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花びらの向こうに

水瀬リマです。3年生編は平日は18時投稿、休日は10時と18時の投稿となります。ぜひ、ご覧ください

まだ散っていない桜を背に中学の校舎に入る。今日は3年生の始業式である。

「もう最高学年かー」

「中野!何組だった?」

「3年2組」

「同じじゃん!よろしく!」

「受験まであと300日ほどですね」

と鷹宮が入ってくる。

「こんな時にそんなこと言ってたらQOLが下がるよ。もっと楽しく!」

「言ってることむずくないのに単語がむずい」

「QOLは受験には出ないから覚えなくていいよ」

そんな会話をしていると鷹宮も自然と口角が上がっていた。

「そうですね。今は感慨に浸ることにしますか」

「そうよ!懐かしいね。夏山が入学2日目に学校迷子になってたこと」

「喋らないで!恥ずかしい!」

そう言ったが中野は不敵な笑みを浮かべているだけだった。

「それで入学1ヶ月でね!」

「喋んな!」

「そんなこと言っちゃっていいの?私教えてる側なんだけど」

……実際偏差値が上がったとはいえ宮創附属用の勉強はしていないため、そのハイレベルな問題の解説などで中野に頼ることは以前として多いだろう。

「でもそれは違うだろ!」

「はいはい。喋んないであげる。だから今度ジュース奢って」

「わかった」

3年になっても相変わらず中野は浮かれやすいままだった

「それはそうとして、せっかく桜の季節だし、どっか花見に行かない?」

「いいね!賛成」

「それだったら私も」

鷹宮と中野が言った。

「花見行くんだったら俺も混ぜて!」

三浦がどこからか飛び出してきた

鷹宮までついてくることに少し違和感と不満を覚えたがその四人で花見に行くことになった。

電車に少し揺られてやってきたのは悠久山公園という大きい公園だった。

「おお!広いね!その分人もいるけど」

「ここら辺だと有名な観光スポットだからどうしても人が集まるんだよな」

しかし、そんな人混みも気にならないほど桜は綺麗に、美しく咲いていた。

「じゃあ買ってきたもので花見するか」

そう言って、駅からの道で買ってきた飲み物や団子などをとる。

「俺の分は〜?」

「ちゃんとみんなの分あるよ」

「サンキュー夏山!」

「ありがとう夏山!過去問あげる!」

「過去問は自分の買うって。中野が困るでしょ」

「確かに」

そういって中野は団子を頬張った。

その顔を夏山は数秒間見続けていた

満点の桜が風に吹かれて揺れている

その奥からビル群が、そしてあのタワーが顔を覗かせている

「美咲」

何気なく、中野を下の名前で呼んでみる

「……あんたがそう言うの珍しくない?」

「そうかも。」

「この桜。綺麗だね。」

「そうだね。」


「来年は、高田城址の桜かな?」

中野がふとそんなことを呟く。宮創附属のなかでも創英大学附属高田に進学すればそうなるかもしれない。

「小出公園かもね。」

そう返した。宮創附属の創英大附属は小出にあるから。

「そうなれるように応援しときますね。」

鷹宮がサラッという。

「……おまえが言うの!?」

「えっ?逆に言わないんですか?」

「だって鷹宮…あれじゃん、不正だみたいな感じで言ってきたし」

「………?」

「どんな方法使ったんだ?って言ってきたじゃん」

なんでもう忘れてるんだこいつは、と若干腹が立ってきた。

「あれはただ勉強の方法を教えてもらいたかっただけなんですが……そう言うふうに聞こえました?」

「………は?」

思わず素っ頓狂な声が出てしまった

「言い方が悪すぎるだろ。不正疑ってる言い草だぞあれ!!」

「そうですか?」

「なんでわかってないんだよ!!ガリ勉だからかたまに人と感覚が違うのか?」

「まあそれはさておいて、私は水野さんを応援してますから。」

…………

「素直に応援されると照れるわ」

「素直じゃないですねー。」

「からかってんだろお前!」

鷹宮は悪いやつじゃないのかもしれないな。ちょっと俺と感覚が違うだけで。

「夏山は団子食べんのー?食べねえなら俺食うぞ!」

「食べる食べる」

三浦の元気な声が聞こえてくる。いつまで経っても、あいつは変わらない。

三浦から団子を受け取り、思い切り頬張った。

「うんめー!」

俺が何をしようとも、来年も桜はまた咲くし、来年も多くの客で賑わう。その不変性が俺を安心させる。

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