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異世界パパ、初めて背中トントンをする

あの、女神ババァめ、きちんと詳細説明しろっつーの‥‥。


ソルとのやり取りを終えた頃、

ソルがぽつりと尋ねた。


「パパ、げっぷさせた?」


「……げっぷ?」


ソルがきょとんとする。


「うん!ミルクのんだら、げっぷするんだよ!」


「えっ……そうなの……?」


(……やばい……

オレ、げっぷさせるって何……?

そんな育児スキル、聞いてないんだが……

ババァ神、絶対説明してないだろ……)


ソルは胸を張る。


「パパ、いつもやってたよ!」


「オレ、やってたの!?

どうやって!?

どのタイミングで!?

何を!?!?」


ソルは嬉しそうに説明する。


「ルナちゃんね、ミルクのんだらね、パパがトントンするの!」


「トントン!?

どこを!?

どんな強さで!?

何回!?!?」


ソルは背中を指さす。


「ここだよ〜!」


「背中!?

背中トントンするの!?

それでげっぷ出るの!?

そんな仕組みなの!?

赤ちゃんってそんな構造なの!?!?」


ソルはケラケラ笑う。


「パパ、いつも“でろ〜”って言ってたよ!」


「オレ、そんな呪文みたいなこと言ってたの!?

“でろ〜”って何!?

げっぷに呪文必要なの!?

魔法なの!?!?」


ルナはミルクを飲み終え、

ぽかぽかしたかまどの前でご機嫌にしている。


にこぉぉぉぉぉ……


(……かわいい……

でもげっぷさせないと……

この世界の赤ちゃん、絶対普通じゃないから……

何が起きるかわからん……)


オレはルナを抱き上げ、

背中を軽くトントンした。


「こ、こうか……?

トントン……トントン……」


ソルがワクワクした目で見つめてくる。


「パパ、もっとやさしく〜!」


「やさしく!?

これ以上やさしくしたら触れてるか触れてないかわからんぞ!?

どんな強さが正解なんだよ!!」


トントン……トントン……


ルナが小さく息を吸い──


「……ふぇ……」


ソルが叫ぶ。


「パパ、くるよ〜!!」


「くるって何が!?

げっぷだよな!?

普通のげっぷだよな!?!?」


そして──


ぶふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!


———ドンッ!!!

家が震度2位の縦揺れで揺れる。


「えっ!?!?!?!?!?!?」


ソルが拍手する。


「ルナちゃん、すごーい!!」


「すごいじゃない!!

今、なんか出たよな!?

音が“げっぷ”じゃなかったよな!?

家、揺れたよな!?

これ、げっぷじゃなくて“衝撃波”だろ!!?」


ルナは満足そうにニコニコしている。


にこぉぉぉぉぉ……


(……いや、かわいいけど……

今の絶対普通じゃないだろ……

ソルのデコピンといい、ルナのげっぷといい……

この家、規格外しかいないのか……?)


その時──


ポフッ。


背後のフライパンがまた爆発した。


「ほら!!また料理爆発した!!

なんで“げっぷ”と“爆発音”が同時に起きるんだよ!!

育児と料理の難易度高すぎるだろ!!」


ソルはケラケラ笑う。


「パパ、ルナちゃんね、いつもこうだよ〜!」


「いつもこうなの!?!?

オレ、どうやって育児してたんだよ!!

げっぷで毎回家揺れてたのか!?

その内、絶対家壊れるだろ!!」


こうして──


アウリス(オレ)は、げっぷという育児の基本すら知らず、初めての“衝撃波げっぷ”を受けることになった。


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