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1話:神火の淵
——天を焦がし、大地を熔かす神火ですら、私の罪を焼き尽くすことはできないだろう——
火口の縁。
覗き込めば、赤く煮え立つ溶岩が、息を吐くように熱気を押し上げてくる。
そこに、一人の女が立っていた。
齢は四十ばかりか、目元の薄い皺は、疲れよりも聡明さを際立たせていた。
脚は恐怖で震えていたが、心だけはもう決まっていた。彼らに捕まる前に、自らの手で罪を償わねばならない。
ただ、どうしても果たせなかったことがあった。
いつか必ず、この償いをする日が来る。それだけが気がかりだ。
……遠くに怒号が響いた。
——ああ、神火よ。
悪しきものを焼き尽くし、善なるものに恵みを与えたまえ——
女はそっと目を閉じ、両腕を開いた。
そして、まるで炎そのものを抱きしめるように、ゆっくりと火口へと、その身を投じた。




