵抗しなさそうな、…もしかしたら害されたら動き出すかもしれないが、一体だけのこちらの方が、安全だし早いだろう。

 とはいえ、いくらなんでも知人、…あるいは友人か親戚か。詳しく知らないが、既知の仲であるユトゥスさんに見せるのは酷すぎる。

 ハッキリと彼を解体する、とは言わなかったが。

 ユトゥスさんは、先ほど握りしめた手を、もう一度、さっきよりも強く、握りしめ。


「……なるべく、…ご遺族に、お渡し出来るように、…お願いします」

「ああ。…妖精サマ、どれがそうなのかオレにゃ判別出来ん。教えてくれるか」

「良かろう」


 震えた声でそう願うと、言われた通りに彼女はキッチンから離れた。

 リシッツァ先生と、協力を求められたアルメリアを置いて、あたしやレオン達もその場から離れて、再びオルミガさんが見張ってくれているリビングへと戻ってくる。

 知っている人が既に殺されていて、今から犯人を特定する為とは言え、死体を更に損壊されるというのは、かなり精神に来る事だろう。

 あたしも、メルルも、なんと声をかければいいのか解らず、ユトゥスさんに寄り添っていたのだが。

 俯いていた彼女は、しばらくすると大きく息を吸って、吐き。

 パンっと両手で自らの頬を叩くと、顔を上げた。


「オルミガ、外の様子はどうですか」

「変わんない。でも、ちょっとバラけ始めてるね。そのうちここに到達するのも居るかも」


 一人で見張ってくれていたオルミガさんとは、違う窓に先ほどまでと同じように立ち、厳しく外をにらみつけ始めた。

 オルミガさんは、何も聞かない。キッチンでのやりとりが聞こえていたのだろうか。

 いつも通りの、どんな状況でも変わりのない様子での受け答えだった。


「……ユトゥスさん、大丈夫…?」


 触っていいのか悪いのか。散々悩んだ挙句、メルルが遠巻きに尋ねた。

 それに対し、彼女はこちらを振り返らなかったけど。


「大丈夫です。…今、悲しみに暮れていられる状況でもありませんし。何より、ああして遺体を利用され弄ばれている事の方が、エバおじさんにとっては屈辱だと思いますから。犯人に繋がる手がかりとなるならば、きっと彼も浮かばれます」


 ショックを受けていない訳でもないし、悲しくない訳でもない。

 ただ、そこで膝を折り泣き崩れる、弱い少女ではない。

 彼女は、とても強い人だ。……もしかしたら、事が終わった後に、とてもとても心を痛めて、涙を流すのかもしれないけれど。

 それでも、そこに凛と立つ彼女の姿は、未熟な騎士見習い、とは言えないと思う。

 まだ年若く、騎士として認められてはいないけれど。

 それを目指す彼女は、きっと国と人を守るための、素晴らしい騎士になれる。……そんな確信すら、感じた。







 なかなか収束しないぞんびー事件。

 ユトゥスさんは強い子です。

 オルミガさんは心配してない訳じゃないけど、心配かけられる事を望んでいない事を察しているので、何も言いません。




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